2005年6月(day020)

2005年6月(day020)


2005年6月(day020)
2005年6月2日
 Zのパソコン教育の一環として始めた中国のネットワークゲーム「熱血伝奇」。二人ともレベル15を超えたところで、圧倒的に時間の余裕のあるZがどんどん先に進んでしまい、私がまだ15でノタノタしているうちにレベル17にまでなってしまった。「遊び」とは言え、これでは私が面白くない(おっとっと)。
 もう一つの問題は、あくまで試しで始めたため、私とZのキャラクターを一つのアカウントで登録していたことだ。これでは、二人のキャラクターがネットワーク上で出会うことができず、ネットワークゲームの面白さが十分に生かされない。ということで、二人分のアカウントを作り直し、最初からやり直そうとZに提案した。(決して、勝負をチャラに戻そうとか考えていたわけではない。考えていたとしてもほんの少しだ)。
 Zは(また私を騙そうとしているの?)と疑わしそうな顔で私を眺めたが、私がZに設定してやった「剣士」のキャラクターがあまり好きでなかったこともあって、なんとかやり直しに同意してくれた。

 やり直しに当たって、せっかくだから別のゲームにしようとインターネットで情報収集に乗り出した。すると、私たちがやっていた「熱血伝奇」ともう一つ、「奇跡」というゲームが中国の二大ネットワークゲームであることが判明した。それではと、「奇跡」を試してみたが、ポリゴン3D(?)であることもあり、どうも操作に慣れることができない。その上、日本語環境では全く動かないことが判明(注:XPなら動くかもしれません)。そこで、改めて「熱血伝奇」に挑戦することにした。

 「熱血伝奇」には「剣士」、「魔法士」、「道士」の三つのキャラクターがある。「剣士」は力勝負のキャラクター。体力抜群で攻撃力に優れ、レベルアップが速いタイプだ。「魔法士」は文字通り魔法使い。体力はあまりなく、レベルアップも最初は遅いが強力な魔法を身につけた後は怖いものなしというタイプ。「道士」も魔法のようなものが使えるが、治癒とか毒とかそういった特殊系の方術が得意というタイプだ。

 前回は私が「魔法士」、Zが「剣士」だった。Zは私が火の玉を次々と繰り出すのをみて「私も魔法士の方が良かったのに!」と度々羨ましがっていた。ゲームらしいゲームをほとんどやったことのないZだったから、「剣士」のような単純なキャラクターの方がいいだろうとわざわざ選んでやったのだが、気に入らないらしい。確かに敵の遠くから派手な攻撃をぶちかますことのできる「魔法士」はやっていて面白い。そんなにやりたいなら今回は「魔法士」でやらせてみるか。そう考えて、「じゃあ、次はZが『魔法士』をやるか?」と勧めてみた。すると、疑わしげな顔をして「○○(私の名前)は何にするの?」と尋ねてきた。「えっ、俺は『道士』だよ」。「どうして?」。「『魔法士』は前回やったから、次は違うのをやってみようと思って・・・」。「ふーん、怪しいなぁ。じゃぁ、あたしも『道士』やる!」。「ォィ、ォィ、(疑いすぎだろう)」。「いいから、『道士』にして!」。

 うーん、そこまでいうなら仕方がない。「じゃぁ、俺は前回と同じ『魔法士』をやるよ」。「どうして?」。「いや、Zと同じキャラクターじゃつまらないから」。「ふーん」。「じゃっ、本当にZは『道士』でいいんだな。あとで文句言うなよ」。そういい捨てて、私はセッティングのためにPCに向かった。すると、後ろから「やっぱり『魔法士』にする!」と声がかかった。何やら決意を込めたような声だ。騙されてもしかたがないわ・・・、という感じ。(うーーん。俺、そんなにアコギなことやったかなぁ)。

 そんな複雑なやり取りの後、私は「道士」、Zは「魔法士」でゲームが始まった。今回は、ある程度公平を保つために、私が出勤中はゲーム禁止とした。もちろん、口で言っただけで聞くわけがないので、ゲームのログインパスワードを私が管理しておき、Z一人ではゲームを始められないようにしておいた。
 だが、私は帰宅後とは言え、そうそうゲーム漬けにはなれない。一方Zは、毎日のレベルアップを最大の楽しみとし、私が床に着いたあとも何時間もゲームやりっぱなし。経験の差をいかし、最短時間でZに追従するが、じわじわと引き離されていく。その上、私が追いつきそうになると、「代わって、代わって、私の番よ!」とうるさい。無視していると、キーボードをめちゃくちゃに押し捲るという物理的攻撃に出てくる。「悪魔か、この女(アマ)は」と心の中でつぶやく私。

