2005年8月-9月(day022)

2005年8月-9月(day022)


2005年8月1日
 本ホームページ「華南の靴」をオープンして、ほぼ3年になります(ただし、本ホームページの前身である「東莞の靴」のコンテンツを一部引き継いでいますので、「華南の靴」オープン以前に書かれたものも掲載されています)。旅行記以外では、中国に関することをほとんど書いていないにも関わらず、毎日50人ぐらいの方が訪れてくださっています。誠にありがとうございます。
 本日は、早朝から深センの病院行き。実は先月の初めあたりから、右腕の調子が悪くなり、キーボードを打つ手が動かなくなってしまった。そこで、先週から周一の病院通いである。症状からすると、明らかに腱鞘炎(けんしょうえん)。医者の診断では、姿勢が悪いことからくる首のズレ(?)からくるものらしい。当初は、週三回通院で毎回針を打つように言い渡されたが、週一回の通院でかんべんしてもらうことになった。代わりに毎日30分間首伸ばし器を使用することを義務付けられたが・・・。
 先週、針を打ってもらってから一週間首伸ばし器の使用を続けた結果、右腕はみるみる回復し、仕事にもほとんど差し障りなくなった。だが、医者の話では最低一ヶ月は治療を続ける必要があるということなので、本日も針をうってもらいに行った。
 最初の治療の時、針は新しいものかと尋ねたら、20年も前から使い捨てだと言われたので衛生上の不安はない(もっとも、中国では使い捨てを再生する市場もあるので、絶対に安心とはいえないが・・・)。
 針治療は日本でも受けたことがあるので怖いということはないが、日本で受けたことのある針治療と異なって、医者が非常に手馴れている。日本では、筒のような器具を通してトン・トン・トンと丁寧に針を打ち込んでいたが、こちらでは器具は使わずキュキュッと片手で針を押し込んでいくだけ。それも何本も連続で、すばやく打ち込んでいく。修練の賜物か、適当にやっているだけなのか・・・。
 ともあれ、効果はばつぐん、治療を始める直前では3分もキーボードを打っていると手が動かなくなったが、今は何ともない。あんまり調子に乗っていると、再発しそうなので、今日はこれぐらいにしておこう。
2005年8月8日
 大きな期待を込めて投入した新グッピー(以下Pグッピー)であるが、続々と昇天し、残ったのは雄二匹だけになってしまった(一匹だけ生まれた幼グッピーも星になった)。一方、二代目水槽からの生き残り部隊(以下Fグッピー)は全くの無傷である。雄一匹と雌二匹と子グッピーともに、元気に泳いでる。
 高価なPグッピーであるが、雌が全滅してしまったのでは子孫繁栄が不可能である。Pグッピー雄とFグッピー雌の混血ということも考えられるだろうが、ずいぶんと先の長い話だ。
 そこで、再度Pグッピーを投入することにした。今度は雄一匹、雌三匹である。しかも、前回のPグッピーよりもさらにダークな色合いで非常に美しい。値段も倍。ともあれ、これでPグッピーはもとの三対になり、子孫繁栄への道が再び開けた。

 さらに、香港で新たなアクセサリーを購入し、水槽に設置。今回は、長さ20cmほどの巨大な沈没船。128HKドルを値切って100HKドルにしてもらった。水槽の底に置くと、先月設置した「欠けた壷」との相乗効果で、いかにも海の奥底という感じで、ムード満点だ。今回は枯れた丸太のアクセサリー(45HKドル)も購入して、隅の方に沈めておいた。
 アクセサリーは鑑賞者の目を楽しませるだけでなく、一人(一匹?)でゆっくりと休みたいと考えているグッピーのための休息所でもある。亡くなったPグッピーの雌たちは、落ち着ける場所がなくて、稚魚詰まりを起こしてしまった可能性があるので、同じ轍は踏むまいとの苦肉の策でもある。
 また、Pグッピーが暮らしやすいようにと、蛍光灯を紫色のものに変えてみた。Pグッピーを売っていたお店がそんな色を使っていたので真似をしてみたのだが、効果があるだろうか。
 最後に、Pグッピーたちの出産に備えて、底石を大量に追加。これで、幼グッピーたちの隠れ家も万全だ。

