湛江市の旅


湛江市

青丸が湛江市です。

追加情報(2004年7月):湛江は葛布(くずふ)の産地として有名らしい。中国人向けガイドブックによると、非常に珍しい織物で、この布で作った上着はたたむと筆の柄に入ってしまうぐらい小さくなるとのことである。また、乙女だけが織り出せる、蝉の翼のように薄い「女儿葛」となると、これで作った衣服は60-80グラムしかないそうだ。毎年5-8月が葛の蔓の最適な収穫時期で、この時期を過ぎると、葛の蔓は老化を始め光沢を失うのだという。地元の女性でも一年でたったの一巻しか織り出せないほど貴重なもので、ずっと朝廷への贈り物とされていたのだそうだ。
 それほどまでに貴重なものか?と思い、インターネットで調べてみると、日本にも葛布(くずふ)は存在することがわかった。バッグやのれん、衣服等に使われているようだ。ただ、確かに高級品であるようだが、ガイドブックで扱われているほど貴重なものとはされていない。写真でみた限り、驚くほどに特別なもののようには思われない。そうなると、湛江の葛布と日本の葛布は全く別物なのであろうか。或いはガイドブックに書かれているのが大げさなのか。いずれ真実を明らかにしたいものだ。
【 目 次 】

<2002年4月4日>
 ・今回は夜行列車だ
 ・美女のサービス
 ・コップが語るDNA
 ・トン、トン、トン
 ・役立つ旅のマメ知識
 ・潮の香り
 ・ご利益のある寺
 ・ぼーろXXX
<2002年4月5日>
 ・運命の導き 

2002年4月4日

- 今回は夜行列車だ -
 今回は広州から夜行列車で目的地まで行くので、夕方4時30分にアパートを出発した。4時40分に近所のバス停で大型大衆バスに乗車(3RMB)。そして、5時30分に常平バスステーションから広州行き豪華型大型バスに乗った(40RMB)。夕方の混雑に巻き込まれたため、いつもより長くかかり、2時間15分で広州のバスステーションに到着。すでに夜7時45分だ。

 湛江行きの列車は夜9:46発車なので、まだ2時間ほど時間がある。広州駅は年中、内も外も全国各地から来た出稼ぎ労働者でごったがえしている。真っ暗な中、彼らに混じって2時間も過ごすのは気疲れするだけでなく、危険だ。そこで駅前のマックで時間を潰すことにした。
 7時45分、お腹がふくれたところで、マックを出た。バスでなく列車で旅する利点は、トイレの心配をせずに食事をできることだ。たとえトイレが付いていてもバスの中で用を足すのは気兼ねするものだ。まぁ、気兼ねしているのはこちら側だけなのだろうが。

 駅の構内に入って電光掲示板を見上げる。上から順番に見ていくが、9:46発の列車が見当たらない。もう一度上から見ていく。(ない・・・)。少し動揺するが、努力して心を静める。切符を見直す。確かに「広州→湛江」と印刷されている。「広州東→湛江」ではない。切符は自分の住んでいる街で購入したものだ。(まさか、印刷ミスか!)。(いや、それはない。時刻表を見て選んだんだからな)。(となると、他にも電光掲示板か、プラカードでもあるのか?あるいは、黒板か。そう言えば、以前の北京空港では、変更便をホワイトボードで記していたっけ・・・)。改めて周囲を見渡す。しかし、黒板らしきものはなかった。

 (うーん、弱ったな。まぁ、最悪の場合は、例のゲストハウスで一泊すればいいんだが・・・)と考えながら、もう一度電光掲示版を見上げた。すると、あるではないか、9:46発湛江行きの列車が!じっと見つめているうちに、ようやくわかってきた。表示が一本の時系列ではなく、二本の時系列で行われているのだ。(ややこしいことするなぁ)とぶつぶついいながら、定められた待合室へ向かった(中国の大きな駅では、乗車する列車やクラスごとに待合室が定められている)。今日の待合室は前回常平に戻る時に利用した待合室と同じだ。ふと、前回は待合室内の電光掲示板に悩まされたことを思い出し、苦笑いした。