 そうした死闘を繰り返し、私がレベル17の前半、Zがレベル17の後半というところで、双方の10RMB分のカードが切れ、一旦、戦いが中止となった。

 カードを買いに行けるのは、今度の日曜日(近所の電脳城は夕方の6時に閉まってしまうので出勤日には買いに行けない)。それまでは休戦というわけだ。良かった、良かった。Zまでもがホッとした様子なのは不思議だが。

2005年6月5日
 ようやく日曜日がやってきた。これでネットゲームのカードが買いにいける、と言いたいところだが、実はゲームはすでに始まっている。会社を早引けしてカードを買いにいったわけではない。別の支払い方法を試してみたのだ。

  ご存知の方もおられると思うが、中国ではクレジットカードよりもデビットカード方式のほうが普及している。レジでカードを読み込ませ、パスワードを入力すると支払いが終わる。同時に銀行口座からの引き落としがなされるという仕組みである。キャッシュカードをそのまま使用できるので非常に便利だ。デビットカードで使用する口座の金額を低めにしておけば、万一パスワードを盗まれても大きな問題にはならない。
 寮での多人数生活を余儀なくされているワーカーたちは盗難の危険もあり、多くの現金を手元においておけない。だから、このデビットカード方式で買い物をすることも少なくないようだ。

 インターネットでの支払いにもデビットカードと同様のものがあり、今回はこれを試した。まず、ゲーム会社のホームページで購入を希望する点数(ゲーム時間)を登録。次に銀行の選択画面が出てきたので、(私の場合は)工商銀行を選択した。すると、銀行のホームページに切り替わり、口座のパスワード等の入力要求がきた。求められるままに入力すると、支払い完了である。最初はとまどったが、慣れると実に簡単だ。確認のため、銀行の口座残高をインターネットで調べると、確かに注文金額分減っている。手数料はゲーム会社もちのようだ。カードで買うよりも11%お得という話だし、電脳城まで往復する車代も浮く。良いこと尽くめの支払い方法である。もっともパスワードはしっかり管理しておかないと危ないことになる。一番良いのはやはり、口座にたくさんの金額を置いておかないことだろう。クレジットカードと違って借越しになることはないから、安心だ。

 ともあれ、Zとの戦い が再び始まった。

2005年6月6日
 昨日は、念願の水槽買い替えを行った。容量は1M×0.45M×0.45M。値段は1200RMB。最初に購入した水槽が200RMB。次に購入した水槽が330RMB。そして、今回の水槽である。値段の比較だけしてみても、大きさの違いがわかって頂けると思う。

 実は大きさだけなら、もっと安くて容量の大きいのも置いてあったのだが、あまりにも深すぎて底まで手が届きそうもなかったので、今回の形にした。水槽のレイアウト変更をしょっちゅう行う私としては、底まで手が届かないというのはどうにも不便な感じがしたからだ。

 注文の二時間後、水槽が到着。初代、二代目の水槽を机ごと移動し、その場所へ新しい水槽を設置(新しい水槽は台付)。軽く水槽の内部を拭いて、お魚さんたちの移動を開始した。グッピーは水質に敏感な生き物なので、今回は二代目の水槽の水と一緒に魚を移動した。プラスチックの容器を使って、水を半分ぐらい移し、それからグッピーたちを網で引越しさせた。
  水ごと引っ越しさせたおかげでPHショックを受けずに、グッピーたちは大きな水槽の中で悠々と泳ぎ始めた。水はまだ足していないので、水量としては同じなのだが、面積が広いからまっすぐに泳げる距離が伸びたはずだ。喜んでいてくれるだろうか。しかし、ほぼ全部の水を移したというのに、新しい水槽の5分の1ぐらいの高さにしかなっていない。うーん、この水槽はでかい。今後何日かかけて、徐々に水を増やしていくとしよう。問題は、水槽の8分ぐらいが埋まらないとフィルターが動かないことだ。それまでは、水が汚れないように餌を減らさないといけない。しばらくは細心の注意が必要だ。

 グッピーの引越しが終わった後は、初代、二代目の水槽の処理だ。私一人なら、部屋の隅に残しておくところだが、今はZがいるのでそうもいかない。そこで、近所のリサイクルショップに引き取ってもらうことにした。お店の前で洗濯をしていたオジサンを連れてきて水槽と机の品定めをさせる。結果、ついた値段は40RMB。捨て値だが、重要なのは、引き取ってもらうこと。自分でごみ捨て場までもっていく苦労を考えれば、値段は重要ではない。とても一人ではもてない大きさだと思ったが、おじさんは一つ一つ持ち去って最後に現金40RMBをくれた。

