昆明市の旅


灰色の部分が雲南省です。

【 目 次 】

<2003年1月17日>
 ・いきなりトラブル
 
焦るな
 
昆明の夜

<2003年1月18日-1月21日>

 
「大理探検記」「麗江探検記」

<2003年1月22日>
 
ポケットの中にはビスケットが一つ
 ・カモーメ、カモーメ
 ・耐えるしかないとき

<2003年1月23日>
 ・最終日

2003年1月17日

- いきなりトラブル - 旅はこうして始まった・・・

 12:35、意気揚揚とアパートを出発。深セン空港までのタクシー料金は交渉の末40RMBとなった。順調な滑り出しだ。最近、深セン空港に新ターミナルが建設されたので、私の乗る便が新旧どちらのターミナルかわからないのが不安だったが、これも運ちゃんが教えてくれたのでクリアできた。「この間、昆明行きの客を乗せたばかりなんだ」そうだ。よかった、よかった。
 12:55、空港着。チェックインの時間とカウンター番号を確認した後、空港建設費のチケット(国内は一律50RMB)を購入する。これで準備万端だ。ここで休憩タイム、空港の喫茶店で軽食をとることにした。サンドイッチ(25RMB)とモカ・コーヒー(45RMB)を注文する。中国でもレギュラー・コーヒーは高い。日本より高いくらいだ。普通の喫茶店でも一杯20RMBぐらいする。ちなみに現地人向け喫茶店ではインスタント・コーヒーも出す。こちらは5RMBとリーズナブルである。だが、この空港の喫茶店ではなんと35RMBもした。日本円にすると、500円ぐらいだ。これなら、少し高くてもレギュラー・コーヒーを飲んだほうが納得がいくというものだ。
 午後1:40、チェック・イン。衣類の入ったバッグを預け、リュックは機内持込とした。身分証チェックを済ませ、セキュリティチェックに突入する。春節前のためか、異常なまでに厳重だ。時計などの小物をコンベアに乗せるのはいつものことだが、今日は靴と上着まで脱がされコンベアに乗せられた。靴と服を一緒に流すのは問題ありだと思うが、こんなところで文句を言っても始まらない。手荷物のリュックも同じくコンベアに。
 私自身は問題なくゲートを抜け、OK。ところがここでトラブル発生した。リュックに入れてあったアーミーナイフが引っかかってしまったのだ。このアーミーナイフは今まで一度も問題になったことがないというのに。
 どうしたらよいか?と係員に尋ねると、まだ時間が早いからもう一度カウンターに預けてやり直してくればよいと言われた。えー、もう一回!と思ったが、グダグダ言っても始まらない。狭い通路を走り抜け、再びチェックイン・カウンターからやり直しだ。再度セキュリティーチェックを受け、搭乗口前の待合室に到着したときには汗だくだくとなってしまった。早めにチェックインしておいて助かった。しかし、もし再度のチェックインするの避けていたらどうなっていたのだろうか?アーミーナイフを取り上げられていたのだろうか。それとも、一時預かりをするだけで済んだのだろうか。

- 焦るな - いつになったら、出発できるのか・・・

 新ターミナルには旧ターミナルの雑然とした様子はなく、やはり近代的な構造になっていた。ただし、国際空港を担えるほどの規模はなさそうだから、隣にある旧ターミナルを再建して、将来の国際化に備えるのかもしれない。
さて、搭乗時刻は3:10である。しかし、なかなか始まらない。モニターで時刻を確認してみると、変更が入っていた。新しい搭乗時刻は3:30であった。こちらは快晴だというのに昆明側で霧でも発生しているのか、あるいは格安チケットの便は何かと後回しにされがちなのか。いろいろ推測してみるが埒があかない。(当たり前だ)。
 しばらくして、再度モニターを確認する。と、こんどは3:40に変更されている。どあーーー。いつになったら出発できるんだ。最初は20分延長、次は10分延長。普通に考えれば、これで変更は終わりだろうが、ここは中国だ。次はとんで1時間延長となったりはしないだろうか。

