汕頭市の旅


汕頭市

青丸が汕頭市です。

【 目 次 】

<2002年3月11日>
 
・飲むか飲まぬか
 ・知られざる観光地
 ・中国式論戦術
 ・寒中水泳
 ・神様の警告
 ・下町商店街
<2002年3月12日>
 
・始発はおいしい

2002年3月11日

- 飲むか飲まぬか -

 今回は深セン経由で汕頭市まで行くことにした。深センから汕頭まで豪華大型直行バス(日本でいう観光バス)が出ていて、目的地までノンストップで行ってくれるからとても便利だからだ。

 前日に購入しておいた深セン行き中型バスの切符(35RMB)をもって、早朝6時15分にアパートを出た。ホテル前のバス発着所に着いてみると、6時25分。購入してある切符は7時発のものだが、できれば6時30分のに乗りたい。早速、ホテル内の切符売り場へ行って、切符の変更を頼んでみる。すると、係員の女性はどこかに電話して変更可能かどうか尋ね、OKがでたらしく、新しい切符を発券してくれた。ラッキー!私はもともと押しが強いほうではないので、こんな風に自分の思い通りにことが運ぶと一歩階段を上ったような気がしてとても嬉しい。

 深センには8時ちょうどに到着した。すぐに2Fの切符売り場に行き、汕頭までの切符を手に入れる(150RMB)。8時20分発だ。早速、バスに乗り込む。豪華型バスというだけあって、クッションがよく効いていて乗り心地がいい。その上、クッキーとミネラルウォーターが無料で配られた。でも、食べない、飲まない。豪華型バスは一般にトイレ付きだが、故障していることも多いからだ。トイレを我慢しながらのバス旅は地獄だ。クッキーで腹を壊すとは思えないが、安全重視だ。

 海岸線に沿ってつくられた、よく整備された高速道路を走って一路汕頭に向かう。5時間ぐらいかかると思っていたが、4時間弱で汕頭に着いた。ちょうど12時。けっこう新しいバスステーションだ。看板をみると、「金砂東汽車駅(バスステーション)」とある。まずは、切符売り場で次の行き先である潮州行きのバス発着時刻を確認することにする。時刻表を見ると、30分に一本ぐらいはあるようなので、いつ来ても大丈夫そうだ。今日中に汕頭を回りきれば、明日は潮州にいけるだろう。

 バスステーションを出ると、バイタクの兄ちゃんが寄ってきた。「どこへ行くんだ?」としつこい。できれば、自分の足でホテル探しをしたいところだが、時間が惜しい。ホテル探しの時間を、街探検の時間に回したい。仕方ない。「華橋ホテルまでいくらだ?」。地球の歩き方お勧めのホテルの名を言うと、バイタクの兄ちゃんは素早く、「10元だ」という。東莞市の感覚でいうと、バイタクで10元はちょっと高い気もする。まぁ、いいや。早くホテルへ行こう。

- 知られざる観光地 -

 ホテルまで行く間、バイタクの兄ちゃんは盛んに他のホテルを勧める。きっとリベートバックがもらえるのだろーな。まぁ、今回は「地球の歩き方のお勧め」ホテルで行こう。ホテルに入って、価格を聞くと一泊188RMBだという。三ツ星だから仕方がない。チェックイン。
 三ツ星だけあって、さすがに部屋はきれいだ。しかし、休んでいる暇はない。着替えの詰まったバックをベッドの上に放り出し、街へ出た。

 まずはホテルに沿って走っている「汕樟路」を海岸に向かって下る。小売店がぽつぽつある程度の地味な通りだ。しばらくすると「外馬路」が現れた。「汕樟路」、「外馬路」の両者とも地図の上では色付きの道路となっているが、あんまりパッとしない。通りの半分ぐらいの店がシャッターを閉め、休業状態となっている。しかし、人通りがそれなりにあるせいか、あまり寂れた感じはない。店を眺めていると、汕頭も珠海と同様に電気製品・カメラ等の修理をうたっている店が多い。カメラの修理店が特に気になる。カメラは海のそばだと壊れやすいのだろうか。それなら、壊れた私のデジカメも直してもらえるだろーか?

