2003年4月-5月(day004)

2003年4月-5月(day004)


2003年4月7日

 肺炎問題の先が見えない。未だにウィルスを特定できずにいるのだから、ワクチンなどは夢のまた夢。工場ではマスクや消毒薬が配られ、先日はとうとう予防委員会なるものがつくられた。先週はまだ半信半疑で、配られたマスクをする工員はほとんどいなかったが、今週はどうか?
2003年4月8日
 近頃、アパートのそばにある飯屋で食事をとることが多くなった。8元で回鍋肉の定食を食べることができる。味もなかなか、特にご飯が日本風にふっくらと炊けているのがうれしい。8元というと日本円で120元ぐらいだ。同じものを日本の弁当屋で注文すれば、350円ぐらいだろう。お店なら500円というところだ。
 想像していたほど安くない、そうお考えになる方も多いと思う。そうなのだ。中国も沿海部となると、物価も大して安くない。公平に考えると、せいぜい、日本の5分の1というところだ。ただ、こんな高いものを毎日食べていては出稼ぎ労働者は生活していけない。ならばどうするか。屋台で食べるのだ。屋台ならば、お店で8元のものが3元ぐらいになる。日本円に直すと50円。そうすると、上に書いた日本の飯屋のほぼ10分の1ぐらいの価格となるわけだ。だいたい日本の皆さんが想像している物価の差と一致するのではないだろうか。 
2003年4月20日
 数日前、「華南の靴」が再びGoogleへ登録された。しかし、今回はトップページのみなので、アクセスが少ない。ちょっぴり残念だ。
2003年5月3日
 先週から留学時代の友人K君が遊びに来ている。普段は一人で行動することが多いので食事をする場所が非常に限られてしまうが、二人となると大分選択の幅が広がる。
 今日は「素食館」という野菜メインのレストランで食事をした。ビールもアルコール抜きという健康志向のお店だ。味付けも軽くて日本人向けといえるだろう。炒め物には特別な油が使用されていて、サラダ油よりも軽い感じだ。ふつうの中華料理であるような胃が重くなるようなところが全くないのがよかった。是非また行ってみるとしよう。
2003年5月7日
 数日前、携帯電話を買い換えた。デジカメ付カラー液晶の、中国では最新機種に入る優れ物だ。液晶画面は6万色以上あってとても美しく、インターネット上から画像をダウンロードして貼り付けることも可能だ。音楽もダウンロードして楽しむことができる。日本の携帯電話まであと一歩というところだろうか。

 さて、話はこれからだ。今日は代休で一日休みをとれたので、深センに買い物に行くことになった。滞在中の友人のKくんも一緒だ。さあ出発しようかという時、突然、電話がリーン、リーンと鳴り響いた。私のアパートの電話はインターネット専用も同然なので、番号を知っている人間ほとんどいない。かかってくるのは間違い電話がほとんどだ。とは言え、無視するわけにもいかないので、受話器を取り上げた。すると、女の声が「貴方が先日携帯電話をかったときにひいたクジが2等賞となった」という。そう言えば、そんな事もあったなと記憶を呼び戻した。「今から売り場まで来てくれ」という話なので、わかったと返事をし受話器を置いた。
 改めてクジを取り出してみると、2等賞は購入金額の20%バックだと書いてある。4,680RMB(6万6千日本円)で買った携帯電話だから、20%というとなかなか大きい。当たったのはうれしいが、どうも話がうますぎる。この中国で1万2千円もの現金をバックしてくれるなんてことがありうるのか?疑心が頭を駆け巡る。新聞でもこの手の詐欺が毎日のように紙面をにぎわせているからなおさらだ。
 しかし、当たったといわれて取りにいかないわけにもいかない。携帯電話売り場まで引換券をもって奨金を受け取りに行った。周囲を見渡しながら、どんな詐欺師がやってくるかと用心深くカウンターまで近づいたが誰もやってこない。そこで、カウンターの中にいた店員にクジの半券を渡す。店員は半券と当選者リストをじっくりと見比べて確認したあと、領収書と身分証を寄越せといってきた。パスポートのコピーが終わると、現金936RMBがバックされた。ここまできて、疑い深い私もようやく一安心。本当に当選したのだ。ラッキー!

 実は私のラッキーはここで終わらない。運試しと買ったスピード宝くじ(1枚2RMB)でも3等賞(50RMB)をゲット。うーん、ツキまくっている(笑)。あとがちょっと怖い。

2003年5月15日
 昨日は電脳部の皆を連れて、中華レストラン「潮洲人家」で夕食会を開いた。私はコンピュータ以外の総務的な仕事をよく引き受けるので、電脳部スタッフに専門外の業務をやってもらうことが多い。夕食会は、そんな専門外の仕事を快く引き受けてくれる中国人スタッフへのささやかなお礼の気持ちだ。
 「潮洲人家」は名前の通り、潮洲料理がメインのレストランである。日本人向けの味付けなので、とても食べやすい。内装も立派だ。日本だったら一食一万(日本)円/人は下らないだろうと思われる。
 当然スタッフも大喜びだったと言いたいが、実はそうでもない。彼らはこんな豪華な料理よりも、火鍋のような安い料理のほうをよほど美味しそうに食べるのだ。それなら火鍋に連れて行けばいいじゃないかというと、それも違う。「火鍋に行こう」と誘うと、(なんだ、火鍋か)という表情をするのだ。
 豪華な食事に誘うと、行く前は嬉しそうな顔をしてくれる。しかし、食事中は楽しそうではない。庶民的な食事に誘うと、行く前は嫌そう。しかし、食事中はとても楽しそう・・・。うーん、わけがわからない。もう一つ言うと、日本食に連れて行ったときもそうだ。行く前は嬉しそうだったのだが、食事は一向に進まなかった。