- 美女のサービス -

 待合室はすでに満席状態だ。前回と同じく改札口のそばに立って時間を待つ。しばらくすると、改札の前に行列ができるが、まだ時間が早すぎる。別の便だろう。9:20になったところで、また行列ができ始めたので、その中の一人に行き先を尋ねた。「湛江行きだ」と親切に教えてくれた。そこで、すぐに行列に混ざりこんだ。
 目的の車両まで来て、入り口の服務員に切符を見せ乗車する。私の席は「軟臥」といって、コンパートメントの左右にベッドが二つずつ据え付けられているベッドの一つだ。番号をたどって、自分のベッドに上がりこむ。上と下のベッドでは下のベッドのチケットのほうが値段は高い。出入りに便利だからだろう。しかし、私は決して下のベッドのチケットは買わない。中国人は話好きが多く、他人のベッドであろうと遠慮なく座って世間話を始めて、それが永遠と思えるぐらい長く続くからだ。

 ベッドに横になってみてすぐに気づいたが、この「軟臥」のベッドはずいぶんと小さい。そう言えば、コンパートメント自体もずいぶんと小さいではないか。カーテンもないし・・・。以前に乗った長距離列車の「軟臥」とはずいぶんと違う。短距離列車の「軟臥」とはこういうものか。ちょっと損したような気がした。

 列車の発車後、しばらくベッドに横になっていたが、なかなか寝つけない。そこで、通路に出て窓際の椅子に座って眠くなるのを待つことにする。ぼんやりと外を眺めていると、女性の服務員が陶器のコップにお茶を入れてもってきてくれた。「お茶をどうぞ!」とニッコリ笑って渡してくれる。(いやー、いい列車だなー)とこの「軟臥」に対する評価が大幅アップ。美女の笑顔は世界に平和をもたらす(笑)。

- コップが語るDNA -

 夜中の3時近くになったところで、ベッドへ戻り一眠りするが、5時ごろまた目がさめてしまう。(こりゃー、着いたらホテルで一眠りしなきゃいかんな)と覚悟を決めた。
 8時40分、ようやく到着。改札を抜けて、駅を振り返った。田舎の駅だけあってかなり小さい。と言ってもデパートぐらいの大きさはあるのだけれど。

【湛江駅】

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 駅前の駐車場を抜けたところに人力車やらバイタクが群れていた。オフシーズンのせいか数は少ない。さっそくリュックから、湛江市ホテル・リスト取り出した。出発前にインターネットで探し出しておいたものだ。地球の歩き方では「湛江市」については全くふれていなかったので、今回はインターネットだけが頼りだったのだ。バイタクの運転手をつかまえて、リスト上のホテルを一つ指さし、「ここまでいくらだ?」と尋ねた。「20RMB」と返事がきた。念のため値切ってみたが15RMBが精一杯のようだ。別のバイタクの運転手に聞いてもやはり同じ答え。どうやらかなり遠いようだ。お金はともかくそんな距離をバイタクでいくのは気が進まない。私があんまり悩んでいるのでみかねた運転手が、すぐそばにあるバス停を指した。「あそこからお前の行きたい場所にいけるぞ!」とずいぶん親切だ。お金がなくてかわいそうだと思われたのだろう。中国人はけっこう同情心がある。或いは商売の邪魔をされたくなかっただけか。