 以前は、水槽の置いてある机に上に餌やら何やらがたくさん置きっぱなしになっていたが、今回の水槽は扉有りの台付。ポンプや自動餌やり器もろもろを台の下にしまってすっきり。かなり綺麗になったのでZも大喜びだ。この水槽は30Wの蛍光灯が三つもついているので、部屋の灯りよりも明るい。はやく水を満タンにしてグッピーたちを思う存分に泳がせてやりたいものだ。
2005年6月10日早朝
 我がグッピー軍団が全滅の危機に瀕している。
 三代目水槽への引越し直前に、一度水替えに失敗しており、若干減少傾向がみられた。とは言え、50匹以上の構成員だったため、不安に襲われることはなかった。だが、今回の水槽お引越しを機に、毎日のように昇天するものたちが出てきた。三代目の水槽は二代目の数倍も大きい。それで、毎日少しずつ水を足さざるえなかったのだが、水を足すごとに天に昇るものが出るのだ。
 (このままではやばい!)と考えたのが昨日のこと。グッピーたちが水質の変化についていっていない。毎日水を足したのでは、慣れる暇がないのかもしれない。そう判断して、すべてのグッピーを小さな金魚鉢に移した。そして、三代目水槽を水道水でいっぱいにし、薬品を入れてフィルターを回した。このまま一週間ぐらい放っておくとしよう。水質が安定したら、再びグッピーたちを水槽へ戻すのだ。つまり、毎日水を足すという小さな危険の積み重ねを避け、一気に引越しという大きな危険を選択することにしたのだ。
 今朝起きてみると、金魚鉢の中で4匹が昇天していた。これは金魚鉢への引越しによるものではなく、先日からの水足しが原因であろう。軍団もすっかり減り、もう20匹ぐらいとなった。これ以上の犠牲者がでないうちに、引越しを成功させなければならない。だが、残った構成員も皆元気がなく、食が進まない様子だ。果たして、最後の勝負に耐えられるだろうか。そう頭を悩ませていたところ、ふと思い出した。たしかバイオ活性剤「グッピーウォーター」が残っていたはず。さっそく取り出してきて金魚鉢に注ぐ。すると、皆生き生きと泳ぎ始めた。餌もパクパク食べている。やった、うまくいった。これなら引越し前に全滅してしまうことだけは避けられそうだ。
  なんとか、軍団の血脈だけは残さねばならない。頑張ってくれ、グッピーたちよ。
2005年6月10日夜
 昨日、会社から戻ってみると、さらに二匹昇天していた。生き残りを数えてみるとわずか18匹。このままではジリ貧だ。私はここで決意を固めた。もはや水質の安定を待っている場合ではない。死ぬにしても、彼らには金魚鉢の中でなく大きな大海の中で死んでもらいたい。ここに「勇気ある18羅漢作戦」の敢行を宣言する。皆、我に続け~。
 と、勢いで、網を操り次々とグッピーたちを三代目水槽へと移した。頑張れ!頑張れ!だが、さっそく一匹がフラフラとし始めた。やばいっっ、イキナリ全滅か。なんとか持ちこたえてくれ。
  突然の巨大な水槽に戸惑うグッピーたち。この水槽には昨日も入っていたわけだが、今回は水量が違う。その上、フィルターもフル回転。ゴーゴーとうなるように水を流している。流れに逆らって懸命に泳ぐグッピーたち。こんな状況では餌を食べるどころではないだろう。そう思ったが、とりあえず餌を入れてみる。おっ?食べてる食べてる。けっこう余裕があるぞ。

  頑張っているグッピーたちをなんとか励ましてやらなくてはならない。そう考えて、サンゴや石を水槽の底に並べてやる。思えば、昨年の年末、次々と昇天していく子グッピーたちをみて不安になり、「三匹の勇士たち」と名づけて親グッピーたちと同じ水槽に送り込んだっけ。その作戦が見事成功し、グッピー50匹軍団を作ることができた。現在の「勇気ある18羅漢たち」はその末裔。いや、もしかしたら、三匹の勇士たちが含まれているかもしれない。なんとか生き残ってくれ、グッピーたちよ。慣れれさえすれば、この大海のような水槽は君たちを暖かく包み込んでくれるはずだ。

