2005年7月(day021)

2005年7月(day021)


2005年7月1日
 新グッピー(以下Pグッピー)を投入して数日が経った。今のところは旧勢力である普通のグッピー(以下Fグッピー)との争いもない。と言って、仲が良いわけでもなく、寄り添って泳ぐような場面は見られない。ただ、最初の頃より、お互いが接近するケースが多くなったような気がする。
 新グッピーはその高貴な色合いには全く似つかわしくないほど、食いしん坊である。特に雌グッピーの一匹はひどい。餌をみつけると体当たりをするようにして突進するので、他のグッピーの迷惑だ。もっとも、それだけ食欲があれば昇天することもないだろうから、私としては安心な面もある。しかし、新グッピー全員が元気にやってくれていることは、嬉しい驚きだ。1,2匹は環境に慣れることができず昇天してしまうだろうと覚悟していたのだが、全員、シャキシャキとしている。このまま無事子孫繁栄まで辿り着いてくれるとありがたいと切に願う次第である。

 一方、唯一の子グッピーであるが、こちらも元気すぎるというぐらい元気である。最初の1日こそ、石の陰に隠れて身動きしなかったが、二日目からはもう普通に泳ぎ始めた。時々、大きなグッピーに追いまわされたりしているが、ちょちょっと避けて、平気で泳ぎ続ける図太さだ。これなら、心配ないだろう。それに、コップから水槽に移してから、急に大きくなったような気がする。水槽の底には、親グッピーたちの残り物の餌がたくさんたまっているから、それを食いまくって大きくなったのだろうか。
2005年7月2日
中国発5S活動記録 -第ニ部- <その7>
  何が不足しているのだろう?そう考えた私は再びインターネットの世界に潜り込んだ。結果として、「PLAN・DO・SEE」というものが、現在の不足部分を補ってくれるのではないかと考えるようになった。

  「PLAN・DO・SEE」とは、言葉通り、「計画・実行・確認/検討」ということである。スタッフがこの概念をマスターしてくれれば、自発的に仕事ができるようになるだけではなく、このサイクルをもとに、仕事を理解したり、説明したりできるようになるのではないかと期待したのである。
 そこで、ホウレンソウに続くテキスト作りに取り掛かった。今度は数週間どころではなく、数ヶ月もかかってしまった。それでも何とか仕上げて、早速、朝礼で皆に読み上げさせる。皆の顔を見ていると、何人かは感心したように頭を頷かせている。だが、数週間続けてみても、目に見えるほどの効果は出てこない。ホウレンソウの時と同じく、一部のスタッフは若干、仕事の提案のようなものを出し始めたが、そこから先がなかなか進まない。言葉を変えて言えば、私がそこから先を指導できず、彼らが自分で立ち上がってくるのを待つしかない状況だ。

 なぜ、うまくいかないのか。
 「ホウレンソウ」や「PLAN・DO・SEE」をスタッフに伝えるときの最大の問題点は何か?それは、私が彼らの外側に存在するという事実である。
 「ホウレンソウ」であれば、スタッフにとって私自身が報告・連絡・相談の最も重要な対象となってしまう。スタッフたちと一緒にやるということにはならない。 「PLAN・DO・SEE」であっても、私はスタッフの上司としての存在である。一緒にやるとなれば、私がリーダーとしての働きをもってしまい、彼らは指示される立場になってしまう。

 つまり、彼らと「体験を共有化」できないのである。経験豊富な指導者やトレーナーであれば、自分の体験を織り交ぜて話をし、擬似的な共有感を生み出すことができるのだろうが、私にはとても無理だ。

