2009年6月-7月(day048)

2009年6月-7月(day048)


2009年6月6日
 GM破産申請後も、なぜか株価は上昇中だ。オバマ大統領の強力な指導力のもと世界経済に明るい兆しがみられている。しかし、同時に「GMの言い分-何が巨大組織を追いつめたのか」を記したウィリアム・ホルスタイン氏が「GMの破産・再生がうまくいく確率は5パーセントだろう」と語ったというニュースも流れ た。雇用状況が下がり止まりになっているという話もあるが、上昇に変わったわけではないから、現地採用員である私の職は相変わらず不安定なままだ。
 しかし、不幸中の幸いというか、良いことがあった。周辺の工場が数多く閉鎖したため、多くの出稼ぎ労働者が帰郷した。また、閉鎖しないまでも多くの労働者の残業が減少し、収入が減った。そのため、アパートの借り手が激減し、多くの大家が店子探しに躍起になり始め、家賃の値下げを繰り返し行っているのだ。
 私のところはもともとが月700RMBの安アパートということもあって、当初この動きには無頓着だった。しかし、先月のこと、アパートの保安員がZに、「隣の部屋の家賃が下がったぞ」と知らせてきた。いつも飲料の空き容器や古新聞等をあげているから、そのお礼のつもりだったようだ(ペットボトルや空き缶等を売るとわずかながらもお金になる)。隣人は周辺の家賃が下がっていることを知って、大家と交渉し、700RMBの家賃を650RMBにしてもらったということだ。それを聞いて、Zも大家と交渉をした。首尾よく、値下げに成功し、私たちの部屋の家賃も650RMBになった。それが先月のことだった。
 そして、本日、Zが再び「また家賃下がったよ」と嬉しそうに言って来た。またも保安が隣人の家賃が下がったことを教えてくれたのだ。隣人は先月の値下げだけでは満足せず、さらに50RMBの値引きを要求し、600RMBにしてもらったとのことだ。Zも当然のごとく、交渉に行ったところ、「保安員を雇って毎月1000RMBも給料を払っているのに・・・」(以前は保安員はおらず、大家のところの家政婦が簡単な清掃をするだけだった)と文句を言いながらも、隣人と同額の600RMBへの値下げに同意してくれたそうだ。
 地元民で、いかにも金に渋そうな大家がこうもたやすく値下げに応じるとは、新たな店子探しがよほど困難なのだろう。当面、雇用情勢が変わる気配はないから、家賃はまだまだ下がるかもしれない。もっとも、あまり家賃が下がると、大家が保安員を置くのをやめる可能性もある。そうなると、今度は安全性が低下するから別の問題が生じる。喜んでいいのやら、悲しんでいいのやら、よくわからない状況だ。不景気から生じた治安の悪化に応じて、周囲のアパートも皆、保安員を置いたり、監視カメラを設置したりしているから、うちのアパートだけ保安員を置くのをやめることもないとは思うが・・・。
2009年6月8日
 最近、夕食のおかずに秋刀魚が良く出てくる。私がJUSCOで焼き魚用のロースターを買ってきて以来、特に回数が増えた。最初はデパートで買っていたのだが、そのうち近くの市場で買ってくるようになった。どういうわけだか、市場の方のがずっと美味しいのだ。デパートでは冷凍のままで、市場では生で売っているそうだが、中国の近海では秋刀魚はとれないはずだから、市場のだって冷凍のものを解凍したにすぎないと思われる。解凍のしかたに違いがあるのか?
 今晩の秋刀魚は今までの中でも特に美味しく焼けていた。Zは料理が上手だから、大変ありがたい。秋刀魚の他に、湯通しした蝦、それからモロヘイヤの炒め物。秋刀魚が2匹で4.5RMB、蝦が13.5RMB、モロヘイヤが1.5RMB。合計約20RMB。二人分をこの金額で食べられるのは大変幸せだ。Zと中国に感謝!