  やれることは全部やった。Pグッピーよ。頑張って子作りに励んでおくれよ。
2005年8月16日
 数日前、旧水槽からの生き残り部隊のうち、雌一匹が昇天した。だが、同時に数匹の幼グッピーを出産していってくれた。当日、目で確認できたのは4匹。本日までにどれだけ生き残っているかわからないが、時々姿が見えるので、全滅ではないようだ。親グッピーがときどき血眼になって、幼グッピーを探している。はやく大きくなって、餌でなく、同じグッピーだと見なされるようにならないと、生き残る道はない。幼グッピーたちよ、健闘を祈る。(水槽が大きくなってアクセサリが増えたので、すくいあげることができない)。
2005年8月20日
 深センではここ2週間ほど、ガソリン不足が著しい。通りがかるガソリンスタンドもいつも長蛇の行列となっている。生活の足として利用しているタクシーも値上がりし、普段10RMBで行けるところでも、今では15RMB、20RMBと出さなければならない。
 こうなると、外に食事に出るのが割に合わない話になってくる。これまで往復20RMBぐらいで済んでいたのが、今は30RMBから40RMBである。1人分の食事代と変わらない値段だ。やむなく、近場のお店で食事を済ませているが、あまり長期間続くようだと、変化がなくてつまらない。はやく状況が好転するといいのだが、・・・。
2005年8月22日
 現在、幼グッピーは6匹。そのうち、1匹はフィルターの中でチョロチョロと泳いでいたのを発見してすくいあげた。フィルターに吸い込まれたということは、もともと体が弱っていたという可能性もあり、生き延びられる可能性は多くないだろうが、なんとか無事育って欲しいものだ。
 幼グッピーの中でも、勇敢なものは、時々水面まで浮き上がって泳いでいる。しばらくすると親グッピーに発見されて、追いまわされて再び底石の陰に隠れてしまうのだが、その様子が実にかわいい。

 親グッピーたちは、現在、絶好調。体調を崩すと、フィルター器の陰に隠れてじっとしていたりするのだが、最近は全員が水槽の中を泳ぎまわっている。水質がだいぶん良くなってきたのかもしれない。私が水槽のそばに来ると、餌がもらえるのがわかってきたらしく、皆慌てて水面まで浮き上がってくるようになった。ただ、以前のグッピーたちと違って、私の顔をみて愛想を振り撒くということがない。まだ、慣れていないのか。あるいは、第二代水槽から、第三代水槽への移転時に発生した惨劇(?)の記憶が伝わっているのだろうか。悪い思い出は早く忘れて、以前のように愛想のいいグッピーたちに戻って欲しいものだ・・・。
2005年8月29日
 今日は、出張者のAさんを連れて深セン市内の病院へ行ってきた。私はしばらく前から腱鞘炎の治療のために、週に1回この病院に通っていて、相当回復した。それを聞いたAさんが是非治療を受けたいと言ってきたのだ。Aさんの症状は私よりもひどくて、左手がほとんど麻痺状態だという。効果があるかどうかわからないが、興味半分も手伝って同じ医者にかかることになったのだ。

 問診を受けて、レントゲンをとった結果、Aさんは私と同じ病状だと診断された。悪い姿勢を続けていたために、頚椎のあたりが歪んでいるということであった。治療方法も私と同じで、時々針を打つということと、首伸ばし器を毎日使用すること、そして抗炎剤の服用。
 とりあえず、今日はAさんにとって第一回目の針打ち。私と違って、Aさんは針治療は初めてらしく、若干緊張気味。そんなAさんの気持ちを知ってか知らずか、お医者さんは無造作に針を5本打って去っていった。椅子に座ったまま身動きの取れなくなったAさん。さっそく、携帯電話のカメラで記念撮影を行った。上半身裸で、両手をブランと前に垂らした姿はまるで犯罪者のようである。ちょっと可哀相な気もするが治療のためである。我慢してもらおう。

 30分後、戻ってきたお医者さんは手早く針を抜くと、今度は火罐を施す。火罐とは中国古代からの治療法の一つである。球形のガラス容器(の内部?)を火で軽くあぶり、体に軽く押し付ける。すると、ガラス瓶が空気の縮小の力で皮膚周辺の肉を吸引し始める。しばらくすると、体内の水分がガラス容器の内部にこもる。このこもったものが体内にあった悪い成分ということらしい。
 これをさきほど針を打った場所に行うのである。全部で三つ。Aさんはこれも初めてのようで、再び石のように固まる。そこで、お医者さんの一言。「あと十分ぐらい経ったら、君たちが捻って外してやってくれ。外したあと、消毒液をこの麺棒につけてから、塗ってやってくれ。ちょっと今忙しいから頼むね。時間があったら、私が来てやるけど・・・」。おおっ~、さすが中国。なんと大雑把な!一同びっくりしながら、お医者さんを見送った。
 十分後、当然のように医者は戻ってこず、我々がガラスの容器を取り外しにかかる。運転手がまず一個、キュ、ポン。同じく出張者のKさんがもう一個キュー、ポン。最後が私。キュキュ、あれっ、抜けないぞ、ポン。抜けた、抜けた。消毒液を塗って、治療完了。貴重な体験をさせてもらいました。Aさん、ありがとう。はやく治るといいですね。 

