7:30、部屋を出た。昨日は一泊分の手続きしかしていない。昨晩泊まった限りでは、騒音もなく問題はなかったので、フロントでもう一泊の延長続きをした。普通は、延長をすると保証金の追加を要求されるが、ここではコンピュータへ追加入力をしただけで、保証金の追加はなかった。ついでに武夷山への列車チケットの購入をしようと隣のカウンターへ行ったがまだ開いてなかった。そこで、隣の「藍&海」で朝食をとることにした。
「藍&海」は格安のファーストフード店。早朝だと、他に注文をすれば、ご飯や白粥はいくら食べても無料(他の時間は2元)。おかずも一皿6元が中心の料理で比較的安い。郊外だとそれでも庶民の標準からすると高い感じがするが、都市内では手頃な値段となるので、主に都市圏や観光地で展開されているようだ。私も一人で旅行中にしばしば利用したが、若干油がきついのが難点だ。でも、一皿のおかずが多すぎず、少人数で食べるには良いと思う。Zの気も気に入ってくれたようで良かった。
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第二日目の朝食 |
朝食を終えると、昨日の総合バス・ステーションから数キロ離れたところにある中心バス・ステーションへタクシーで向かった(7RMB)。崇武古城へ行くためだ。三年前に行った時は、ごちゃごちゃした街中にある小さなバス・ステーションから出発したのだが、すでに場所を忘れてしまった。そこで、インターネットで改めて調べなおしたところ、中心バス・ステーションからバスが出ていることがわかったので、そこから行くことにしたのだ。
中心バス・ステーション到着(8:00)。雨が降り始めた。チケットを入手して、乗車(10RMB)。3年前と料金は同じだが、バスも同じようにボロバスだ。出発時は私たち以外には3人の乗客しかいなかったが、途中から次々と客が乗り込んできて、崇武に近づいた頃には、ほぼ満席となっていた。
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崇武行きのバス |
9:00、崇武に到着。街が見違えるほど立派になっている。古城は海に面している。歩いて行ける距離だが、方角に自信がなかったので、近くのスーパーで飲物を購入し、ついでに方角も確認し、出発した。雨はすでに止んでる。
新しい商店街もできており、ホテルも建設中のようだ。「高級ハワイ海景別荘群」と書かれた大きな看板も出ている。美しい海岸以外には特に産業もなさそうな街だというのに、なぜこんなに発展したのだろうか。汕頭もそうだったが、中国全体を覆っている不動産購入熱と関係が深いのかもしれない。港の様子は三年前とあまり変わっていないが、以前よりも活気があるような気がした。
船もやや大きくなっているような?
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高級ハワイ式マンション |
十数分歩いて、古城の門に到着。チケットは25元/人。三年前来たときは、古城だというのに、城壁が真新しく内部の建物も建てたばかりという様子に不自然さしか感じなかった。今はどうなっているのだろう。城壁の外側には、以前と変わらず、三国志や水滸伝をテーマとした石像が並んだ公園が広がり、そのさらに外側に海が広がっている。再び雨が降ってきたので、傘を広げた。
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崇武古城の海辺 |
公園に沿った海岸線は岩場となっている。岩から岩へと渡って海のそばへ行きたい気分だ。しかし、足でも滑らせたら大変だ。諦めて、海岸線に沿って歩き続けた。すると、亀そっくりの岩をあった。いや、そっくりの域を超えている。彫ったな。中国の鍾乳洞でよくみかける人工物だ。こんな風にしないで、自然のままだったら、そこそこ似てるだけでも感動できるのにと思うのは私が日本人だからだろうか。他民族の中国では、やはり明確にわかる表現でないと理解してもらえないのかもしれない。なんて
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亀岩 |