2005年6月14日
 昨日のお休み(今は電力調整の影響で日曜日と月曜日が休日)のこと。この日に至るまで18匹羅漢はとうとう10匹羅漢となってしまった。大部分はフィルター事故によるものだ。初代水槽の頃は水中置き型フィルターを使用していたため、弱ったグッピーがどういう拍子にかフィルターの中に入ってしまい、星になるということがよくあった。しかし、二代目水槽になってからは、上部型水槽となり、そんな事故もなくなった。ところが、新しい三代目水槽になってから、いきなり4匹がフィルターに巻き込まれて昇天した。
 原因を調べてみると、どうも、夜中にフィルターを止めておいたのが良くなかったらしい。その間に水の排出口からフィルターの中に入り込んでいたのだ。そうとも知らない私は、早朝スイッチを入れ・・・。気づいたのは午後になって、どうも数が少ないぞと探しまくって、フィルターの隙間にグッピーを発見してからだった。夜中にフィルターを止めておくのは二代目水槽のときにもよくあったのだが、二代目水槽のときは排水口がそれほど大きくなかったので、グッピーも入り込めなかったのだろう。グッピーは難しい。

 不幸はさらに続いた。困ったものだとフィルターをいじっているうちに、「バンッ」という音とともに停電。ブレーカーが落ちたようだ。なんだ、なんだと真っ暗な中ブレーカーを上げにいく。すると、一瞬、電気が光るものの。再び停電。パソコンでネットゲームに夢中だったZは、いいところを邪魔され怒り沸騰。金切り声を上げ私を責め立てる。「静かにしろよ」と穏やかに諭すが、聞き入れるものではない。一層大声をあげ、「ドアを開けて!」とわけのわからないことを言い出す。「ブレーカーはここ(部屋の中)だから、外に出ても仕方ないよ」と言ってみるが、まったく耳に入らない様子だ。
 (まったく女は仕方がないな~)とぼやきながらブレーカーをいじっていたが、ここでZが水槽の中でパチパチと光るものに気が付いた。大声で「○○(私の名前)!コンセントが水槽に入っているわ。はやく取り出して!」と叫ぶ。(水槽にコンセントが入るわけないだろ)と一瞬考えたが、そうだ。そういえば、水槽の上にコンセントを置いてあった。二代目水槽のときには机があったので、その上にコンセントを置いてあったが、三代目になってから置く場所がなく、やむなく水槽の蓋の上に放っておいたのだ。なるほど、さっきフィルターをいじっているときに、蓋の隙間から落ちてしまったのか。急いで、コンセントの線を抜き、水の中から引き上げた。

  コンセントを水槽から引き上げ、再びブレーカーを上げると無事電気が戻った。ふうっ、大失敗だ。事故にならなくてよかった。グッピーも元気に泳いでいる。Zが気づいてくれなかったら、やばいことになっていたかもしれない。心の中で感謝。

 だが、コンセントにさしてあったヒータもおしゃか。乾かせばつかえるかもしれないが、温度センサーに異常が起こると、水槽の温度がどうなるかわからず、怖くて使えない。もう大分暖かくなってきたし、ヒーターなしでもいけるだろう。そう自分を慰めた。

  そして、さらに一日が経った。何時の間にか一匹がどこかへ消え、とうとう9匹の羅漢となった。そのうちの1匹は弱っていたのでコップの中で薬品漬け。果たして復帰できるか。うーん、全滅の危機が迫っているなぁ。でも、もう二日持てば水質が安定するはずだ。がんばれ、勇者たちよ。
2005年6月18日
中国発5S活動記録 -第ニ部- <その1>
 初めて5Sに手をつけてから1年半が経った。
 第一部で書いた通り、想像以上に難航した5S活動。事務員のGさんに5S委員となってもらったものの、他のスタッフに影響を及ばすほどの活動は期待できない。結局、自らがやってみせる以外に方法はないのだ。もちろん、理想的には「やってみせる」だけでなく、「指導」を通してスタッフが自発的にやるように仕向けなければならないのだが、それが非常に難しい。
 5S活動を始めてみてわかったのだが、5Sのうち、「整理」「整頓」の2Sをやらせることだけでも相当な困難を伴う。逆に言うと、「整理」「整頓」がきちんとできる組織というのは、ずいぶん「動ける」組織なのだと思う。つまり、上司の意図が速やかにスタッフ全体に伝わり、それを素早く実行できるような組織でなければ、「整理」「整頓」を継続的に行わせることができないのだ。
 また、5Sは職場のモラル-すなわち、スタッフの仕事へのやる気や意欲、職場への帰属意識-を表すと言われるが、そういったスタッフの仕事に対する態度も5S活動に影響する。つまり、スタッフが自発的に5Sをやるようにまで指導できるという前提には、職場がよほど活気のある状態でなければならないということがある。