 「体験の共有化」ができないということは、目線が違うということも意味する。目線が違うところで自分の仕事の進め方を説明しても、スタッフとの立場の違いばかりが浮き上がってきてしまう。だから、「ホウレンソウ」や「PLAN・DO・SEE」をいくら説明しても、スタッフの気持ちが捉えられず、表面的な部分から先へと踏み込んでいくことができないのだ。
2005年7月3日
 ここ数日、新グッピー(以下Pグッピー)の雄が稀に同属の雌を軽く追う場面が見られた。まだ求愛活動と呼べるほどではなく、挨拶程度であった。予想では、この追っかけが徐々に勢いを増していくのだろうというところであったが、意外な伏兵登場。なんと、普通のグッピー(以下Fグッピー)の雄が、Pグッピーを熱心に追回し始めたのである。それも尋常な勢いではなはい。一匹の雌グッピーが逃げてしまうと、次は別の雌グッピーへ。それがまた逃げてしまうと、次の雌グッピーへとまるで見境がない。(時々同属の雌も追いかけるが、それは気まぐれ程度である。Fグッピーは全体的にまだ若いのでフェロモンが足りないのだろう)。このままでは、PグッピーとFグッピーの混合種が誕生してしまうかもしれない。
 Fグッピーはどうして急にPグッピーに興味を持ち出したのか。多分、生まれて初めて欧米のブロンド女性に出会って驚くばかりであったアジアの青年が、ある日突然、相手が女であることに気づいたというところだろう。雄グッピーの情熱が報われる日は来るのだろうか。
2005年7月5日
 昨日の夕方、新グッピー(以下Pグッピー)の尾びれの切れ端が水槽の隅をプカプカ浮いているのに気づいた。(やられたな)と覚悟を決めた。他のグッピーにいじめられて尾びれが取れたということもあるだろうが、可能性は低い。フィルターに巻き込まれたと考えるのが妥当だろう。グッピーの数を数えてみると、案の定、雄が一匹足りない。底に置いてある石に挟まれてバタバタしているうちに尾びれが取れたということもあるかもしれないので、石を丁寧にどけてみるがやはり見つからない。
 フィルター器の吸い込みパイプ取り外す。何も出てこないので、あれ?と思ったがしばらくして、排水口の方からプカプカとすでに昇天したPグッピーの雄が出てきた。(アーメン)と抜け殻に声をかけ、すくいあげた。

 フィルター器に吸い込まれるのは、すでにまともに泳げなくなったグッピーだという話もあるが、他のケースもあるだろうと考えなければいけない。夜中に一度停電が発生したので、そのときにフィルターの排水口から入っていったという可能性もある。そこで、フィルター器に網をかけることにした。手ごろな網がなかったので、スーパーへ行って、洗濯物用の網袋を買ってきた。これをハサミで切って手ごろな大きさにし、フィルターを覆った。これなら、よほど無理をしない限りフィルターに入ることはできまい。
 貴重なPグッピーの雄を失ったが、残った雄たちは元気だ。Pグッピーの雄たちもFグッピーの雄に誘われるようにして、雌たちを追いかけ始めた。はやく子孫繁栄への道を歩んでくれ。
2005年7月9日
中国発5S活動記録 -第ニ部- <その8>
 また、「ホウレンソウ」や「PLAN・DO・SEE」では、上司である私たちがどのように実践しているか、仕事に役立たせているかがスタッフには見えてこない。極端に言えば、掛け声だけかけておいて、上司自身は全く別の行動をとっていることもあり得るわけである。いかなる教育も、「率先垂範=先に立って模範を示すこと」が基本であるが、「ホウレンソウ」や「PLAN・DO・SEE」では、上司の行動や結果が見えてこず、スタッフに不信感を与えやすいのではないかと思われる。つまり、「透明性」に欠けるのである。

 ところが、5S活動では、「体験の共有化」と「透明性」の両方が達成できる。
 5Sは、整理・整頓・清掃・清潔・躾で構成されている。整理・整頓一つをとってみても、深く考えればいろいろあるだろうが、最初のスタートは身の回りの作業となる。机の上や中の整理・整頓をどうやるかは(書類の量は違うにしても)上司もスタッフも同じである。
 共有品の管理も、やらねばならない作業内容は上司もスタッフも変わらない。つまり、誰もが同じ目線での作業となるわけだ。苦労も実りも同じ土俵と経験のもとで話し合える。そういう意味で、上司とスタッフの「体験の共有化」が容易に実現可能だ。
 また、5S活動の場合、スタッフにだけハッパをかけて自分はやらないでいるということはできない。「5S、5S」と部下に向かって声を張り上げながら、自分の机の上や中はゴチャゴチャでは格好がつかないからだ。余程図太い人でない限り、自らの実践なしにスタッフに言いつづけることは不可能であろう。5S活動では上司とスタッフが同じ基準で判断され、「透明性」がいやおうなく確保されるのである。
2005年7月12日
中国発5S活動記録 -第ニ部- <その9>
 以上が私が感じた5Sの意義と面白さの(一部?)である。スタッフたちも、私と同様な感想をもってくれるといいと願うが、結果はまだわからない。ともあれ、5S活動の拡大が当初の目的である。そのためには、共用品のみではなく、私自らが机の上から中まで整理・整頓し、なおかつそれらを継続する方法を考えつかねばならない。