 汕頭では道路名を示す標識の大半がはがされてなくなっていた。代わりに、ところどころの建物に道路名と住所が書かれた札がはってある。地図と札を頼りに、「外馬路」をさらに下っていくと、教会関連と建物が多いのに気づく。海のそばの町は真っ先に宣教の対象になったのだろう。さらにいくと、地図にもガイドブックにも載っていない観光地が出現。「汕頭市文物保護単位 在心善田社」と書いてある。知られざる名所か?ただの民家にも見えるが・・・(笑)。

【在心善田社】

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 「外馬路」を下っていくうちに、かなりの数の人力車が走っているのに気づいた。それも観光用ではなく、庶民の足となっているようだ。東莞ですらもはやない人力車を経済特区である汕頭でみることになるとは思わなかった。意外、意外。

【人力車】

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- 中国式論戦術 -

 「外馬路」が海に近づいてくると、そこは『老街』だ。日本風に言うと、古い街並みというところだろーか。中国の都市にはたくさんの「古い街並み」があるが、観光ように整備されていないので、「古い」というより「ボロイ」という感じになってしまっているところが多い。残念ながら、汕頭の『老街』は後者に属した。

 ごちゃごちゃした道を適当に海に向かって歩いて行くと、「西堤波止場」に出た。「地球の歩き方」によると、ここから対岸の観光名所に行けるはずだ。波止場の周りには人力車やバイタクがたくさん集まっており、下船客を待っている。彼らを避けながら、改札で1RMBを払って中に入る。1RMBとはずいぶん安いな、と思っていると、野菜売りのおばちゃん達や小物売りのお兄ちゃんも船の到着を待っている。どうやら、この船も観光客用というより庶民のためのもののようだ。10分ほどで船が到着。皆といっしょに乗り込む。船の1Fはバイク置き場になっていて、バイクに乗ったまま船に乗れるようになっている。2Fは乗客用だが、木の長ベンチが6個置いてある程度の簡素なものだ。20人ほど乗り込んだところで船が動き出した。

 対岸までは10分前後で着いた。香港島と九龍島の間を行き来している船に乗っているのと同じ感じだ。船の質はだいぶ違うが・・・。船を下り、波止場を降りるとさっそくバイタクの兄ちゃんに取り囲まれた。それを振り切って、正面にある海浜公園に2RMB払って入ってみる。ところが、これは失敗。所々にゴミが積んであるだけの汚い公園だった。でも、人があまりいないので、安心して地図を広げられる。さあ、どこに行ったらいいのか?

 「地球の歩き方」を見ると、「白花尖大廟」という所が名所とされている。なんだかわからないが行ってみるとしよう。公園を出ると、ちょうどバイタクが通りがかる。行き先を言うと、5RMBで行くという。おおー、「地球の歩き方」で書かれていたよりも安い。その上、この運ちゃん、人が良さそうだ。安心して乗る。

 2,3分ほど走ったところにある「天壇花園」という塔らしきものがあるところで、バイタクの運ちゃんが「着いたぞ」という。しかし、地図上では、「白花尖大廟」はもっと先にあることになっている。「ここじゃないだろ!」というと、「いやここだ」と返される。仕方ないので、「地球の歩き方」に乗っている「白花尖大廟」の写真を見せる。「ほら、看板の名前が違うじゃないか」と言うと、「わかった。じゃあ、もうちょっと先へ行ってみよう」と納得してくれた。さらに、2,3分ほど走ったが「白花尖大廟」らしきものはない。そこで、さっきのが「白花尖大廟」だったのだろうかと思いなおし、もう一度「天壇花園」へ戻ってもらう。そこで、もう一度運ちゃんに「ここが『白花尖大廟』なのか」と問う。「そうだ」。「なぜ写真と違うんだ?」と重ねて尋ねる。すると、運ちゃんは、「天壇花園」の門の奥にあるもう一つの門を指す。おー、確かにそこには「白花尖大廟」と書かれているではないか・・・。何でさっき言わなかったんだ、おい。(それに何だ、この地図は!注:地球の歩き方の地図ではありません)

  さて、ここからが問題。運ちゃんにいくら払うかだ。余計な所に行った以上、最初の約束の5RMBでは運ちゃんは納得しまい。間違ったのは自分だからなー、と弱気になって、「余分に走らせたから、10RMB払うよ」とツイツイ言ってしまった。これが大失敗。「15RMBくれ」と言う。余分なところへ行ったので+5RMB、そこから戻ってくるのに+5RMBだというのだ。「それはとり過ぎだろう(客がいつもいるわけじゃあるまいし、空だって走らなきゃいけないんだから)」と言っても、もう取り合ってくれない。しまいに、周囲のバイタクの運ちゃんにまで自分の正義を訴え始める。もろに中国式論戦術にはまってしまった。仕方がないので、価格の計算方法を変えることにする。