 

2009年6月15日
 昨日、ADSLの速度を3Mから8Mにグレードアップした。一週間前に申請し、本日作業員がやってきて調整、作業完了した。体感速度は確かに上がった。ページを切り替わる速度が半分ぐらいになったように感じる。8Mでは、インターネットテレビ用の機器もついてきて、それとテレビを接続することにより、映画、ドラマ、ニュースなども見られるようになる。ほとんどが無料で、最新映画・ドラマなどのみ有料のようだ。Zが大喜びで観ている。
 8Mの上位には20Mと50Mがあり、中国のADSLブロードバンドもだいぶ速くなってきたなという感じだ。深セン郊外でも、一部の地域では個人向けの光回線も提供され始めているらしい。大都市では日本並みのインフラが整えられるのもそう遠くないのかもしれない。
2009年6月20日
 今年もクーラーなし生活を敢行中である。日記を読み返してみると、一昨年は6月23日、昨年は7月23日までクーラーを使用していない。今年はいつまで我慢できるか?Zと我慢比べである。一昨年、昨年ともにZの敗北宣言により、クーラーの使用が開始された。今年はどうだろう。「今年は絶対に(クーラーつけてとは)言わないわ。一昨年も、昨年も体調が悪かったのよ」とZは意気込んでいる。
 これまでの経験から、クーラーをつけるのが遅ければ遅いほど、その年を元気に過ごせることがわかっている。クーラーをつければ、確かに快適になり、本を読むのも苦にならないし、ホームページを記すのもはかどるというメリットがある。一方、風邪をひいたり、体調を崩したりする回数が増え、行動不能時間が長くなるというデメリットが発生する。従って、トータルの効率ではクーラーをつけなかった場合と変わらない。だから、私自らクーラー開始宣言をするつもりはない。三年連続私の勝利となるか、或いはZの初勝利か。
 そうは言っても、我慢できるイコール暑くない、ではない。暑い。特に今日は暑い。さきほど室温計をみたところ、気温32度、湿度70%RHを示していた。毎年のことだが、暑くなり始めの頃が一番辛い。ここを超えたら、また少し楽になる。なんとか耐え抜こう。

 さて、以前に、マイクに甘噛みされたとき、「クゥゥーン」と痛みを訴えると噛むのを止めて指を舐めてくれるという話をした。最近、また新たな発見をしたので、ここに記しておく。「クゥゥーン」ではなく、日本語で「いっ、痛ったーい」と声に出しても噛むのを止めてくれるのだ。声の調子が大事である。「クゥゥーン」と同じリズムで、「痛ったーい」と言うのだ。
 それだけではない。続けて、もっと凄いことを発見した。「クゥゥーン」とも、「痛ったーい」とも言わず、甘噛みを止めさせる方法だ。それは、表情で痛みを訴える方法である。甘噛みをされたとき、声は一言も出さずに、顔を歪めて痛みを訴えるのだ。犬の視界は意外に広いのか、真横で顔をしかめてみせても反応を見せ、ぴたりと甘噛みをやめる。ただし、声で訴えるほどには反応は速くない。表情を読むのに時間がかかるのだろう。
 「痛ったーい」はともかく、表情を使う方法をZはなかなか信じなかったが、私が何度もやってみせたら、ようやくわかってくれた。それからは、Zは自分でも一生懸命顔を歪めて楽しんでいるようだ。それをみているのがまた面白かったりする。
 

2009年6月26日
  暑い日が続いている。今日も室温32度だ。明日は台風が来るらしいから、少し涼しくなるかもしれない。
 さて、本日は、Zが牛丼に初挑戦した。結果は大成功。色合いはやや醤油が足りない感じだが、非常に美味しく食べられた。JUSCOで買った良い肉を使っていることもあって、吉野家の牛丼よりも美味しい出来に思えた。これで紅しょうががあったら、完璧だったのに。もっとも、紅しょうががない代わりに、同じくJUSCOで購入した伊勢の「伊勢の鶏蛋」があったので、それを割って牛丼の上に生のままのせて食べた。いやー、満足。写真のは一杯目、まったく同じボリュームのをもう一杯食べた。もちろん、卵つき。ちょっと食べすぎか・・・。
 次回、Zは天丼をつくってくれるそうだ。うーん、楽しみ。
 

2009年6月28日