 私がこんなに時間を気にするのには理由がある。遅く着いたからといって、宿泊場所が見つからないという心配はまずないが、ホテルの選択と料金交渉の余地が狭くなるのだ。真っ暗な中とぼとぼとホテル探しをするのはつら過ぎる。では、なぜ予約をしておかないのか。それは、私が泊まる中級クラスのホテルでは、実際に部屋を見てみないと良し悪しがわからないからだ。また、予約していても、部屋が一杯になればキャンセルされてしまうのであまり意味がないというのもある。 結局、飛行機は4:10に離陸(搭乗は3:40)。シート数は70席程度の小さなジェット機だが、液晶テレビが3列に一つずつついている。席は満員だ。機内食は相変わらずメチャクチャ。パンとカステラと木の実とミネラルウォーターというわけのわからない組み合わせ。なんとかならないものか。

 午後6:20、昆明着。昆明空港は考えていたよりもずいぶん地味。観光のメッカだから、さぞかし現代的な空港かと思っていたが、やけに古びた空港であった。所々改装工事を進めている様子からすると、建物がずいぶん傷んできているのではなかろうか。
 午後6:35、タクシー乗車。乗車空港からホテルまでの道のりで道路脇の建物を眺めていると建物がずいぶんこじんまりとしているのに築く。広東省の建物はどかんと不必要なぐらい大きなものが多いのと対象的だ。南の人間は身体が小さいから部屋も小さくていいのかな?
- 昆明の夜 - ホッと一息・・・
 午後7:10、「地球の歩き方」に紹介されていた「茶花賓館」にチェックイン(170RMB)。こざっぱりしたいい部屋だ。服務員の態度もきびきびしていて好感がもてた。小遣い稼ぎのポーターがつきまとうこともないので、不愉快な思いをせずに済むのもいい。
 敢えてデメリットを挙げるとすれば、①お茶がティーパックに入っていないこと。②タオルやシーツは最初の一回を除いては、申し出なければ交換してもらえないこと。③エアコンのパワーが弱い、などがあるだろう。しかし、これらのデメリットも効率的な経営に徹した結果だと考えれば納得できる。一泊170RMBなら納得の料金といえる。

【茶花賓館の部屋】

 午後7:25、昆明の街に夜の散策に出かける。街の雰囲気は落ち着いていて、天津や珠海と似通ったところがある。人々もせかせかとせず、のんびりと歩いている。雲南省の首都らしく、プーアール茶の看板を掲げたお茶屋さんが多い。(プーアール茶というのは、古ければ古いほど価値が高いという珍しいお茶でダイエットに効果があると言われている)。街中には按摩や体重計の露店が目立つ。以前に住んでいた貴州省と似通ったビジネス文化なのかもしれない。

 1時間ほど歩いて昆明駅に到着(8:30)。南方の雄、雲南省の省都の駅だ。さぞかし大きな駅だろうと想像していたら意外なほど小さな駅で驚いた。中国最貧省の省都貴陽の駅とほとんど変わらない。ただ、切符売り場は拡大に拡大を重ねている様子で駅よりも切符売り場の面積のほうが大きいのではないかと思わせた。

【夜の昆明駅】

 今回の旅のルートは深セン→昆明(1泊)→大理(2泊)→麗江(2泊)→昆明(2泊)→深センの予定である(飛行機の中で決めた)。従って、明日は大理行き。明日の大理行きにはバスと列車の二つのルートがるのだが、上記に書いたようなちっぽけな駅に人が群がっており、どこが改札かもわからないぐらいごった返しているので、バスで行くことにした(今考えると失敗)。
 駅前のバス乗り場をぐるりとしてみるが、どれもオンボロバスばかり、こんなオンボロバスで移動するのは現地人か筋金入りのバックパッカーぐらいのものだ。アマチュア旅行者の私がこんなバスに5時間(大理までバスで5時間)も乗ったら死んでしまう。
 しかし、豪華型バスがどうしてもみつからない。こうなったら覚悟を決めてボロバスでいくしかないと憂鬱気分で帰りかけたところで、比較的新しい建物にバスステーションと書いてあるのを発見した。喜び勇んで乗り込んでいくと、あった、あった、豪華バス少し高いがこれなら快適に時を過ごせる(ボロバスは65RMB,豪華大型バスは104RMB)。