 それでは、わが電脳部はどうか・・・。と、遠い。理想との距離の長さに眩暈がしそうだ。それもこれも私の指導力・力量不足と思うとなおさら気がめいる。全く前進がなかったわけではない。も~、亀のような歩みを続けながらも、一歩一歩理想に向かって歩いては来た。

 これまでにやったこと。昨年に引き続き、戸棚の整理。電脳部で使用する工具やパソコン部品の全てに特定の場所を振り当て、棚の台となる板にも、戸にもラベルをつけた。昨年は各々の工具や部品の使用度がはっきりしておらず、適当に場所を振り分けたためどうも使いづらかったが、今回は経験に基づいて適切な場所を割り当てることができた。使っていて非常に便利だ。ちなみ、家具屋に頼んで棚に手を加え、ノートPCなどの大きなものを置く場所やドライバーなどの小さなものを置く場所をきちんとわけられるようにもしてある。これによって、空間が有効に使用できるわけだ。再整理が終わったときには、改めてスタッフに向かって「全て指定の場所があるので、使ったら元の場所に戻すように」と伝えた。電脳部のスタッフは昨年と異なり、女性が大半となっている。そのためか、「綺麗にしとかなきゃいけない」ということは以前よりもぐっと伝わりやすくなっているようで、スタッフたちも神妙に頷いてくれる。うーん、ありがたい。 

2005年6月21日朝
 昨日で羅漢たちがとうとう3匹となってしまった。しかも全員雌とか全員雄の可能性もある。仮に雄と雌がそろっていたとしても、大きさを見る限り、まだ子供が生めるほど育っていない。うーん、キツイなぁ。人工微生物の入った液体等を水槽に注ぎ込んでみたが、目に見えて喜んだ様子もない。全滅間近か?
 子孫を残させるためには、新しいグッピーを追加してやったほうがいいのだろうか。1匹1RMBか2RMB程度なのでコスト的には問題ない。だが、現時点で追加してしまっては、羅漢の子供たちなのか、新しく追加したグッピーたちの子供たちなのかがわからなくなってしまう。
 羅漢は3匹だと書いたが、実は、もう一匹隠し玉がある。以前にいた雌が死ぬ間際に放った子供一匹を、別枠でコップの中に飼っているのだ。こいつが意外に順調に育っている。最後の最後には、この秘密兵器を新しいグッピーと一緒に育てる予定だ。最後の最後・・・。うーん、しかし弱ったなぁ。
2005年6月21日夜
中国発5S活動記録 -第ニ部- <その2>
 電脳部の棚には電脳部スタッフが使用する工具棚のほかに、事務員の管理下に置かれている文具棚もある。この中には、電脳部スタッフが使用するノートやボールペンのほかに、申請に基づいて各部門に分配するマウスやCD-Rメディア等も入っている。
 さらに、電脳部の業務拡大に伴って新たに設けられた電脳部倉庫というものがあり、そこには全部門の使用するプリンタのトナー・カートリッジやインクカートリッジ、コピーのトナー・カートリッジ、固定電話機、キーボード、ソフトのライセンスからLANケーブルが置かれている。この倉庫にある大部分の品物も、事務員の許可がなければ持ち出すことができない。
 
 5S活動開始当初は、技術者スタッフに古株が多く、事務員の立場が弱かった。だから、こうした品物の管理も厳格化が難しかった。だが、現在は事務員の二人ともが技術者スタッフよりも勤続年数が長いため立場が強く、きちんとした手続きを経なければ電脳部部員と言えども事務員管理下の品物を取り出すことはできない。
 単に勤続年数が長いだけでなく、電脳部の事務員は会社全体の(VOIP電話を含む)電話システムやコピー機・印刷機およびそれらの機器の使用時に必要となるパスワードの管理までしているということも事務員の立場を強くしている原因かもしれない。いずれにせよ、事務員の権威が確立したので、品物の管理が非常にうまくいくようになった。品物の管理がきちんとできているということは、整理・整頓ができているということで5Sへの貢献度は非常に大きい。
  逆に言うと、5S活動の当初はこのような文具や消耗品の管理もきちんとできておらず、なんとも情けない状態だったのである。
2005年6月22日
 ようやく水質が安定してきたらしく、グッピーが楽しそうに水槽の中を泳ぐようになった。人工微生物の液体を入れたのが良かったのだろうか?水質が良くなると、今まで水面近くでしか泳いでいなかったグッピーたちが水槽の隅々までウロウロするようになる。餌の食いつきも良くなって、パクパク食べるようになるのだ。ここまで来れば、もう安心だ。だが、問題は子供を産んでくれるかどうかだ。
 水槽の中にいるのは3匹。じっと見つめていると、全部が雌のようにも見えてくるし、しばらくすると全部が雄のようにも見えてくる。もう少し育てば私にも雄雌の見分けがつくのだが、今はまだ無理だ。はやく大きくなってくれよ。
2005年6月23日朝
中国発5S活動記録 -第ニ部- <その3>
 さて、共用品の管理に関して取り組んできたのは、整理・整頓の2Sの部分である。「整理」と「整頓」の定義は一般に下記のように定義されている。