追記(2003年2月):中国式論戦術とは相手と議論するのではなくて、聴衆に訴えて勝利をもぎ取る議論の方法である。ある意味、アメリカの陪審制裁判に似ている。根本は全く違うとは思うが。

 「帰りも送ってくれ。帰りはいくらだ?」と聞く。「10RMBだ」と返事がくる。(この野郎、行きが5RMBなのになんで帰りが5RMBなんだよー)と思いつつも我慢をし、「行きと帰りの合計で20RMB。これでいいだろう」と押してみる。しかし、「ダメだ。今のが15RMB。帰りが10RMB。合計25RMBだ」と頑張ってくる。周囲に人が増えてくる。(これは参った・・・。作戦変更だ)というわけで「とりあえず、5RMBを渡す。残りは帰りに決めよう。20分以内に戻るから、それまで待ってろ」と言って、5RMBを押し付け、さっさと切符(10RMB)を買って門の中に入る。後ろで運ちゃんが周囲の人に正義を訴え続けるのが聞こえる。(こりゃ、分が悪い・・・。最初に自分から譲ったのが失敗だった)と後悔するも、もう遅い。

【白花尖大廟】

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 写真をとったりしながら15分ほど内部で過ごした後、外へ向かう。(あー、また運ちゃんとやり合わなきゃいけないのか。しかも、負け記録になりそうだし・・・)と憂鬱になる。しかし、門を出るとさっきまでいたバイタクの群れとともに、あのしつこい運ちゃんも消えていた。残っているのは自転車バイタクのオバサン運ちゃんのみ。オバサン運ちゃんが寄ってきて、「行こう、行こう」というので、「さっきの運ちゃんはどうしたんだ?」と聞くと、「もう行っちゃったわよ」と言う。「どうしてだ?」。「わかんないわよ」。「波止場までいくらで行くんだ?」。「5RMB」。交渉なしで、すぐに乗る。まだ不安はあったが、(助かった・・・、負け記録にならずに済む)とホッとした。バイクの後ろ座席に乗りながらも、(あの運ちゃん、波止場で待っているんじゃないだろーな)と心配するが、(声をかけてきても無視だ)と心に決める。

 波止場に着くと、すぐに改札に入り込んだ。あの運ちゃんにも出会わずに済み無事島を離れることができた。

- 寒中水泳 -

 帰りの船は先ほどとは違う波止場「広場波止場」に向かう船だったが、距離的には大差ない。行きと同じく10分前後で対岸に着いた。対岸にもうすぐ着こうかと言うとき、数人の男性が海で泳いでいるのを発見。これがいわゆる寒中水泳というものか。感心してじっくりとみると、ずいぶんと壮健な体つきだ。水泳の選手かもしれないな、と想像する。波止場を出るとすぐにバイタクに乗って金砂公園に向かった(5RMB)。金砂公園に沿って「金砂中路」が走っていて、「地球の歩き方」よるとそこが汕頭市の商業センター街だからだ。地元で販売されている地図でも色つき表示だ。

【金砂中路】

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 しかし、「金砂中路」をいくら歩いても商業センター街らしきものは現れない。途中で「マクドナルド」「ケンタッキー」「ピザ・ハット」が並んで店を開いていたのが目立ったぐらいだ。営業を止めてシャッターを閉じている店も少なくない。興味深かったのは、歩道の上に、まるで今が秋であるかのごとく広葉樹の落ち葉がたくさん散らばっていたことだ。

【歩道の落葉(3月のこと)】

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- 神様の警告 -

 さらに進んで「金砂中路」に入ると、20F程度のオフィスビルがいくつか現れるがあまりぱっとしない。オフィス街だというのに歩道ではココナツ売りの露店があったりする。しかし、オートバイの数だけは以上に多い。彼らはどこから来て、どこへ行くのだろうか・・・。何もないまま進むうちに、とうとう「金砂東汽車駅(バスステーション)」まで戻ってきてしまった。これでは時間の無駄だと考え、バイタクで「汕頭駅」まで行ってみることにした(8RMB)。

 走り始めて2,3分で、横から来た別のバイタクと軽く衝突。(危ない、危ない)。運ちゃんはちょっと怒っているが、お互い様だったようで、そのままバイクを走らせる。(今は保険に入っていないんだから気をつけてくれよ)と心の中で祈る。