【昆明バスステーション】

 夕食は明日の移動を考えて、無難にDICOSで済ませる(DICOSとは、大陸系ケンタッキー、フライドチキンの美味しさはケンタッキーを上回るかも?)。その後、夜店街に寄る。香港の豊富な品々を並べた夜店を見慣れた目には少し物足りない感じがするが、じっくり見ると、昆明らしさが見えてくる。商品のぶら下げ方、置き方がマメマメしい感じで広州などとはやはり違うのだ。しばらくブラブラした後、久しぶりに羊の串焼きを食べる。懐かしい味だ。でも、ちょっと肉が固いかな。羊の串焼きは北方の方がおいしい。羊肉を堪能したら、今日は終わり。ホテルに戻って休息するだけだ。タクシーをつかまえて、ホテルへ帰る。(ちなみに昆明ではシートベルト着用がまだ義務となっていない)。

追加情報(2004年7月):DICOSは大陸系ではなく、米国系であることが判明致しました(経営は台湾の「頂新国際集団」)。洋風ファーストフード店では、マクドナルド、ケンタッキーに次いで第三位の規模だそうです(2003年)。マクドナルド、ケンタッキーが直営店を主体に拡大しているのに大して、DICOSはフランチャイズ店が主流。マクドナルド、ケンタッキーが大都市を中心に展開しているのに対し、DICOSは中小の都市で大活躍という相違があるようです。

【夜店のぬいぐるみ屋さん】

2003年1月18日-1月21日
上記期間は、「大理探検記」「麗江探検記」をご覧ください。
2003年1月22日
- ポケットの中にはビスケットが一つ -
 この旅は「麗江探検記」からの続きです。

 7:40分チェックアウト。外はまだ真っ暗だ。空港まで行くリムジンバスは、チケットを購入した支店とは別の店から出ることになっている。さほど遠くなさそうだが、もらった名刺の裏に印刷された粗雑な地図ではとうてい辿り着けそうもない。そこで、タクシーを飛ばすことにした。
  
   暗い闇の中でも、タクシーはビュンビュン走っている。手を振って一台をとめ、乗車した。わずか5分で到着。下車して周囲を見回す。リムジンの姿が見えない。出発の時間まで20分ほどあるので、ぐるりと辺りを回ってみることにする。不思議なのは私以外に誰も、バスを待っている人がいないことだ。いくらシーズンオフとは言え、私だけが飛行機を利用するわけではあるまい。他の客はみんなタクシーで行ったなんてことはないだろう。

 不安が募る中、探索の足を少し広げて建物の裏へ回ってみることにした。すると、少し引っ込んだところに中型のバスが一台、灯りをつけて停車しているのが目に入った。今にも出発しそうな様子だ。慌てて近づいてゆくと、そばの詰め所に背の高い男が一人、丈の長い防寒服を着てタバコを吹かしていた。「空港までのバスはあれか?」と尋ねると、「そうだ。乗れよ」とぶっきらぼうな答えが返ってきた。
 置いていかれなくてよかった。そそくさと乗り込む。そして、8:00に発車。だが、出発は8:10だったはずだ。もし、時間通りに来ていたらどうなっていたのだろう。第2便のバスがあったのだろうか。置いていかれたらタクシーを使えばいいだけの話ではあるのだが。

 8:30、空港着。こぢんまりとした空港だ。しかしこの小さな空港が中国の主要都市の大部分と直接結ばれているのだ。麗江の人気のほどがわかるというものだ。チェックインを済ませて、搭乗口の待合室でぶらぶらと土産物を眺める。書店で、ナシ族が使っているという絵文字の辞典を見つけた。面白そうなのでペラペラとめくってみる。子供の落書きと大差ないが、なんとなくいい感じだ。ホームページに使ったら、面白いんじゃなかろうかと考え、2冊購入した。

  9:00離陸。9:40昆明着。短距離だからあっという間だ。こんな短距離の飛行機に乗ったのは初めてだ。機内食はなんとビスケット一袋。つまらない機内食を出されるぐらいだったら菓子一袋のほうがましだ、そう思ったことが過去何度かある。中国の機内食ときたら、ザーサイとカステラとかひどい組み合わせが多いからだ。しかし、いざ菓子一袋を出されてみるとなんとも味気なかった。やはり、形だけでも機内食をつけて欲しい。つーか、エクレアぐらい出せよ。