 不思議で仕方なかったので、とうとう中国人スタッフに理由を聞いてみた。すると、火鍋はワイワイ食べるものだから、それでいいのだという。つまり、火鍋は食べられるだけ食べるのが普通だが、豪華な料理をガツガツ食べるのは下品だというわけだ。というと、昨晩は私が一番下品だったとなるのか(泣)。 

2003年5月19日
 私の住んでいる街は交通事故がやたらにある。それもそのはず、誰一人交通規則を守らないからだ。特にバイクが危ない。以前に住んでいた東莞では、バイクタクシー(通称バイタク)というのが公式に認められていたので、運ちゃんもそれなりに職業意識をもっており、安全運転を心がけている様子がみられた。しかし、この街ではバイタクは認められていない。つまり全くの違法なのだが、バイタクの数は東莞よりはるかに多い(?)。

 これらの違法バイタクはほとんど野性の感だけで運転をしている。私のアパートそばの大通りにはバス停があり、バスが停まる度に数台のバイタクが客を取りに反対側の広場から突っ込んでくる。急加速、逆車線走行だ。これで事故が起こらないわけがない。

 私もこの大通りを歩いて横切ることが多い。大きなスーパーが向こう側にあるからだ。自動車とバイクが入り乱れる中を細心の注意を払って渡る。しかし、どんなに注意を払ってもバイクや自動車が突っ込んできたら終りだ。そして、昨日とうとうその時がやってきた。

 私もK君も中国滞在はすでに5年を超える。中国生活のセミ・プロと言っていい。慣れというのは恐ろしいもので、車とバイクが縦横無尽に飛び交う信号なしの交差点を談笑しながら渡れるようになる。昨日も、私が左、K君が右になり、並んで道路の中央まで来た。私もK君も話しに夢中だ。反対車線の車が途切れるのを待って渡ろうと暢気に構えていたその瞬間、私の目にピカッとバイクのライトの光が差し込んだ。「危ない!」と叫んだ私の声に反応してK君が振り返ったがもう遅い。バイクの前輪がK君の右足に激突した。ドカッという鈍い音が響く。

 左右の車線を行き交う自動車の群れの中で、オートバイとK君と私だけの時が止まった。K君はオートバイを見据えて仁王立ちだ。次の瞬間にもK君が足を抱えてうずくまるのではないかと想像が先に走った。幸い、思いのほか軽症だったらしく、K君は運転手を睨んで罵声を浴びせ始めた。私は怪我が心配でならなかったが、怒りに頭が一杯のK君は運転手に文句を言いつづけた。運転手は黙ってうなづくのみ。

 ひとしきり怒鳴り散らしてすっきりしたK君は黙り込んだままの運転手を後ろに残して道路を渡りきった。「大丈夫か?」と声をかけると、「大丈夫、痛くありませんよ」と元気な声が返ってきた。どうやら本当に何ともないらしい。運のいい奴だ(笑)。

 後日、機会が在って結局病院に行ってみてもらうと、軽い打ち身と診断されたとのこと。よかった、よかった。 

2003年5月25日
 一ヶ月の滞在を終えて、K君が旅立って行った。明日から香港で仕事が始まるのだ。K君の成功を祈るとしよう。 
2003年5月26日
 本日、「ALA!中国(http://www.alachugoku.com/)」さんにリンクを張って頂きました。
2003年5月29日
 近所に新しくオープンしたデパートでは、なんと、レトルト入りのカレーが販売されている。それも味の素が作っている日本のカレーだ。(中国のカレーは台湾風のものが多い)。そこでここ数日はカレーばかり。カレーライス自体は会社の食堂で立派なものが食べられるのだが、レトルトにはレトルト独特のおいしさがあるのだ。当分はカレーにはまりそうな予感。

 実は最近、インターネット口座に凝っている。最初はインターネットでお金を扱うなんて危なくてできないと思ったが、同僚のSさんが毎日楽しそうに操作をしているのにつられて、ついつい始めてしまった。
 やってみると便利この上ない。なんと言っても、残高確認が手軽にできる。なんだ、残高確認か・・・と思うなかれ、これは非常に重要なのだ。
 私は香港に銀行口座があり、お金が必要になると会社の近くのATMからカードで引き落とす。すると、香港の口座から自動的にHKドルがRMBに交換されて出てくる。(私が使用している銀行のカードは深センのATMならどこでも利用できる優れものだ)。
 仕組みは上記の通り単純明快なのだが、お金を引き出した後、いつも不安にさいなまれる。果たして本当に下ろした分だけ引かれているのだろうか、余分なお金を取られていやしないだろうかと。残高照会はできるのだが、こちらの残高照会は紙では一切でてこない。画面表示されるだけだから前回いくら残っていたかなんて覚えていない。そうしたことが積み重なっていくと、しまいに、もしやハッカーに時々抜かれてるのではなかろうかと心配でたまらなくなってくる(ちょっと大げさ)。
 そもそも、この辺りのATM利用者は他人がお金を下ろしているとピッタリ後ろについて画面を覗き込んでくるので残高照会もおちおちやっていられない。私の口座に入っている金額などたいした額ではないが、中国一般の労働者からすればとんでもないレベルだ。一度、やむなく衆目(笑)の中で残高照会をしたら振り返った途端に皆の驚愕の表情に迎えられてしまった。それ以来、他人がいるところでは恐ろしくて残高照会ができない。ひったくりが日常茶飯事の街で財布の中身を晒すなんてあまりにも間抜けすぎるからだ。
 話が長くなってしまったが、そういうわけでインターネット上で残高照会ができるというのは非常に便利なのだ。続きは別の機会に・・・。