 実は、机の中をある程度整理した段階で、今まで電脳部の管轄外であった部門のコンピュータが新たに電脳部管理下に組み入れられることとなった。そのため、大量の品物がどっと電脳部の倉庫に流れ込み、現在、それらを整理中である。一歩進んだところで二歩後退することになってしまったわけだ。5Sにまだ意義を感じていないスタッフを無理やりつき合わせても何の意味もないので、今は仕事の合間をぬって、黙々と品物の整理に励んでいる。
 
 さて、私は自分の机の整理・整頓を成し遂げられるか。そして、自分にもスタッフにもそれらを実施・継続させることができるだろうか。それが終われば、清掃・清潔にもとりかかり4Sも実現しなければならない。理想の5S活動への道のりは長く、険しい。うーん、険しすぎるぞ。

 *)「中国発5S活動記録 -第ニ部-」はここで終了です。今回は、準備段階ということもあり、スタッフとのやりとりを書くことができませんでした。第三部を書く頃には、面白い出来事がたくさん起こると思いますので、またご覧になってみてください。

2005年7月15日
 最近、同居人Zはカキ氷がお気に入りである。
 カキ氷そのものは、私が中国に初めてきた頃から存在したけれども 、どちらかというと露店の食べ物であったように思う。当時は、「中国では火を通していないものは食べるな」が鉄則であったが、生活の単調さに耐えられず、半年ぐらいでカキ氷を食べ始めていた。使い捨てのコップに氷をいっぱい入れて、その上にシロップを注いだ簡単なもので、一杯1RMBぐらいだったと思う。夕食に鍋を食べたあとの定番デザートとなっていた。
 そのカキ氷が、昨年辺りからあちこちの喫茶店やレストランのメニューに載載るようになってきた。喫茶店とは言え、衛生に問題が多い中国。広東省に来てからは、積極的に食べるようなことはなかったが、Zが機会があるごとに注文する。お店で出されるカキ氷は、直径10センチぐらいの皿に細かくスライスされた氷がいっぱい盛ってあり、コンデンスミルクがたっぷりかけられている。あとは、種類によって、フルーツやら小豆やらがのっている。コンデンスミルクをケチっていないので、日本のカキ氷より豪華な感じだ。
 昨年のZの好物はスイカだった。スーパーに行くたびにスイカを丸ごと一個持ち帰るはめになり、少し閉口されられたものである。今年は、ほとんどスイカを買わないので、「なんでだ?」と尋ねると、「スイカは太るから」だそうだ。コンデンスミルクたっぷりのカキ氷も同じようなものだと思うが、本人が良いのならそれでいいかと口を挟まずにいる。
 喫茶店のカキ氷の値段だが、豪華なだけあって、ちょっと高い。一杯15RMBが一般的だ。高いところになると、30RMBというのもある。値段は差があっても味は違わないのが不思議だ。喫茶店の食事は定食で、だいたい20RMBから30RMBが一般的だ。コーヒーや飲み物は日本よりも高いくらいで、食事と同じ20RMBから30RMBぐらいが標準の値段だ。そして、カキ氷が15RMB。他のメニューと比べると若干安いが、それでもほぼ一食分の値段だ。Zは意外に経済観念がしっかりしているので、定食は食べても飲み物は滅多に注文しない。食事と同じ料金を飲み物に払うなんて馬鹿馬鹿しいと考えるようだ。ところが、好物のカキ氷となると、ちょっと困ったことになる。食べたいけど、高い・・・。馬鹿馬鹿しい値段だけど、美味しいし・・・、というわけだ。そんなわけで、大好物の割に、注文しにくく、Zにとってはちょっとつらいことになっていた。
 ところが、そんなZに朗報が届いた。
 アパートのすぐ近くにある喫茶店が、持ち帰りサービスを始め、なんとカキ氷を一杯8RMBで販売し始めたのだ。それが、一週間前ぐらい。以来、毎日のようにカキ氷を食べているZ。多いときには一日に二度もカキ氷を食べている。Zのカキ氷ブームはいつまで続くのだろうか。なんにしても幸せであってくれれば、こちらも嬉しい。
2005年7月18日
 水質が安定し、フィルターにも網をかけ、事故死や病死がすっかりなくなったグッピーたちの水槽。Pグッピー5匹とFグッピー3匹、そして子グッピー1匹が仲良く暮らしている。その中で、数匹のメスが明らかにお腹を大きくし始めた。妊娠だ。待ちに待った出産の日々が近づいてきた。