 今回は少し良いホテルにしようと、タクシーの運転手に「金花酒店」の名前を告げた。旅も終りに近づいたことだし、少々の散財は許されるだろう。ところが、何が気に入らないのか、運転手はホテルの名前を聞くなり、悪口を並べ立て始めた。いわく、カラオケでやかましい。いわく、酔っ払いが間違ってドアを叩きまくる・・・。そして、別のホテルを一生懸命勧めるのだ。大方、リベートでももらっているのだろうと想像する。しかし、問題があるかもしれないホテルに泊まるのも気分が悪い。そこで、先日泊まった茶花賓館に急遽変更。ここでも運ちゃんはグチャ、グチャ言い始めたが、もう相手にしない。押し切る。運ちゃんもとうとう諦めて茶花賓館へ車を向けた。そして、トランシーバーに向かって、いくら勧めてもダメなんだとか、なにやら言い訳めいたことをしゃべっている。会社ぐるみでホテルからリベートをもらっているのかもしれない。考えてみれば、なかなか効果的な営業法だ。日本ではありえないだろうけれどもね。

 11:30チェック・イン。先日は140RMBで泊まったと記憶していたので、一生懸命にネゴしたが、結局、170RMBにしかならなかった。その上、ゴネラーと思われたのか、フロントマンから冷たい目で見られてしまった。部屋に入ってから改めてノートをみると、前回も170RMBであることがわかった。あーあ、道理で視線がきつかったわけだ。

 明日は昆明観光の大御所「石林」行きを控えている。だから、今日は大人しく市内巡りをして、体力の温存に努めることにし、まずはユリカモメが集まるという翠湖公園へ向かう。最初は徒歩で行ってやろうと、元気よく出かけたが、街並を眺めたりしているうちに方向がわからなくなって迷子状態になった。体力温存どころか疲れ果てて倒れそうになってきたので、タクシーをつかまえて公園着。

  翠湖公園は湖があるだけの小さな公園だけれども、数百羽はいると思われるユリカモメが飛び交う様は圧巻だ。以前に読んだ小説によると、カモメは頭は悪いが空中で餌をとるのがとても上手だという。 早速、カモメ用の餌(パン)を購入(1RMB)して、小さくちぎって、空を飛ぶ数羽に向かって投げつける。しかし、どのカモメも空中でキャッチすることはなく、水面にポッチャと落ちてからとりに行く怠け鳥ばかり。つまらんなと遠くを眺めると、集団で旋回行動をとっている一群を見つけた。やる気がありそうなカモメたちだ。
 
 再度、餌を購入してトライ。投げつけるときに、少し回転させて滞空時間を長くしてやった。すると、今回は上手にキャッチしてくれた。空中を旋回しながら、もぐもぐとくちばしを動かし瞬く間に平らげていく。これは面白い。次々に投げるうちに餌はあっという間になくなってしまった。パンを丸ごと投げたら、それを加えたまま飛びつづけることができるだろうか?そんな疑問が湧く。試してみたかったが、周囲には家族連れの子供がたくさんいる。考えてみれば、大人げない行為だ。しかし、やってみたい。散々迷ったが、良識が勝って作戦中止。

【翠湖公園のユリカモメ】

 翠湖公園の次は、昆明動物園だ。ベンガルという珍しい虎がいるというので、足を伸ばしていってみることにした。ところが、私が動物園に着いたときにはすでに夕刻。客がほとんどいない。客だけでなく、動物もしまいこまれていて、空となった檻があるばかりだ。お目当てのベンガル虎もすでに消えていた。しかし、猿山とバッファローの写真がとれたので、よしとしよう。

 夕食はホテル近くのお店でラーメンを食べて終わり。明日の石林に備えて体力を蓄えるぞ!