 昨日、マイクを病院に連れて行った。病院と言っても、正式な獣医ではなく、購入したペットショップのことだ。深セン郊外では正式な獣医というのは少なく、ペットショップが医院を名乗って予防注射を打ったり、簡単な病気を治したりすることが多い。
 なぜ診てもらったかというと、突然血尿が出始めたからだ。特に具合が悪そうでもないが、血尿とはただ事ではない。インターネットで調べると、膀胱炎とか結石とかが原因で、早めに治療をしたほうが良いとある。これは大変だとなり、さっそくお店へ出向いたわけだ。
 「どうですかね」
 わざとついた血を拭かずに連れて行ったのでわかりやすいはずだ。マイクの体を持ち上げて、ペットショップの店主に見せた。
 「これはサカリがついたんだね」
 「サカリ・・・」
 「そうだよ」
 よくあることだよといった調子で、店主は告げた。
 「へぇ~」
 理解できずに、私はあやふやに呻いた。
 「二週間ぐらい続くかな。○▲×●・・・・」
 店主は症状を続けて口にしたが、頭の中に入らない。数ヶ月前からサカリがついたような振る舞いが目立っていたのは知っていた。与えた虎のぬいぐるみに跨ってせっせと腰を動かしていたからだ。しかし・・・。
 「雄犬でもサカルと血が出るんですね」
 私は思わず疑問を口にした。実のところ雌犬がサカルと血を出すということすら知らなかった。ただそれは、人間の女性も生理になると同様なのだから、生き物である以上不思議はない。しかし、雄犬がそうなるとは想像すらしていなかった。やっぱり犬は人間とは違うんだな。
 「雄犬はならないよ。そんなことが起こったら偉いことだ」
 店主は一瞬目を細めた後、予想外の回答をしてきた。
 「えっ、だって」。言葉に詰まった。
 「雄犬は絶対にならない」
 店主は繰り返して言った。
 「いや、だってマイクは雄犬でしょ」
 「だから、雄犬はならないって」
 「えっ、てことはマイクは雌犬なの?」
 Zも横で唖然としている。
 「そりゃそうさ~」
 「ええっ、ちょっと、みてみて」
 もう一度マイクを持ち上げて、大事なところを店主に見せた。
 「みなくったってわかるよ」
 「ええっ、ほんとに雌犬なの。だって、アレついてるし」
 半信半疑にしている私たちに店主は店にいた別の子犬を連れてきて、ひっくり返して見せた。
 「ほらっ、雄のはこうなっているんだよ」
 うーん、確かにマイクのとは違う。こりゃ驚きだ。アレが小さいのは子犬だからとばかり思っていたら、雌犬だったからなのか。いやー、ショックだ。ずっと雄犬だと思っていた。
 「だったら、何も心配しなくて良いのね」
 Zの方が立ち直りが早く、後の対応について質問をした。
 「ああ、そうだよ。ただ散歩のとき他の犬と交わらせないようにね」
 店主のアドバイスを受け、お礼に犬の餌缶を2缶買って、帰ることになった。
 
 「雌犬だったんだね。雄犬だと思ったから、名前、マイク(麦克)にしちゃったなぁ」
 私が困った様子で言うと、Zは得たりといった声で答えた。
 「じゃあ、ルーシー(露西)にしましょうよ」
 ルーシーはマイクの奥さんがわりに与えたぬいぐるみの犬の名前だ。
 「そういうわけにはいかないよ。もうマイクで覚えてるんだから、混乱するよ」
 「それじゃあ、セーラ」
 セーラはZが最近見ているアニメの小公女セーラの名前だ。
 「それも駄目。今名前を変えたりしたら、マイクが混乱するだろ」
 「そんなことないわよ。だって、雌なのにマイクじゃ、おかしいじゃない」
 「そうだけど、仕方ないよ。とにかくマイクのまま!」
 そう押し切ってアパートにたどり着いた。

 アパートに帰ってからしばらくは、私とZの二人とも、「マイク、まさかお前が雌だとは思わなかったよ~」と繰り返し語ったが、マイクからの返答はない。マイクにしてみれば、まさか雄だと思われているとは思わなかったよ~といったところだろう。Zは繰り返し、「ねぇ、セーラにしようよ」と訴えてきているが、今のところ拒否し続けている。いや、絶対にマイクのままにしておく。
2009年7月4日
 朝7:30。室内の気温はちょうど30度。湿度は76%RH。暑さにはだいぶ慣れた。今日は雨が降りそうだから、涼しいかもしれない。ただ、湿度が高いからじとじとした感じが離れないのが難点だ。また、ここ2週間ぐらい蚊を見かけない。暑すぎると蚊がいなくなるという話だが、本当だろうか?熱帯地方とか、ここよりはるかに気温の高い地方でマラリアが流行するのはなぜだろう。