整理

必要な物と不要な物を分け、不要な物を捨てる。

整頓

必要な物の置き場所・置き方・並べ方を定め、使いやすく・わかりやすく、整えて置くこと。

 この二つが、共用品に関して外面的には達成された。それでは、5S活動の推進という点から考えて、次に何をやったらいいのだろう。改めて考えたところ次の二つの方向が見えてきた。

 ①現在の活動の拡大
 ②自主活動の促進
 の二つである。

 ①では、これまでやってきた共用品の管理から、5S活動の範囲の拡大を目指す。例えば、共用品だけでなく、個々のスタッフのデスクの上から中まで、整理・整頓の対象とする。また、整理・整頓の2Sだけでなく、清掃・清潔も合わせて4S活動を実現する。外観だけでなく、コンピュータで管理されているデータ等も整理・整頓の対象としていければ効果が大きいだろう。

 ②では、コンピュータ部スタッフによる5S自主活動を促進する。現在までの5S活動はほぼ受身の活動である。共用品の管理にしろ、指示された通りにやっているに過ぎない。放っておけば、数ヶ月もしないうちに元の無管理状態に戻ること間違いなしだ。また、指示されなければやらないから、改善も発展もない。これではどこまで行っても、5S活動にはならず、5S実行部隊ができるのが関の山だ。そこでなんとか、スタッフによる自主活動を進めていこうというわけである。

さて、①と②のどちらに手をつけたら良いだろう。理想的には②を先に実施したい。共用品の管理がうまくいったので、外観上はだいぶ結果が出ている。これで、②へと持っていければ、あとはトントン拍子だ。最初は苦労するかもしれないが、①も含めて様々な活動を自主的にやってもらえるではないか。

 だが、進め方がわからない。どんな風に指導をしたら良いのか皆目検討がつかないのだ。そもそも、指導というからには指導者である私が5Sを十分に理解していなければならないのだが、私自身、到底その水準に達していない。

 もっとも、指導ができなくても評価制度を整えて本人たちがやりたくなるように仕向けるという「誘導」は可能である。動機づけをしてやるわけだ。この方法だと、QCサークルのようなサークル活動のイメージとは遠くなるが、それでも自発的な活動とはなるはずだ。

 しかし、これにも難点がある。一つは評価制度を作るほどやるべきことが定まっていないこと。つまり点をつけようにも対象となる項目がまだ作られていないのだ。仮に項目作りを終えたとしても、別の問題がある。5Sの評価制度を作ったとして、それを電脳部スタッフとしての業務評価とどう結びつけたらよいのだろうか。

 5S活動に対する評価を通常業務に対する評価と並列に置いたのでは、大きな矛盾が起こる。つまり、5S活動は一生懸命にやるけれども、通常業務は全くやらないというスタッフにも一定の評価が残るということになってしまうからだ。ならば、5S活動に対する得点分を減らせばいいかというと、それでは意味がない。5S活動はやらなくてよしということになってしまってしまうからだ。
 すなわち、5S活動は通常業務の評価の一部として構成されなければならないということである。うーん、頭がこんがらがってきたぞ。

2005年6月25日朝
中国発5S活動記録 -第ニ部- <その4>
 スタッフによる「5Sの自主活動」。夢のような響きだが、現時点で実施するのは無理があるようだ。そもそも「自主活動」の前に「自発的行動」がこなければならないのに、そこまで誘導することができない。

 ならばやはり、現在の活動の拡大が当面の主目的となる。そもそも私自身、5S活動を推進する中で、5Sの意義や面白さに気づき出しているところだ。まず、彼らに存分に5S活動に漬かってもらい。その中から学んでもらうというのも手だろう。そうしている間に私の方も5S活動に対する理解が進み、彼らの自発的行動や自主活動を生み出せるようになるのではないだろうか。(そうなってもらわないと困る・・・)。