追記(2003年2月):この頃はどこにいくにもバイタクだった。今考えるとずいぶん無謀だったと思う。命が続いているのが不思議なぐらいだ。でも、秋風を(春だけどね)受けながらのバイクによる疾走は気持ちがよかった。

【汕頭駅】

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 10分ほどで駅が遠くに見えてきたが、近づけば近づくほど人通りが減るばかり・・・。とうとう駅に着くが、周辺を見渡しても何もなさそうだ。孤高の駅って感じ。仕方がないので、バイタクの運ちゃんを頼ってみる。「汕頭市の商業の中心はどこだ?人がたくさんいて、賑やかなところだ」。「うーん、さっきお前がいたところだ」。「もっと賑やかなところはないの」。「うーん」。「ホラ、デパートとかあって、人がたくさん買い物にくるところだよ」。「それならある」。「どこだ」。「さっきお前がいたところをもう少し行ったところだ」。「(うーん、あんまり期待できそうもないな・・・)わかった。そこへ行ってくれ。いくらだ」。「10RMB」。「OK」。

 運ちゃんは15分ほどバイクを走らせた後、「ここだ」と言う。「ここか・・・(がっかり)」。予想通り、1つの巨大百貨店があるきりで、周囲は人もまばらだ。とりあえず、降車して、バイタクを去らせる。お腹も空いてきたので、百貨店1Fのマクドナルドに入る。マクドナルドの中も人はまばらだ。(月曜日のせいもあるのかな)。ハンバーガーをほおばりながら、地図を眺める。どうやら、今私は「長平路」にいるらしい。次はどこへ行ったものか。とりあえず、もう一度、「金砂中路」の辺りまで戻ってみるか・・・。

  「長平路」から「金環南路」に曲がり、「金砂中路」と「金砂東路」の間を抜けてさらに上に上がってみる。すると、左手に商店街らしきものが見えてきた(金園路)。商店街は意外に長い。「GIORDANO」等もあるから、ここが汕頭市で一番にぎやかな所なのかなとも思う。しかし、とにかく人が少ない。同じ経済特区である「珠海市」のにぎやかさと比べるとずいぶん寂しい。「金園路」を歩き終わったところで、人力車に乗りホテルに帰ることにした(4RMB)。

【金園路】

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- 下町商店街 -

 人力車の座席から街を眺めていると、途中、下町商店街らしきものが見えてきた。面白そうなので、そこで降車する。道路左右には小さなお店が並び、中央には露店が店を開いている。お店で販売しているものは安価そうなものばかりだ。ところが、中国では数少ない自動販売機がそこかしこにおいてある。よくみてみると、紙幣も使用できるようだ。まぁ、使用できるほど新しい紙幣を探すほうが大変だろうが・・・。(華橋新村路)。

 さらに行くと、「珠海市」にもあったたこ焼きチェーン店「日の船」が屋台を出していた。値段は同じ3個3RMBだ。行列はできていないが、それなりに人気がある。せっかくなので、一箱買って食べる。食べながら、屋台を見ていると、「台湾から正式に許可されている店」と書かれている。(「日の船」って台湾系だったのか・・・)。

【たこ焼き屋】

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 あとは、ホテルに戻り、ゆっくり休憩。今日のまとめをするが、印象に残っているのは下町、露店、人力車ばかり・・・。汕頭市って、意外と小さな市なのかな?それとも他に発展している場所があるのだろうかと考える。さらに1日滞在して歩き回ってみようかとも思ったが、やめにし、明日は潮州市に行くことにする。もう一度来たくなったら、帰りに寄ればいいではないか。

2002年3月12日

- 始発はおいしい -
 朝8時頃、ホテルを出る。バイタクに乗って(8RMB)「金砂東汽車駅(バスステーション)」へ向かう。バイタクの運ちゃんがさかんに別のバス・ステーションを勧める。「なぜ、そこから行くんだ。潮洲へ行くのならもっと近いバス・ステーションがあるぞ」という。(うーん)と思うが、予定通り、「金砂東汽車駅(バスステーション)」へ行くことにした。なんといっても、あのバスステーションは結構清潔だ。それに、到着した場所だということは、始発のバスが多い可能性が高い。そして、始発だということは、荷物を置く場所を選べるってことだからだ。

続きは「潮州市探検記」をご覧ください。