 不思議に思って、インターネットで調べてみた。マラリアを引き起こすマラリア原虫はハマダラカと呼ばれる蚊を通じて人間の体内に侵入するらしい。マラリアに感染する人が多い地域では、住居が劣悪で、蚊が侵入しやすいという特徴があるという。残念ながら、気温と蚊の関係についての詳しい資料は見当たらなかった。わかったのは、中国以外でも暑すぎて蚊がいなくなるという現象が多々あるということだけだった。場所によっては滅菌期間ともいうとのこと。
 さて、本日の朝食はケンタッキーで買った。最近はずっと朝マックが続いていたが、Zがケンタッキーで新商品が発売されたと教えてくれたから早速行ってきた。新商品の名称は「法風焼餅」。中国語でフランスのことを「法国(ファァグゥオ)」と言うから、フランス風焼きパンといったところだろう。 クロワッサンに似た感じのさくさくした口当たりのパンで、スモーク・チキンハムを挟んだものと、ベーコン・エッグを挟んだものの二種類があった。今日は前者を食べた。味は上々。Zは油が多いと文句を言いつつも、満足そうに食べていた。
 以前から、ケンタッキーが焼餅(シャオビン)をやるという話はあった。(焼餅は中国の伝統的な食べ物で、小麦粉を単純に焼き上げたものから野菜や肉を混ぜたりしたものまで様々だ )。 それで、ケンタッキーの中国化が一層進むだろうと報道されていた。もともと中国のケンタッキーは中国風のお粥を出したり、油条を出したりと中国の伝統食品を多く扱っていて、それがさらに広がるということで好意的に受け止められていたのだ。私もケンタッキーがどんな焼餅を出すのか楽しみにしていた。ところが実際に販売されたのは、フランス風焼餅・・・。いささか当てが外れた感じだ。しかし美味しいので良いとしよう。もっとも、中国でも「千層餅」といって、さくさく感のある焼餅(シャオビン)があちこちで売られており、中にはクロワッサンなみのさくさく度を誇るものもあるようだ。だから、一概に外国の技術とも言えないのかもしれない。明日の朝は、ベーコン・エッグを挟んだ方の「法風焼餅」を試してみようと考えている。今から楽しみだ。
2009年7月12日
 ここ数日は室温35度の日々が続き、何もしなくても汗がダラダラと出てくる。しかし、まだクーラはオフのままだ。Zも「今年はクーラなしでいけるかもね」と強気の発言を繰り返している。あと一週間持ちこたえれば、昨年の記録である7月20日を超えるから、そこから一週間を耐えることができれば今年は本当にクーラなしでやれるかもしれない。そう期待している。
 さて、昨日は、出張者のHさんを連れて再び「黄騰峡漂流」へ行ってきた。前回行ったのが5月末だから、約一ヶ月振りだ。今回は一泊二日ではなく、日帰りで行ってきた。行きのバスはスムーズで、7時に出発し、11時頃に「黄騰峡」に到着。前回はここで1時まで待たされたが、今回はすぐに川下りを始めることができた。最近、雨続きだったこともあって水量が多く、一層迫力のある川下りを楽しめて良かった。Hさんは川下りの激しさを予測できなかったらしく、開始早々ヘルメットを波によって飛ばされて失ってしまった。困ったことになったなと内心思ったが、無事難所をクリアして途中で安全管理スタッフからヘルメットを返してもらい、最後まで楽しく川下りをすることができた。今回、Zは川下りには参加せず、荷物番やチケット購入など裏方に徹してくれた。大変助かった。ありがとう、Zよ。
 
2009年7月19日
 昨日からの雨で、過ごしやすい日となっている。今日は7月19日だ。昨年、クーラーを使い始めたのが7月20日。ここまでくれば、昨年の記録を塗り替えられるのは間違いない。先週は、Zが時々、「何でこんなに暑いの!」と誰に聞かせるともなく文句を言っていたが、「いいんだよ。負けを認めるならすぐにでもクーラーをつけるけど」と言葉を返すと、「そんなことは言ってないわよ。暑いって言っただけでしょ」と だけ言って押し黙った。Zよ。もうちょとだけ頑張ってくれ。そうすれば、涼しくなる。