2003年1月23日
-  耐えるしかないとき -
 7:30発。「地球の歩き方」によると、「石林」行きのバスは昆明駅のそばから発車するとある。そこで駅前までタクシーを飛ばした。到着すると、まずは大理行きのときに利用した(高級?)バス・ステーションをグルリと回ってみる。怪しげなおばちゃんが「石林!石林!」と叫んでいるが、とりあえず無視。こういった呼び込み屋についていくのは最後の最後の選択だ。

 だが、「石林」行きの切符売り場はどこにも見当たらない。終いに、駐車場まで直接足を運んで調べたが、「石林」行きのバスはない。そこで、駅前のボロいバス・ステーションにも行ってみる。ここにもない。困ったことになった。時間が刻々と過ぎていく。すでに8時近い。列車でいく手もあるが、「地球の歩き方」には「石林駅」から「石林公園」への行き方は書いてなかった。どうも不安がある。その上、昆明駅は構造が複雑で切符を買うのだけでも時間がかかりそうだ。ならばタクシーか。いや、タクシーはだめだ。一人旅の意義を大きく損なってしまう。ええい、どすこい(?)。さっきの呼び込みおばちゃんのバスでいくとするか。

 「ほら、アンタ、やっぱり石林に行くんでしょ。なんでさっき返事しなかったのよ。第一便はもういっちゃたわよ」と元気がいい。(できれば、おばちゃんのバスは使いたくなかったんだけどね)とは口に出せない。「石林までいくらなんだ」と尋ねる。「全部込みの料金?」「いや、石林までいくだけでいい」「往復?」「片道でいいよ」とやりとりが続く。歩き出したおばちゃんに懸命についていきながらの会話だ。

 「だったら15RMBよ。でも、アンタは石林は初めてなんでしょ。全部込みのほうがいいわよ」「いいよ、片道で。何時に出発するんだ?」「8時30分よ。ぴったりに出発するわ」。途中、ホテルの庭を通り抜けたりと、怪しい路地を突き進む。(なんだか、やばい雰囲気だ。いきなり取り囲まれたりしないだろうな)と心配になってきたところで、バスが見えてきた。中型のバスで、すでにほとんど満員となっていて、後ろしか席が空いていない。

 しかし、この光景は6年前の少林寺行きツアーバスでも見たことがある。大部分がサクラなのだ。前方に座っている年寄りの一群が疑わしい。そう考えながら席に着く。すでに8時を回っている。
 ここで30分も過ごすのか、だったら急ぐ必要もなかったな、と考えていると、さらなるカモがやってきた。と同時に私の周囲の5,6人の客が席を立ち、下車した。サクラは前部の年寄り群ではなく、周囲の若者たちだったのだ。

 新しく来た一団が席に着くと、早速出発。8:15だ。8:30の出発ではないのかと問い質したいところだが、私をここまで連れてきたおばちゃんは料金を受け取るとさっさとどこかに姿を消してしまっていた。まぁ、早く出発する分には文句もない。
 9:00、土産物屋で小休憩となる。当然のようにガイドが先頭に立って、土産物ツアーが始まった。5分ほど付き合って、ショーウィンドーに入った水晶石や金や銀などの飾り物の間でブラブラし、早々にバスに戻る。皆もすぐに戻ってくるかと思ったけれど、甘かった。数人の客がガイドのおだてにのせられて買い物に夢中になってしまったのだ。結局、40分も土産物屋で過ごすはめになった。
 石林まで2時間の行程という話だから、40分の休憩はひどい。怒りの小さな炎が燃え上がる。だが、私の他は誰も怒っていない。皆はコミコミのツアー参加らしい。最初から「石林ツアー」に一日使うつもりでいるから、これぐらいではなんとも思わないのだ。まぁ、こんなことで怒るのは大人気ないというものだろう。そう自分を納得させ、バスの外の風景に集中した。ところが、30分ほど走っただけで再び、土産物屋で停車、またも40分間の休憩。
 ぐおおーー。だが、打つ手なし。そう言えば、少林寺行きツアーバスの時も、余計な場所をあちこち連れまわされたものだ。あの時、二度とツアーバスには乗るまいと誓ってから、6年間、禁を守って痛い目に遭わずにいた。しかし、再び試練のときがきた。それも奴は何倍もパワーアップして現れた。今回のツアーバスに比べれば、少林寺行きのなど可愛いものだったと懐かしく思い出す。あのときはお土産屋一回とインド風テーマパークがあっただけで、せいぜい20分ぐらいずつだったのだ。

  そもそも、客が全員戻ってくればバスは自然と出発する。ガイドだけで買い物をするわけにいかないのだから。そう考えて、改めて原因を辿ってみると、毎回、毎回大きな買い物をしてくるおじさんと若い娘の二人組みがいることに気づいた。このおじさんがおだてられては買い物をするから、ガイドがしゃかりきになってセールスに走り、結果としてバスが遅くなるというわけだ。