 バス停までいって様子をみるとボロボロの大型大衆バスしかない。しかし、選択の余地もなさそうなのでおとなしく乗り込んだ。目的地は発音を知らない漢字の地名だったのでリストを指差して切符を購入した。2.3RMBだ。切符売りのおばさんが身振り手振りをともなって一生懸命何かを言っているがなかなか聞き取れない。「・・・観察(グアン・チャー)」の一言だけが聞き取れた。どうやら、周りをよくみてついたら降りろということらしい。客がたくさんいるから、私一人の面倒はみていられないということなのだろう。それも当然のことだ。しかし、困った。駅の位置は私がもっている中国版ガイドブックの地図の外側にある。従って、バスが広い地図のどの方角から街に入っていくのかがわからないのだ。しかたがないので、地図をじっとみて片っ端から道路の名前を頭に刷り込みはじめた。

 そして、バスの外を眺めて、道路名の書かれた標識と頭の中の道路名を照らし合わせる。これを何度も繰り返していると、切符売りのおばさんもかわいそうに思ったのか、「まだまだ、遠いわよ。とにかく座りなさい」と優しい言葉をかけてくれた。(そうか、まだ遠いのか)と思って座るが、やることは同じだ。二つの眼を繰り返し繰り返し地図とバスの外の間で行き来させる。

 20分ほどそうしていただろうか、ようやく地図上の道路名と一致する標識を発見した。しかし、私が想像していたのとは全く正反対からの方向だった。そうしてみると、私が泊まろうとしているホテルはかなり郊外にあるのかもしれない。しかし、すでに眠くて眠くて仕方がない。もはや別のホテルを探しに歩き回る元気はなさそうだ。とにかく一泊してから考えるとしよう。

 目的地に近づいたところで、下車し、バイタクをつかまえた。リストを見せ、ホテルまで行ってもらう(5RMB)。ホテル(「新園大廈」)の前で降ろしてもらうと、フロントで宿泊料金を聞いた。フロントの服務員によると、一泊106RMB、80RMB、68RMBのホテルがあるという。(2星ホテルで68RMBの部屋は安すぎる・・・。問題があるに違いない。だいたいこのフロントの内装もボロボロじゃないか。もう少しましなところを探そう)と決め、ホテルを出た。

 バイタクをつかまえようと車道に沿って歩くが、不思議なぐらいバイタクがこない。「潮洲市」や「梅洲市」でうるさいぐらいバイタクがやってきたのと対照的だ。観光地ではない小さな都市ではこれが普通なのかもしれない。

 15分ぐらい歩いたところでやっとバイタクをつかまえることができた。リストの中の3星ホテル「湛江迎賓館」にいってもらう。ホテルに入って、フロントで宿泊料を聞くと、一泊100RMBと160RMBの部屋があるとのこと。(三星で100RMBとは問題があるんじゃないか?)と思ってとりあえず、部屋を見せてもらうことにする。100RMBの部屋と160RMBの部屋を両方とも見せてもらうが、設備はほとんど変わらない。服務員に聞いてみても、窓のあるなしだけの相違だということなので100RMBの部屋にチェックインした。

 チェックインして、改めて部屋に入ってみると、なんだか部屋全体がひどくカビくさい。ここで一泊するのは辛いなと思い始めた。(あとで、消臭剤でも買ってくるか・・・)と考えながら、お茶をいれる準備をはじめた。棚を見ると、陶器のコップはなく、消毒済みと書かれている薄紙で覆わたガラスコップがお盆の上にあるのみだ。薄紙を外して、コップをみると、メチャクチャ汚い。汚れがこびりついている。中をのぞき込んでみると、内側に髪の毛がついている。(最悪・・・)。これでは、ポットの中のお湯にも問題がありそうだ。(仕方がない。とりあえず、ミネラルウォーターでも買いにいこう)。眠いのを我慢して外に出ることにした。

- トン、トン、トン -

 ホテル前の躍進路を眠い眼をこすりながら下ってゆくと、寸金橋公園が見えてきた。「湛江市」の観光地の一つだ。
しかし、とてもではないが、散歩をする気分ではない。ます、公園前の小売店でペプシコーラを買って一息つく。ところが、このペプシコーラがやけに甘ったるくて飲めたものではない。やむなく、近くのゴミ箱に捨てることにした。大分参ってきたので、バイタクをつかまえて「マクドナルドは近くにあるか?」と聞いてみる。「あるよ」。(やった。しかし、本物か?)半信半疑で後ろ座席に乗り、マックまで行ってもらった。