 さて、昨日は朝早くから、バスに乗って出発。福永発→香港行きのフェリーがめっきり減ってしまったので、羅湖経由で徒歩で香港入りした。目的はT銀行のインターネット口座用のカードを復活させるため。 長い間口座を空にしていたから、閉じられてしまったのだ。事前に書面で通告があったのだが、入金を忘れてしまっていた。(その上、近所の銀行のATMで試しに使用してみたら、カードを飲み込まれてしまった)。普通口座の方は問題なくカードも使えていたため、即座に支障が起きるわけではなかったが、インターネットを通じての残高確認ができないし、振り込みとかも不便になるので、是非ともインターネット口座を復活させたかった。
 羅湖の税関を越えて香港側に入ったところで、念のため近くにあったATMで、普通口座のカードを使用してみた。すると、「使用できません。銀行と連絡をとってください」のメッセージ。 ややっ?どうして普通口座まで・・・。つい数日前まで使用できたのに。悪いことは重なるものだ。
 不安をかかえたまま、列車に乗って香港島へ向かった。お金そのものは、中国の銀行にも少し入れてあるので、すぐに問題が起こるわけではないが、給与振り込み用の銀行の口座だから、トラブルが長引くとやっかいだ。来月はZビザの更新のためにパスポートを一週間ほど手放さなければならないから、その間は香港に来られない。中国の銀行だとカード等は即日発行が多いが、香港の場合申請と受け取りの2度銀行へ足を運ばなければならないことがほとんどだ(郵送もOK)。そうなると、下手をすると一ヶ月ぐらいカードが手元にない状態になる。面倒なことになった。
 本来はT銀行の場合、インターネット口座を開いた時点で、普通口座のカードは必要がない。インターネット口座用のカードは普通口座の分も兼用できるからだ。しかし、中国ではわけもわからずATMに カードを飲み込まれることが多いから、万一の場合を考えて普通口座のカードも残しておいたのだ。それが、両方ともほぼ同時に使用できなくなるとは・・・。なんとも間の悪い ことだ。
 越境後、1時間半ほど電車に乗って、香港島の太古駅に到着。以前に働いていた会社で作ってもらった口座なので、こんな遠くの支店まで来なければならない。実に不便だ。数年前に来たきりなので、場所を忘れかけていたが、少し迷っただけでなんとか到着することができた。
 店内に入り、窓口に向う。スタッフに普通口座用の通帳とカードを見せ、「この普通口座と繋がっているインターネット口座が取り消されてしまったんだけど、復活でき ませんか?」と丁寧に尋ねた。スタッフは、しばらくコンピュータをカチャカチャ操作した後、「口座はありませんね」と冷たく言い放った。「いや、口座がないのはわかっているんだ けど、今月キャンセルされたばかりなので、復活させたいんだけど・・・」と食い下がってみたが、「一旦なくなった口座は復活できません」とのこと。さらに質問をしてみると、全くの最初から申請するしかないということがわかった。
 そこで、申請の方法を尋ねると、身分証及び、アドレス証明が必要だと言われた。「アドレス証明とは何ですか」と尋ねると、銀行等が本人宛に出した郵便物等で良いとのこと。 しかし、あいにく今日はそういったものをもってきていない。つまり、もう一度出直してこなければならないということだ。
 さらに、使用できなくなった普通口座用のカードについて聞いてみると、カードが壊れて使用できなくなっていることがわかった。これもすぐには発行できず、もう一度銀行まで足を運ばねばならないとのことだった (郵送も可)。最悪だ。来月は、香港詣でを繰り返すハメになりそうだ。しかも、なんだかスタッフの対応が冷たい。以前はその親切な応対に、暖かさ すら感じられ、インターネット口座の便利性はH銀行に劣るものの、スタッフの応対はこちらに分があるなとさえ考えさせられたのに・・・。。ある人のブログで、香港の銀行でだいぶリストラが行われたと書いてあったから、その影響かもしれない。なんともやりにくい。果たして、カードを二つとも復活できるだろうか。幸運を祈るしかない。
 帰りは、ソゴウで書籍類を購入。さらに、モンコックにある回転寿司で昼食をとり、羅湖へ向かった。香港側のゲートはスムーズに抜けられたが、中国側で体温チェックが行われており、入境手続きの前にハンコを二つも押して確認という入念振り。人は少なかったのにずいぶんと時間がとられてしまった。なんだか今日はついていない。事故に遭わないように気をつけようと自分に言い聞かせながら、 深センにたどり着いた。