2005年9月1日
 今月の4日から、広西省へ旅行である。最初の目的地は桂林。中国と言えば、まっさきに桂林が思い浮かぶ方々も多いだろう。私は広西省が初めてなら、桂林も初めて。桂林はあまりにメジャー過ぎるので、これまで先延ばしにしていたのだが、Zの強い要望で今回は桂林行きとなった(行く直前になって、『別に桂林じゃなくてもいいのよ』と言い出すのもいつものことである)。
 もっとも、広西省行きはZの願いをかなえるだけでなく、本HP「華南の靴」にとっても大きな意義がある。「華南」というと、一般に「広東省」、「福建省」、「湖南省」、「江西省」、「広西省」の5つの省を指すらしい。その中でこれまで行ったことがなかったのは、「広西省」だけだったのである。つまり、本HPをオープンしておよそ3年。ようやく、華南全域制覇が達成されるわけだ。
 しかも、今回の旅行を終えることによって、これから旅の幅が一層広がることになる。実は、これまで「中国の各大都市への旅行」⇒「広東省内の小都市への旅行」⇒「中国の各大都市への旅行」⇒「広東省内の小都市への旅行」というサイクルを繰り返してきた。
 このようなサイクルを経てきたというのは、予算や休日の関係というのもあるが他にも大きな理由がある。それは、中国への理解を深め、旅を深化させるためである。遠距離への旅行では、どうしても大都市への訪問が基本となる。観光の見所が大都市周辺に集中しているし、一週間で訪問できる都市の数はせいぜい3つが限界だからだ。ところが、大都市はその地方の粋-最高の部分-を集めたものであり、その地方の平均値を知ることにはならない。
 そこで、各省への大旅行の合間に広東省内の小都市への旅を挟み、大旅行に欠けている部分を補足していたのだが、広東省の都市というのはどこも、中国大発展の恩恵を強く受けており、人工的な匂いが強い。歴史や風土を味わうのが非常に難しくなってきている。そういうわけで、近くて便利なのはいいが、旅の面白さとしては弱い部分があった。
 その小都市へ旅行の範囲が、今回の華南エリア制覇によって、広東省から華南全体に広がることになる。つまり、これからは「華南以外の大都市への旅行」⇒「華南内の小都市への旅行」⇒「華南以外の大都市への旅行」⇒「華南内の小都市への旅行」というサイクルを辿ることができるようになるわけだ。(もっとも、広東省内でもまだ訪れていない都市が残っているので、そちらへの旅行をやり遂げたい気持ちもあるが・・・)。
 これから、もっともっと面白い旅を紹介して行きたいと思いますので、皆さんよろしくお願い致します。