 走ること5分。本当にマックがあった。マックの前には小さな公園があって、それなりに賑やかだ(光復路)。しかし、このマックが曲者だった。オーダーは間違える。客の前で店員同士で責任を押し付けあう。動きはトロイ。しまいに、セットの飲み物がコーヒーでなく紅茶だった(念のため、きちんとコーヒーをくれと言っておいたにもかかわらずだ)。以前にも天津で客の前で喧嘩をし始めたマックの店員をみたことがあるが、この「湛江市」のマックは店員が各々好き勝手に動いている感じだ。実は、マックに限らず、ホテルの服務員も対応がダラダラとしていてかなりレベルが低い。よほど給料が低いのだろうか。

 お腹もいっぱいになったので、近くでミネラルウォータを買ってホテルに戻った。ところが、部屋に入ったところで問題に気づいた。どこからかわからないが、「トン、トン、トン・・・」とトンカチの音が聞こえてくるのだ。しかも、いつまで経っても鳴り止まない。10分ほど眠ろうと努力したが眠れない、眠れるわけがない。

 だめだ!ホテルを移ろうと布団を跳ね除けた。(まだ12時前だ。今移れば午後を有効に使える)と決意した。荷物をまとめてフロントへいってチェックアウトを申し出た。「今チェックアウトすると半日分、50RMBかかるけど・・・」。「わかった、そうしてくれ」。「そう・・」と結構平気な顔をしている。クレームをつければ、一銭も払わずに出れるかもしれんが、もはやそんな元気もない。50RMBを払ってチェックアウト。

追記(2003年2月):上記の半日チェックアウトはどこでも使えるわけではないらしい。後日マカオでやろうとしたら断られた。

 まずはホテル前の躍進路をさっきと逆方向に50メートルほど進んだところにある「赤坎賓館」に入ってみた。バイタクに乗っている時に目をつけておいたホテルだ。部屋を見せてもらうが、どうにも清潔感がない。服務員もだらしない感じなので、やめにする。

 もはや歩き回る元気はない。仕方ないので、バイタクに頼る。梅洲で人力車に頼ってろくな目に会わなかったのでどうかなと思ったが、眠さには勝てない。とくかく2時間は眠らなければもはや歩くこともままならない。

- 役立つ旅のマメ知識 -

 バイタクに頼って着いた先は「銀華大酒店(三ツ星)」(軍民路)。三ツ星ホテルだけあって、ロビーの内装も服務員の態度も立派だ。「湛江迎賓館」、「赤坎賓館」も同じ三ツ星ホテルだったところが不思議だ。あの星は一度とると、審査はなくなるのだろうか?。ここは服務員の態度もよく、部屋もきれい。価格は一泊188RMBだが、まぁ、納得。しかし、チェックイン後、改めて部屋をチェックすると、やはりシーツがずいぶん傷んでいる。さっきまでのホテルと違ってよく洗ってはあるようだが・・・。このシーツがヨレヨレというのは今まで行ったどこの都市にもなかったことだ。「梅洲市」の138RMBのホテルでさえ、シーツは白くてピッとしていたものだ。シーツの扱いにも地方色があるのかな。

追記(2003年2月):昨年、新聞に深セン市内でホテルの星の再審査が行われたことがニュースになった。ニュースになるぐらいだから余程珍しいことなのだろうが、とにかく原則としては星の再審査もあることがわかった。

 落ち着いたところで仮眠に入った。

 午後3時30分起床、出発。このホテルの周りはほとんどが空き地でまだ開発されていない。バイタクを見つけるには大通りまで歩かないと無理かな?と考えながら、ホテルの写真をとっていると、目の前にバイタクがとまった。珍しいことに運転手は女性だ。長距離バスのバス・ステーション(「広湛客運駅」)まで行ってくれというと、「2RMB」だという。バイタクの運転手が自分から2RMBなどということはあまりない。やはり女性はきまじめなのだろう。