 11:10。今度は「岩泉寺」といううさんくさい寺に到着。「石林」の名声あやかろうと、急いででっかくしたのがみえみえの寺だ。安っぽい、仏様だか大黒様だかわからないハリボテの像が正門におかれている。もはや、皆の後について入る気にもならない。一人バスで待つことにする。いいじゃないの、とことん付き合ってあげますよ。少し泣きが入ってきた私であった。ここでも結局、1時間10分を過ごすことになった。最後にバスに戻ってきたのはやはり例のおじさん。またもや土産物の山を高くして意気揚揚。どこにでも騙されやすい人はいるものだ。12:10発。そして、1:10分に昼食休憩。さすがに他の客も苛立ち始め、「昼食なんかいらない。早く出発しろ」と叫ぶ者も現れ始めた。でも、結局昼食。そして、1:35に出発。1:40分、ようやく最終目的地「石林公園」着。
 2時間あれば着くことができる距離を、なんと5時間30分かかって到着。死んだ。

 下車しようと準備していると、ガイドから「あまり時間がないから、2時間で戻ってくるように」という指示が出た。どあーーー、誰のせいで時間がなくなったんだ。まぁ、2時間あれば十分だ。気を取り直して観光に取り掛かる。

   石林はうわさにたがわず最高の観光地だった、そう書きたいところだが、残念ながらずいぶんと商業化が進んでいて、自然を楽しむという雰囲気ではない。通りは全て加工された石で敷き詰められていて、土などが入り込まないようになっていた。石林というよりも石のある国営公園といった感じだった。これなら、貴州の天星橋のほうがはるかにすばらしい。まぁ、大量の観光客を受け入れるためには安全にも気を使わなければならないし、どうしてもこんな風にになってしまうのかもしれない。
 いろいろ不満はあったが、公園の全てが見渡せる獅子亭と望峰亭からの眺めは壮観であった。ガイドなしでたどり着いたから喜びも大きい。観光客が多かったから方向音痴の私でも一人で回ることができたが、そうでなかったら、途中で迷子になっていたことだろう。石林内部はそれぐらい複雑な構造になっている。

【石林】

 4:30、石林発。他のバスでも出ていればよかったのだが、あいにく見当たらない。やむなく来たときと同じツアーバスに乗車。まさか帰りは土産物屋に寄ることはないだろう。だが、甘かった。もう街中に着きそうだという頃、バスは突然大きな病院の敷地に入り込み、たくさんある建物の一つの前で停まった(6:30)。今度は足マッサージを受けろという。無料という言葉に釣られて、他の乗客はどんどん中に入っていく。入って行かなかったのは、私と散々カモられたおじさんのみであった。おじさんはさすがに少し反省していて、「ちょっと買いすぎたかなぁ」などとぼやいていた。それでいて、「旅に来たんだから、お金は使わなくちゃ意味ないよね」と自分を慰めている。懲りない人だ。7:15、足マッサージが終わって、皆が戻ってきた。「足がぽかぽかして気持ち良かったね。少し高かったけど・・・」とかのたまっている。本人が満足しているならそれでいいだろう。私も勉強させてもらった。7:30、ようやく終点。あまり行く価値のない場所であったが、昆明に来て「石林」は外せない。必要な被害であったというべきだろう。皆さんが行くときには、列車をお勧めしたい。後日、中国人用のガイドブックで調べたところによると、西門のほうからもバスが出ているらしい。こちらはツアーバスではないかもしれない。余裕があれば試してみてください。

2003年1月24日
- 最終日 -
 とうとう最終日だ。この日も交通機関には痛い目に遭って、昆明空港までのタクシーでは遠回りをされてしまった。その上、深セン空港から自分の街までのタクシーでも、運転手と口論になり最悪の雰囲気で旅を終了した。
 でも、トータルすると、大変充実した旅であったといえよう。昆明にはもう来たくないが、麗江にはまた行ってみたい。そして、雲南省の観光メッカの一つ西双版納(シーシュアンバンナ)も残っている。中国は広く、旅の場所は尽きない。次の旅は「黄山」を予定しています。それでは、また。