 なお、昨日、桂林行きのチケットを購入。深セン⇒桂林で三割引きで一人分総額530RMB(運賃460RMB+空港建設費50RMB+税金20RMB)とのこと。いつの間にか税金がかかるようになったんですね。
2005年9月3日
 明日、桂林に出発。久しぶりの旅行なので、なんだか実感がない。今回は、桂林⇒陽朔⇒桂林⇒南寧⇒靖西⇒古龍山⇒靖西(?)⇒帰着の予定である。桂林の周辺には龍勝や三江などの有名な観光地がたくさんあるのだが、インターネットで調べたところ、すでに大勢の方が旅行記を書いていることが判明した。そこで、桂林は軽く流し、南寧の反対側に出ることにしたのだ。靖西というのは、百色市の一地方で、自然が豊かで山や滝等の観光地が多い。その中で、古龍山というところは、昨年オープンしたばかり(ボート漕ぎのおじさんによると)三年前にオープンした風景区ということだ。自然が多いだけでなく、ボートによる河下りが楽しめるのだ。それもかなり規模が大きいらしい。以前に広東省河原市で河下りを楽しんだことがあるが、当時は冬で水が少なかったこともあり、今一つだった。今度こそは激流下りに近いものが楽しめるのではないかと期待している。さあ、どんな旅になることやら・・・。
2005年9月11日
 昨日の晩に帰宅した。
 今回は、まず飛行機で桂林へ。「桂林」では、筏河下り(?)、七星岩公園、独秀峰を回って、翌日は有名な漓江下りの船に乗り陽朔へ。その日の内に桂林に戻り、三日目は南寧へバスで移動。「南寧」では二泊し、広西壮族自治区博物館、龍虎山、伊嶺岩を回った。そして、五日目は靖西へバスで移動。「靖西」でも二泊し、鵝泉、古龍山、通霊大峡谷、徳天大瀑布を回った。
 もっとも面白かったのは、「靖西」古龍山での河下り。2時間近くボートで河を下って、三つの洞窟をくぐり抜けた。洞窟の中は真っ暗で、3度ほど頭をぶつけ痛い思いをさせられたが、刺激的でよかった。
 南寧の龍虎山も楽しめた。3000匹の猿がいる山で、餌を与えると次から次へと集まってきて、少し怖いぐらいであった。河に餌を投げると、潜水までして餌を取りにいく猿もいて、実に愉快だった。
 詳細は、広西の旅として旅行記に書きますので、お時間のある方は是非ご覧になってみてください。
 グッピーについて書き忘れたので、追加する。
 旅行前に確認したところ、新グッピー(Pグッピー)が雄雌3匹ずつの合計6匹、旧グッピー(Fグッピー)が雌1匹に、雄1匹(子グッピーが成長したもの)。そして、幼グッピーがなんと!9匹もいた。前日までは7匹までしか見ることができなかったのだが、最後の餌をやった途端にぞろぞろと9匹も出てきたのだ。

 旅行後、さっそく数えてみると、全員生き残っていた。自動餌やり器が壊れて動いていなかったのにも関わらず、全員無事生き残っていた。本日改めて数えてみた限りでは幼グッピーは8匹までしか確認できていないが、残りの一匹はきっと石の陰にでも隠れているのだろう。ただ、8匹のうち1,2匹が妙に身体が小さい気がする。もしかしたら、旅行の最中に何匹かが昇天して、代わりを新たに生まれた幼グッピーが埋めているのかもしれない。また、掃除をしてみないと本当のところ何匹生存しているのかは確認できない。ともあれ、グッピーは再び順調に増加中である。
 また、最近書いていないが、シマウマ魚は現在2匹のみ金魚鉢の中で生きている。もとは4匹いたのだが、最古の1匹は老衰(?)のため昇天。もう1匹は金魚鉢から飛び出てお亡くなりになった。グッピーたちが十分に増えてきたら、グッピーたちと一緒に住まわせてやるつもりであるが、今はまだ無理だ。幼グッピーたちを苛めたり、食べたりしかねないからだ。
 ともあれ、三代目水槽も安定稼動に入った。さあ、二代目水槽の全盛期時まであと一歩だ。
2005年9月21日
 ここ一週間ほど、HP更新がうまくいかない。FTPソフトで(ミラーリング)アップロードしようとするとエラーになってしまうのだ。HP閲覧程度であれば、それほど問題にならないのだが、HP更新のような大量データの送受信となるとうまくいかないようだ。会社のインターネットでも同様な問題が発生しており、日本本社からの連絡で調べてみたところ、どうやら中国⇔日本間でデータのやり取りがうまくいっていないようである。軽くネットサーフィンをしてみた限りでは、この問題はどこでも騒がれておらず、今のところ原因を特定できないでいる。
 会社のインターネット環境に関しては、電話会社との話し合いによって問題解決ができそうであるが、私のアパートとなるとそうもいかない。会社は光回線によるインターネットなので、私のアパートとでは原因が違うのかもしれないと思い、ルータを外してみたり、ウィルス対策ソフトやファイアーウォールソフトを外してみたりしたが状況は変わらない。今週週末まで待って状況が改善されないようであれば、会社と同様電話会社に連絡してなんとかしてもらおうと思うが、会社と違って個人による訴えとなるので取り合ってもらえるかどうか疑問だ。調べてみた限りでは、通常の使用では問題がなく、日本との大量データのやり取りの場合にのみ問題が生じるようだからだ。そういうわけで本日は、メインページとこのページだけをアップロードしてみることにする。果たしてうまくいくかどうか。
2005年9月27日
 9月25日から26日にかけて広州へ出かけてきた。パスポート切り替えのためである。パスポート切り替えのためだけであれば、一日で用が足りるのだが、Zがせっかくだから前日から出かけて少し街歩きでもしたいわと言うので、25日(日曜日)から出かけることになった。
 今回は初めて「CTRIP(携帯旅行網)」というカードを使用してホテルの予約を行った。このカードの会社を経由してホテルの予約を行うと宿泊料金が一般よりも安くなるというシステムだ。今までこうしたカードを信用したことはなかった。どうも胡散臭い感じがしたからだ。しかし、前回南寧で宿泊したときに利用したホテルが、私が利用した料金よりも10RMBほど安く紹介されていたので試してみる気になったのだ。
 まずインターネット経由で、予約にトライ。予約完了の知らせが携帯電話のショートメールで来るように設定した。ところが待てど暮らせどメールが来ない。やむなく、電話で確認。結果として、予約がうまくいっていないことが判明した。どうやら先に会員登録を済ませておかなければならなかったらしい。そこで、電話で一からやり直し。なんとか予約を済ませることができた。
 