 長距離バス・バステーション(「広湛客運駅」)に着くと、すぐに路線を確認する。このステーションから出ているバスは「広州」、「深せん」、「東莞」、「珠海」行きの豪華バスのみのようだ。本数は結構多い。それだけ確認すると通り(海浜大道北)に戻り、再びバイタクをつかまえることにする。近くにあるもうひとつのバス・ステーション「湛江汽車客運駅(バス・ステーション)」に行くためだ。同じ歩道にいた休憩中のバイタクの運ちゃんを発見し、価格交渉をしてみる。しかし、たいした距離でもないのに「5RMBだ!」と譲らない。仕方がないので、道路の反対側に渡って別のバイタクと交渉する。「3RMB」であっさり交渉成立。旅をしていて気づいたことだが、目的地と同方向の車線にいるバイタクは値切りやすいようだ。

- 潮の香り -

 「湛江汽車客運駅」は湛江市の総合バスステーションだ。建物は古ぼけている。が、乗客は地元の人や商用の利用客ばかりらしく、荒れ果てた雰囲気はない。安心して奥まで入れる。時刻表や停留所を眺め、明日行く予定の「茂名市」行きバスの出発時刻を確認した。1時間に1本ぐらいは出ているようだ。念のため、運転手にも確認したが、問題なし。

【湛江汽車客運駅(バスステーション)】

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 バス・ステーションを出ると、バイタクがたくさんいる。女性の運転手がやけに多い。そのうちの一人に目的地を告げると、「バスを使った方がいいよ」と教えてくれた。「その前の道を出て行けば、大通りに突き当たる。そこを走っているバスに乗れば、あんたの行きたいところへ着くよ」とのことだった。ずいぶん親切なアドバイスだが、私はバイタクで行きたいのだ。「バイタクで行くと、いくらかかるんだい」と尋ねてみる。「あたしはダメよ。人を待っているんだから!」と答えが返ってきた。(なんだ、バイタクの運転手じゃなかったのか。どおりで親切なわけだ)。そこで、隣にいた、今度こそバイタクの運転手らしき女性に値段を尋ねてみると、「15RMB」と返事があった。(高いな・・・)。さきほどの女性が「バスにしときなさい」と背後から声をかけてくる。(うーん、バスでもいいかなー)と思い始めるが、バスを探すのにもけっこう時間がかかるはずだ。今度は男性のバイタクの運ちゃんに声をかけた。「10RMB」と回答がある。こんなものだろう、と後部座席に乗り込むことにした。

 次の目的地は「海浜公園」だ。かなり距離がある。バイタクは「康順路」、「人民大道北」、「楽山路」、「海浜大路中」を走り抜ける。潮風に誘われて想いに耽る。中国は本当におもしろい。新しい場所へ行けば、必ず新しい発見がある。広東省というたった一つの省の中でさえ、各々の都市の中に個性がある。都市ごとに主要な乗り物が違い、運転手の性別すら違う。日本では考えられないことだ。中国に来て良かったと心から思う。ここしばらくの旅に想いを馳せていうちに、潮の香りが急に強くなり、目的地に着いたことがわかった。

【海浜公園】

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 3RMBを支払って「海浜公園」に入る。オフシーズンのため人はまばら。樹々や芝生はきれいに整えられている。奥へ向かって歩いていくと、公園の中に海水を取り入れて、海岸線の内側にもう一つ海岸線があるような造りになっている。子供たちを遊ばせるなら、確かにこの方が安心だろう。小道を歩いていると、自転車に乗ったおばさんが、後ろに乗って公園を一回りしないか、と声をかけてきた。後部座席に20センチぐらいの板をしばりつけただけの簡単な座席だ。これで商売をしようというのだから、たまげた根性だ。軽く手を振って断る。そのまま公園をぐるりと散歩しようかと考えたが、右手の方に船着場があるのに気づいた。そこから対岸の島への船が出ているようだ。しかし、そこへいくためには公園を出なければならない。せっかく払った入園料がもったいない。でも、たったの3RMBじゃないか。船に乗る魅力には勝てず、外へ出た。