 さて、5Sの「意義」と「面白さ」と書いたが、5Sのどこに意義があり、どこが面白いのだろう。それについて考えを述べてみたい。

  「中国発5S活動記録(第一部)」の冒頭でも書いたが、仕事以外では私は5Sとはかけ離れた過ごし方をしている。今懸命に文字を打ち込んでいるキーボードとモニタの間にもクーラーのリモコン、タイガーバーム、電気髭剃り器、腕時計、レシート、喫茶店の優待カード、Z(彼女)のアクセサリ、爪きり、カルシウムの錠剤の入った容器などなど、20個以上の品々が乱雑に置かれているほどだ。私のアパートの中では5S活動は一切不可能である。アパートの中で5Sをやれと言われたら、「昔、有名なTという作家が『部屋の中が乱雑な人は頭がいいんだ』と言っていました。『どこに何があるか覚えているということ』だからそうです・・・」と懸命に反論することだろう。実際には「どこに何があるか」なんて覚えていられるはずもなく、しょっちゅう、Zに「ほら、あの旅行の本、どこにあったっけ~?あの青い本だよ」と探し物を依頼しているにもかかわらず・・・。
 こんな私が5S活動に興味をもったのは、会社から指示が出たという理由だけではない。何よりも「5S活動の難しさ」に気づいたからである。
2005年6月27日
 昨日、念願の新グッピーを手に入れた。雄3匹、雌3匹の合計6匹である。私のアパートの水槽に馴染めるかどうか心配だったが、今日に至っても元気なので多分問題ないだろう。
 これで、普通のグッピー3匹と新グッピー6匹の合計9匹が水槽に存在することになる。そして、水槽の外のコップの中に小さな子グッピーが一匹。新グッピーは種類が違うようなので、今後は普通のグッピーをFグッピー、新しいグッピーをPグッピーと呼ぶことにしよう。

 Pグッピーの方が数が多く、勢力が強くなったわけだが、今のところ争いはない。ただ、やはり種類の相違を感じるのか、まとまる時は同じ種類で一緒に行動する。両者の交流は現在のところほとんどないようだ。Fグッピーは3匹のうち2匹が一緒に行動することが多く、1匹は勝手にほっつき歩いていることが多い。一方、Pグッピーも雄が1匹だけ離れて行動しており、ほとんど群れの中に入ろうとしない。もしかして、つがいとなっていた雄と雌を引き離して、別の組み合わせを連れてきてしまったのだろうか。ちょっと可哀想なことをしたかもしれない。

 さあ、これから水槽の勢力図はどうなるのであろうか。数の多いPグッピーが優勢になるのか、それともすでに水質に馴染んでいるFグッピーが優勢になるのか、はたまた交じり合ってしまうのか、楽しみだ。何れにせよ、早く子供を生んで私を安心させて欲しいものだ。
中国発5S活動記録 -第ニ部- <その5>
 「5S活動の難しさ」がどこにあるかと言うと、その理不尽さにある。例えば、私たちが高校生だったとしよう。5S活動を一生懸命にやる生徒が成績の良い生徒だということがありうるだろうか。全然関係がないはずだ。さもなければ、成績の悪い生徒は皆5Sをやれということになってしまう。

 また、私が営業マンだったとしよう。5S活動を懸命にやったからといって私の売上が上がるということがありうるだろうか。これも考えられない話だろう。つまり、工場の現場なら5S活動が「安全性や作業効率の向上」に直接的に結びつくが、オフィス等では極めて間接的な効果しか得られないと考えるのが普通なのである。
 
 私が管理している電脳部も、学生やセールスよりは5S活動の恩恵を受けやすいが、やはり5S活動から直接的な効果を見い出すのは困難である。確かに、整理・整頓をすれば仕事の効率はあがるが、その整理・整頓を徹底させるために必要な作業量が多く、とても努力と効果が見合うようには思えないのだ。(もっとも、共用品の管理に関して言えば、達成するまでは比較的長い時間を要したが、一旦流れに乗ってしまうと、「二度と手放すまい」と思えるぐらいの効果はあった)。