 ここで問題が起こっては困る。そう考えた私は香港へ出かけて、グッピーグッズを数点購入してきた。今回は、「グッピーウォーター」と「冷凍ブラインシュリンプ」と「壷の置物」を買った。「グッピーウォータ」は、グッピーが好む水質を作り出す液体。実際、これを入れてやると、グッピーは非常に喜ぶ。「冷凍ブラインシュリンプ」は、冷凍物の生餌。「壷の置物」は、水槽のアクセサリー。数箇所が欠けて穴の空いた洋風の壷で、水槽の底に置いて、海底に沈んだ財宝をイメージさせるようになっている。この中でグッピーたちが遊んでくれればと購入したものだ。

 すでに水質が安定していることもあって、「グッピーウォーター」は目に見えるほどの効果はなかった。でも、私に対する心理的安定効果がある。水槽の水質はグッピー育成のカギだからだ。
  「冷凍ブラインシュリンプ」。以前に「冷凍赤虫」というのを買ったことがあるが、赤い液体が飛び散るので、もう冷凍物は買うのを止めようと決めていた。だが、今回はPグッピーとFグッピーの子孫繁栄がかかっている。そこで、さらに高級な冷凍物「冷凍ブラインシュリンプ」にトライしてみた。色は赤虫とほぼ同じ。だが、赤虫のようにダラダラしない。また、水槽に入れてみると、赤虫ほどに真っ赤ではない。ずいぶんと扱いやすい餌のようだ。グッピーたちは、最初慣れなかったらしく、あまり積極的に食べようとしなかったが、何度かあげているうちに、その美味しさに気づいたらしい。パクパクとうまそうに食べるようになった。
 「壷の置物」。グッピーたちが遊べるようにと買ったアクセサリーであるが、全く中に入ろうとしない。水槽のアクセサリーとしてはずいぶんと綺麗だから、遊んでくれなくてもいいのかもしれないが、ちょっと寂しい。そこで、「冷凍ブラインシュリンプ」を壷の中に入れてやった。だが、グッピーたちが餌を見つけてくれない。うーん、これでは意味がないなあ、とがっかり。だが、しばらくして水槽に戻ってみると、一匹のグッピーが中でモグモグと餌をつまんでいる。(やった!成功だ)とガッツポーズ。誘われるようにして、別のグッピーも壷の中に入り込む。
 この調子なら、皆、壷で遊んでくれるようになるだろうか。あるいは、毎回、餌を中に入れないと駄目か?まあ、まだアクセサリーが一つだけだから、なかなか難しいのかもしれない。香港ではいろいろな水槽アクセサリーが売っているから、次は「沈没船」のアクセサリーを買ってきてやることにしよう。楽しみだなぁ。 
2005年7月30日
 Pグッピー5匹とFグッピー3匹、そして子グッピー1匹となっていた水槽の中であるが、その後、Pグッピーの雌が1匹昇天してしまった。落胆を隠せないでいた私に数日後、朗報がやってきた。起床後、いつものように水槽に目をやると、なんと幼グッピーが泳いでいるではないか。慌てて、コップを用意する。親に食べられてしまう前に、助けあげなければならない。しかし、慌てすぎて手が滑り、コップが落下。パリンという音とともに砕け散った。泣く泣く掃除をし、別のコップを取り上げる。水槽から水をくみ上げ、ようやく幼グッピーの捕獲にとりかかる。あれっ、いないぞ。「食われたか?」と心配になったが、珊瑚の後ろにいるのを発見。なんとかすくい上げた。
 コップの中に入れ、元気に泳ぐ幼グッピーを満足げに眺めやる私。
 まだ小さいのではっきりしないが、恐らくはPグッピーの子供。はやく大きくなれよ。