- ご利益のある寺 -

 船着場はかなり賑やかだ。「汕頭市」にも同様な船着場があったが、それよりもはるかに活気がある。中型のボロ船もあったが、今回はボロモーターボートを利用することにした。ボートに近づくと、運転手がどっと集まってくる。その中の一人と話をつけ、対岸まで10RMBで行くことになった。

【ボロモーターボート】

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 ボートが出発してしばらくすると、運転手が港をぐるりと回らないかと誘いをかけてきた。「いくらだ?」と聞くと、「30RMB」だという。たまには散財もいいだろうと思いOKする。港をぐるりといっても、漁船以外にみるものはなかったが、数百隻は停泊しているらしく、なかなか壮観であった。15分ほど走った後、対岸で下ろしてもらった。
 対岸の船着場を出るときに1RMBを払わせられた。船着場利用料らしく、ボロ中型船を利用しなかった場合には別途支払う必要があるようだ。それで中型船の会社とボートのオーナーの持ちつ持たれつが成り立っているのだろう。

 モーターボートの運転手に聞いたところによると、この島には一つだけ寺があって、皆、そこに参拝にくるのだそうだ。そこで船着場の外にいたバイタクの運転手に「寺までいくらだ?」と聞くと、「2RMB」だという。「近いのか?」と聞くと「近い」という。そこでバイタクに乗って寺まで行ってみることにしたが、近いどころではなく、寺まで50メートルぐらいしかなかった。どおりで、運ちゃんニヤニヤしていたわけだ。ご利益は預かれるのは運転手だけのようだ。

【ご利益のある寺】

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 少し島の中まで入ってみるが、同じような道がずっと続いているだけのようなのですぐに船着場に戻った。今度はボロ中型舟(1RMB)を利用してみた。人と自転車がごちゃまぜになって船に乗り込む様子は迫力がある。乗っている人たちの服装を見る限りでは「汕頭市」の島民たちより収入は低そうだ。しかし、格段に明るい表情をしている。やはり南方地区だから陽気な人たちが多いのだろうか。

【渡し船到着】

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【人力車】

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【解放東路】

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  対岸に着くと、先ほどの「海浜公園」の入り口まで戻る。途中、人力車の待合所らしき場所を通るが、ここでも女性の人力車が多い。こんどは「海浜公園」の正面の道路「解放東路」をまっすぐ上ってみる。この通りの左右には「儿童公園」や「水上公園」など公園が多い。「人民大道南」を越えたっところにある広場周辺の道路に入ると急に賑やかになる。デパートやマクドナルド、ケンタッキーなどが集まっている。ここが「湛江市」の商業中心街なのだろう。歩道が広くとられているせいか、歩行者も多い。

- ぼーろXXX -

 露店の一つで今まで見たことのない果物が売られている。西瓜よりも大きい。「いくらだ?」と聞くと、「5RMB」とのこと。「一切れだといくらだ」と聞くと、「1RMB」だという。「1個5RMBなのに、ほんの1切れが何で1RMBもするんだ!」と文句をいうと、「食べたいと思うのなら、1RMBでも高くないはずだ」などという。(まぁ、それもそうか)と思い、「だったら、1RMBで3切れくれ」といってみると、OKとのこと。おっかなびっくり食べてみると、まったりとしていておいしい。名前を聞いてみると「ぼーろXXX」だという。パイナップルの一種だろうか?