 例えば、ここで私が整理・整頓をさらに推し進めようとすると、個々人の机の上や机の中まで踏み入らなければならない。しかも、まず自分の机の上と机の中の整理・整頓からだ。実は、整理・整頓を一度やるだけならば、そんなに大変なことはないのだが、継続的にやり続けるのは・・・果たして可能だろうか?
 さらに、これらをスタッフ全員にもやらせなければならない。机の上はともかく、机の中まで指導するというのは、ある意味、プライバシーにも踏み入ることで非常にやりにくい。しかも、私自身と同様に、継続的にやってもらわなければならないのだから、定期的なチェックも必要になる。中には強い反発を感じるスタッフも出てくるだろうと思われる。そうなると、公平感を出すために、自分自身の机の中もスタッフ同様にチェックを受けるシステムを作らなければならなくなる。うーん、これは相当な負担だ。

 もう、この時点で、「やっぱり5S活動はやめよう。もうこれぐらいで十分じゃないか」と思ったとしても何の不思議もない。だいたい5S活動を熱心にやったからと言って、そうそう自分の評価につながるものではない。これ以上やって、何の意味があるのだ?

  だが、意味は存在する。
2005年6月29日
 昨日、コップの中で育てていた子グッピーを水槽の中へ移した。だいぶ大きくなってきたし、なんだか狭いコップの中での生活に飽き飽きしているように見えたからだ。
 しかし、現実は厳しかった。最初は広い水槽の中を跳ね回るように泳いでいたが、なんどか親グッピーたちに追い掛け回されるうちに怯えてしまい、石の陰に隠れて出てこれなくなってしまったのだ。見ると、石にピタリと張り付いて動かない。心なし、目を大きく見開かせているようだ。(これは可哀想なことをしたかな?)と思い、コップに戻してやろうと網で子グッピーを追いかけたが水槽が巨大になったことで逃げる場所が増えたため、どうしても捕まえることができない。諦めて、放っておくことにした。それだけ元気があれば大丈夫だろうというわけだ。

 本日、早朝水槽の灯りをつけてやると、まだ皆眠たげだ。だが、餌をやってしばらくすると、子グッピーが飛び出てきた。一生懸命餌を追い掛け回している。大きな親グッピーの中で果敢に泳いでいる姿は実に健気である。やっぱり、子グッピーはかわいい。早く大きくなれよ。
2005年6月30日
中国発5S活動記録 -第ニ部- <その6>
 私は元来、グループ活動が苦手である。会社の行事にも進んで参加することはないし、部下と食事をすることも稀だ。スタッフたちを集めて遊びにいったりすることもない。だから、電脳部も自然と協調性の薄いグループとなる。
 また、私自身がコンピュータを生業として身を立ててきたわけではなく、あくまで趣味の範囲でコンピュータと関わってきたということもあって、技術的には部下よりも下位にあることが少なくない。だから、電脳部という組織に在って、上司としての私の権威は絶対的なものではない。

 電脳部スタッフの仕事が、パソコンのトラブル解決に留まっている間は、どちらかというと個人の技量に頼る部分が多く、協調性の重要性は低かった。また、問題解決の緊急度も低いので、電脳部が組織として対応していく必要性もあまりなかったと言える。
 実際、私がこの工場で働き始めた3年前の頃はパソコンもまだ100台前後であり、電脳部もなく、3人のPCメンテナンススタッフがいるだけであった。パソコンが壊れたら修理に行く。あるいは、修理の手配をする。それで十分だったのである。

 しかし、現在、会社のネットワーク下にあるコンピュータはすでに数百台を超えた。セキュリティ問題を始めとして、ネットワーク全体に関わる仕事が多く、個々のスタッフとしてではなく、電脳部全体として対応しなければならなくなってきた。業務内容も、電話・事務機器の管理等も加わり、多様化してきた。またそれらに関わる購買業務も電脳部で受け持つようになっている。
 
 こうした状況下では、スタッフの電脳部グループへの帰属意識を高め、同時に効率的な仕事のできる組織を作り上げなければならない。しかし、上記したように、私はグループ活動が苦手な上に、技術的にも部下より優れているわけではない。一体どうやってスタッフたちを導いていったらよいのだろう?

  そう悩んで、まず最初に取り組んだのが「報告・連絡・相談」である。いわゆるホウレンソウだ。インターネットで資料を集めて、数週間かけて日本語・中国語併記のテキストを作った。それを朝礼で読み上げさせ、「報告・連絡・相談」の重要性を頭に染み込ませようと図ったのである。数週間、それを続けた結果、ある程度の成果は出た。一部のスタッフは私の意思を読み取り、少なからず報告をしてくれるようになったのだ。だが、私の望むような水準にはとても届かない。まだまだ散発的で、あくまで上司である私が要望しているからやってくれているに過ぎないのは明らかだったからだ。

 何が不足しているのだろう・・・。