 さて、広州までバスで行き、地下鉄に乗り換えてホテルに到着。外見はなかなか立派なホテルである。ただし、ロビーが工事中。予約のときに確認されたのだが、午前9:00から午後6時までロビーと一部の客先で工事が行われているそうである。ところがチェックイン時に尋ねてみると工事は午前9:00から午後10時までだという。心配になって「工事の音がうるさいのではないか」と尋ねると、「ほーんの少しだ」と返事があった。
 少しならいいか・・・、そう考えて部屋の下見もせずにチェックイン終了。それが失敗。部屋に入ってしばらくすると、洗面所の管を伝ってウィーンとドリルの音が響いてくる。これでは全くゆっくりできない。よほどキャンセルしたかったが、一旦チェックインしてからのキャンセルは面倒になることが多い。夜10時までということだから、夜まで外にいればいいかと諦めることにした。

 テレビを見ていたい様子のZをなだめて、すぐに外へ出る。特に目的とするところもないので、「上下九路」の歩行者天国まで歩いていくことにした(ホテルは長堤路)。少し遠いが歩ける距離だ。途中、何軒かホテルの前を通りがかり、Zが「もしかして、あのホテル、高すぎるんじゃないの?騒音もうるさいし・・・」と疑問を投げかけてきた。うーん、今さら言っても遅いことだが、今後のために確認しておくのも悪くない。「じゃあ、このホテルで聞いてみなよ」。比較的綺麗なホテルの前でZに促した。Zは勇んで突入。しばらくすると、嬉しそうな顔をして戻ってきた。「270RMBだそうよ。他にも200RMBぐらいの部屋からあるって・・・。接客態度もよくて、私が言う前から部屋を見てみますかってニコニコしながら聞いてきたわ。さっきのホテルと大違いよ」と言う。
 ロビーの狭い二ツ星クラスのホテルだから、私たちが泊まっている広いロビー三ツ星ホテルと同じ基準で計るのは公平でないかもしれないが、あの騒音を考慮すると280RMBはどうしても高い感じがする。カードで予約したからと言って、必ずしも一番安い料金とは限らないのかもしれない。やはり、そ知らぬ顔で料金交渉をして、結果として予約した料金のほうが安かったらカードを出すべきだったのか。でも、そんな複雑な手順を踏んでまでカードで予約する意義があるかどうか・・・。いずれにせよ、部屋の下見を省略したのは失敗だった。予約してあったからと言って、義務を感じる必要はなかったのだ。いつも通り、下見だけはするべきだったと深く反省をした。

 「上下九路」までは、やはり遠く、後半はぶつぶつ言うZをなだめながらの行進となった。「上下九路」到着後、さっそく歩行者天国を散策・・・。この商業街は広州で一番好きな場所だ。他の都市の商業街と違って、独特の広州らしい雰囲気があるからだ。福州の商業街もいいが、広州のも勝るとも劣らない。
 これまでそう思っていたのだが、今回は様子が違っていた。どうも、昔からあったお店がほとんど新しいお店に切り替わったような気がする。なんだかがっかりだ。これでは香港と変わりがない。そんな考えが最後まで頭から離れなかった。ともあれ、ここの名物?の「牛雑(モツと大根の煮物)」をZとともにぱくつき、お腹のほうは満足させることができた。

 考えてみれば、三年ほど前に訪れたときには、まだ地下鉄1号線が開通したばかりだった。それが今では4号線まで延びている。恐ろしいまでの発展スピード。これで街が変わらないわけがない。私の懐古趣味など現実の前にはなんと脆いことか。だが、これで諦める私ではない。広州は広い。少し郊外へ出れば、きっと昔懐かしい広州に会えるに違いない。次回来るときには、中心地を離れた場所を歩いてみるとしようか。