【パイナップルの一種?】

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 広場をぐるりと一周したあと、「O記牛肉飯」という看板を出している店に入って食事をとる。この辺りでは人気があるのか、店の中は人でいっぱいだ。他の人が食べているものを指差して「あれが食べたい」というと、「大根牛腩飯」だとのこと。あまりおいしそうな名前ではないが、注文してみる。待つこと20分、ようやく「大根牛腩飯」がやってくる。牛の筋肉と大根を一緒に煮込んだ料理のようだ。まぁまぁの味だ。さんざん歩いた後だから、お腹も空いている。あっという間に平らげた。(この「大根牛腩飯」が後に大きな不幸を呼び込むことになるとは、この時点では知るよしもない・・・)。

【大根肉<月南>飯】

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 腹を満たしたところで、もう一度、「湛江汽車客運駅(バス・ステーション)」まで戻ることにした。いろいろ考えたすえ、明日は同じ「湛江市」内にある「雷洲」へ行ってみることに決めたからだ。そのためには、バスの出発時刻を確認しなければならない。

 バイタクの運ちゃんに行き先をいうと、「10RMB」だという。「10RMB」だなと指で形を作って念を押すと、「7RMBじゃないぞ、10RMBだ」としつこい。「だから10RMBだろ」というが、すでに疑心暗鬼モードに入っているのか、「7RMBじゃだめだ」というばかり。仕方がないので、隣の運転手をつかまえて交渉を始めるが、先ほどの運転手が「こいつ7RMBだっていうんだよ」と余計なことをいうので、こちらの運転手も疑心暗鬼モードに入ってしまった。これでは埒が空かない。財布から10RMB札を出して、「この10RMBだ。この一枚をおまえに払う!」と叫んでようやく納得してもらう。

 帰りも長いドライブが涼しい潮風が気持ちいい。運転手と無駄話をする。ホテルとマックの服務員は最悪だったが、バイタクの運転手や小売店の店主は気のいい人が多いのが「湛江市」の特徴か?「湛江汽車客運駅(バス・ステーション)」で明日の出発時刻を確認した後、夜食用のパンを買ってホテルに戻った。

 今日のまとめをして横になるが、ここでもカラオケがうるさい。しかし、12時にはピタリとやんでくれたので救われた。いつの間にか眠りに着いた。

2002年4月5日

- 運命の導き -
 6時15分起床。さあ、出発だ!と勢い込んだところで、歯茎に異常を感じた。何やら膨れているではないか・・・。何度も確認するが、やはり膨れている。どうしようか?と考えたが、やはり体に異常を抱えたまま続けるほどの旅ではない。一旦、帰宅を目指すことにした。

 7時15分長距離バス・バステーション(「広湛客運駅」)に到着。広州行きのバスの所に行き、運転手に「いくら?」と聞いてみる。「110RMBだ」という。そこで、切符売り場に切符を買いに行くと、なぜか130RMBを請求された。変だなと思いつつ、運転手のところに戻って切符を見せると、「なんだ、切符を買ったのか、だったらこのバスには乗れねぇーよ」と言われてあ然。よくみてみると、夜行寝台バスだった。どうやら、帰りの便を利用して運転手が闇で商売しているバスだったらしい・・・。損した気もするが、やはり正規運行のバスの方が安心だ。しかし、正規のバスの出発は9時20分。長い待ち時間となってしまった。

 9時20分出発。途中、食事を挟んで、広州に着いたのは4時近く。そこから常平バス・ステーションまでさらに2時間。また乗り換えて、住処のある町まで20分。アパートに着いたのは夜の7時近くであった。疲れきっていたが、問題の歯茎の異常はすっかり治ってしまっていた。昨日の夕飯食べた「大根牛腩飯」の肉が歯の間に挟まって、歯茎に圧力を加えたため内部出血を起こしていたのだ。それがバスの揺れとともに抜け落ちたら、あっという間に治ってしまった。とんだ空騒ぎであった。帰路に着いてしまったあとでは、手遅れ(笑)。

 トラブルだけの旅になってしまったが、こんな時もある。それが旅・・・。それでは、また。