 それから、大劇院駅の対面にある書城で本を買い、JUSCOで食料品を購入。あとはタクシーに乗ってアパートまで一直線。途中、スコールに降られて不安になったが、アパートに着く頃にはやんでいた。 最大の目的であるインターネット口座の復活ができなかったばかりか、普通口座のカードまで使用できなくなってしまったので、ダメージが大きな1日だった。まぁ、事故に遭わなかっただけ良しとしよう。 
2009年7月24日
 本日、再び香港へ出た。T銀行における普通口座のカード受取とインターネット口座の申請のためだ。普通口座のほうは先週カードの再発行を申請してあるから受け取るだけ。インターネット口座の方は申請時にアドレス証明が必要だと言われたので、それを持って行って申請をする予定だった。
 朝7時前に出発して、10時前に香港島にあるT銀行の支店に到着した。先週の冷ややかな対応が記憶に残っていたため、今日もスムーズにはいかないかもな?と不安を抱きつつ窓口に臨んだ。普通口座のカード再発行もしくは、インターネット口座の申請のどちらか一つがうまく行けば今日来たことが無駄にならない。どちらか一つだけでもうまく行きますように・・・。
 「先週申請した普通口座のカード再発行の受け取りに来たのですが・・・」
 「はい、カードの再発行ですね。こちらからの通知が届きましたか?」
 「いや、先週の土曜日に来たときに4日ぐらいでできると言われたので取りに来たのですが・・・」
 「4日・・・。通常、カードの発行には10日ぐらいかかるのですが・・・。ちょっとお待ちください」
 (おい、おい、先週のマネージャーの人、確かに4日といったぞ。ピンイン間違いがないようにわざわざ確認したはずだったんだけどな)。(注:中国語の4は<si>、10は<shi>だが、10を訛って発音すると<si>になるため、声調で判断しなければならなくなる。このため、4と10を確実に区別する必要があるときは、私の場合、4の場合は指を4本立て、10の場合は両手の人差し指で十字を付くって示すことにしている)。
 「残念ながら、やはりカードは届いていませんでした」
 「そうですか。そしたら、インターネット口座のほうの申請をさせて頂けますか?先週来たときに、アドレス証明が必要だと言われたので、それをもってきました。実は、もともと6月までインターネット口座をもっていたのですが、長い間お金を入れていなかったためなのか、キャンセルされてしまったんです」
 普通口座のカードがもらえないのは痛いが、仕方がない。そちらは会社に郵送してもらうことにしよう。とりあえず、インターネット口座の申請だけでも済ませておかなければ・・・。気持ちを切り替えて、話を進めた。幸い、今日の担当者は口調が柔らかい。これなら、なんとかなるだろう。
 アドレス証明を提出すると、インターネット口座開設の手続きが始まった。担当者はPCに向かってキーボードをカチャカチャと叩きながら、様々な質問を重ねてきた。それに一つ一つ答えていく。申請書への記入はサインの部分を除いて、全て担当者が記入してくれたのでずいぶんと楽だった。先週の担当者とは大違いで、応対も丁寧で気分が良い。手続きが終了しそうな頃、「カードは来週取りに来れば良いですか?」と尋ねると、「カードもその他の書類も今お渡しします」と回答があった。おおっ、即日発行か、ラッキー!と思っていると、続けて、「普通口座用のカードも届いていたことがわかったのでお渡しできます」と続けて説明された。おおっ、普通口座用のカードも受け取れるのか、ダブル・ラッキーだ。
 即日発行ということは、カードに名前が印刷されずに渡されるということだ。それは良いのだが、何で普通口座のカードは数日後でなくては発行できずに、インターネット口座のほうは即日発行 できたのだろうか。よくわからない。先週は土曜日だったから、柔軟に判断できる権限をもった管理者が出勤していなかったからかもしれない。いずれにせよ、これで8月まで問題が持ち越されずに済んだ。ありがたい。
 
 大きな問題が片付いたので、帰りの足取りが自然と軽くなった。まず、同じ太古駅のそばにあるJUSCOに寄った。ここに日本書籍屋があるはずだったのだが、残念ながらなくなってしまっていた。最後にきたのが数年前だから、時の流れの中に消えてしまったような感じを受けた。
 JUSCOでいくつか買い物をした後、尖沙咀駅まで電車で移動し、シティ・スーパーにも寄った。昼食をここで済ませてしまうことにする。「Triple-O's」というハンバーガーのチェーン店 (カナダ生まれらしい)があり、メニューに載っていた写真のハンバーガーが美味しそうだったので、そこで食べることにした。注文したのはオリジナル・バーガー・コンボセットだ。ハンバーガーだけでも35HKドル。コンボセット(ポテトと飲料付き)だと50HKドル以上もする。マクドナルドのセットが二つぐらい買える値段だ。しかし、内容も値段にふさわしく、豪華だ った。ジューシーな分厚いハンバーグ、パンも柔らかい。ポテトもごつく食べ応えのある作りだった。満足、満足。(大満足のハンバーガーだったが、まだお腹に余裕がったので、近くにあったたこ焼き屋でたこ焼きも食べた)。その後、同じ階にあるペット玩具ショップで、マイクのおもちゃを買って、帰途に着いた。 良い一日だった。
2009年7月26日
 昨晩は雨が降ったので、明け方から早朝にかけて涼しく過ごせた。しかし、本日は日中かんかん照りだったため、夕方の現在は相当に蒸し暑い。「もう、暑さには慣れたよ」。そう言いつつ、ホームページを書いている今、私の額にはアイスノン(の類似製品)が巻き付けられている。あまり暑いと頭が回らなくなるから、その対策だ。
 さて、本日は携帯電話を購入した。昨年の年初に買ったフィリップ社の「Xenium  9@9k」が壊れてしまったからだ。(これは携帯電話が悪いのではなく、私が何度となく地面に落としたせいだろう)。新たに購入したのも、フィリップ社の製品で、「Xenium  X500」だ。「Xenium  9@9k」と同系列の製品で、個々の機能は同等か、それ以上。それでいて、値段はぐっと下がっている。「Xenium  9@9k」は1499RMBだったのが、「Xenium  X500」は、1161RMB。電池もメーカ品が一個余分についてきた。相当お得になった感じがする。この系列の機種は「待机王」と呼ばれ、2ヶ月間充電しなくても良いというのが売りである。実際には2週間ぐらいだが、それでもずいぶんと助かる。中国でも3Gが稼働し始めたため、3Gが使えるような携帯電話の購入も考えたが、まだ時期尚早だろうと判断して、前回と同様の長所を基準に「Xenium  X500」を選んだ。
 実は、もう一つ気になる機種があった。同じくフィリップ社の「Xenium  X520」という製品だ。売り場の広告にAAA電池使用可と書いてあって面白そうだと思ったのだが、あいにく品切れの状態だったので購入対象にならなかった。AAA電池はどういう電池かと、アパートに戻ってから調べてみると、普通の乾電池のこと だとわかった。中国でいうと7号電池のことでかなり小さい。普通の乾電池が使える携帯電話というと、何だが時代と逆行しているような気もする。
 デジカメなどは、もともと乾電池が主流だったものが、現在ではほとんどの機種で専用の電池が採用されている。携帯電話は逆に、中国では最初から専用の電池だった。少なくとも、7年ぐらい前の白黒携帯電話の頃にはそうなっていた。それをフィリップ社の最新機種が改めて乾電池を電源として採用したというのは興味深い。ちょっと使ってみたい気もする。リコーの工事現場用のデジカメで、乾電池も使用できるタイプというがあるから、それと同様で一部のユーザに受けそうだ。コンセントがないようなところへ長時間出かける場合に、とても便利だからだ。「Xenium  X500」を買ってしまったのは、早まったか?まぁ、仕方がない。

*インターネットで調べたところ、日本には乾電池を使用して携帯電話に充電する機器があり、値段も1000(日本)円弱と安かった。中国でも類似の製品があるらしい。そうなると、「X520」の価値も下がるだろうか。もっとも、乾電池を使用した充電器というのは携帯電話本体に悪い影響を与えるから頻繁に使用するものではないという話も出ており、最初から乾電池用に設計された携帯電話の価値に影響を与えるものではないかもしれない。