海岸を端まで歩いていき、丘に登った。丘の途中に石造りの灯籠があり、その一番したに小さな犬が陣取っていた。四方が開いているので、風も防げないし、小屋としてはあまり役に立たないように見えるが、犬は「ここは俺の家だ」と宣言するような表情でこちらを睨み付けてきた。犬好きの私は、以前だったら、恐る恐るでも手を伸ばしたことだろう。しかし、最近、中国の新聞では狂犬病のニュースが紙上を賑わしている。Zが言った「噛みつかれるわよ」の一言に押しとどめられて、そこを離れることにした。
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犬のお城 |
丘を越え、砂浜のある海岸に足を踏み入れた。波が押し寄せる音、潮の匂い、しばらく振りだ。日本ではどこに行っても海を拝めたのに、中国ではよほどのことがないと海のそばに来る機会ない。だから、とても嬉しい。もっとも、沿岸の都市はどこも発展してしまっていて、中国らしさは感じられなくなってきている。海のない内陸でこそ中国旅行の醍醐味が味わえるのだから、私の思いも矛盾だらけというものだ。
「これがZに見せたかった浜辺だよ。残念ながら、雨で暗い色になってしまっているけれどね」と私が言うと、Zは気を遣って、「うん、本当に綺麗よ」と言ってくれた。いや、本当に残念。晴れた日にもう一度連れてきてやりたいけど、さすがにもう一度来ることはないだろう。そのうち、青島辺りにいったら綺麗な砂浜が見られるかな。
雨は降り止んでいるので、砂浜に沿って散歩するには差し支えない。波が寄せては引いて寄せては引く様子を眺めながら歩いていると、後ろからZが「きゃあ、濡れちゃったわ」と騒ぎ立てる声が聞こえた。振り返ると、Zがこちらに走り寄ってきた。「どうしたんだ?」と尋ねると、「さっき貝殻があったから、波のそばまで拾いにいったら、すごい勢いで波が戻ってきたのよ。逃げるのが間に合わなかったわ」と憤慨しきりだ。残念、面白いシーンを見損ねた。
浜辺を端まで歩いて、再び丘を登った。古城の城壁の角のところへ出た。城壁の角に入口があり、階段を登ると城壁の上に登れるようになっている。見張りのスタッフ?にチケットを見せて上へ登った。ここから古城の内外が広く見渡せるが、柵で囲まれているため、他へ出て行くことができない。やむなく、階段を下りることにした。3年前に来たときも、ここまでで止めた。古城の外側を一周することもできるようだし、この丘のさらにさきにも綺麗な海岸がもう一箇所見える。だが、雨が再び降ってきたため、ここで散策を終了することにした。
城壁に沿って、入場口へと向かった。城壁の中ほどの所に古城の中に入る大きな門がある。前回来た時には、中の建物のあまりの真新しさにいささか興ざめしたが、三年経ち、若干建物が古ぼけてきて、少しばかり古城らしくなってきた。もう10年も絶てば古代の建物として立派に通用しそうな感じだ。世界遺産に登録される日も間近か?(ちょっと無理)
外を出た頃には、雨は降り止んでいた。再び城壁に沿って歩く。城壁沿いには子持ちクジャクの樹が並んで植えられている。(10:30)。私たち以外に人影がなく、いかにも寂しげなたたずまいだ。夏になれば、大勢の観光客で賑やかになるのだろう。でも、そうなると、美しい海岸を楽しむというわけにいかなくなるだろうから、ここに来るのは冬が一番良いと思う。
古城の入場口の外側には、崇武名物の魚巻の店がずらりと並んでいた。だが、シーズンオフのためか、卸し売りの店ばかりで、食事ができそうな場所がない。前回来たときには、このうちの一軒で、魚のつくねスープを食べたのだが、店の模様が様変わりしてしまっていて、どれがその店がわからなくなっていた。せっかく来たのだから、Zにもあの魚のつくねスープを食べさせてやりたいと、うろうろしているうちに、小さな魚巻の店が目に入った。店内を覗いてみると、若い女の子が出てきた。「ここで魚巻が食べられるか?」と尋ねると、「これが魚巻よ」と脇にある棚を指さした。見ると、棚の上に、細長くて太いソーセージのようなものが一本一本ビニルに包まれて並べられていた。「これじゃなくて、このつくねのスープをここでたべさせてくれないのかな」と要求してみたが、駄目だと断られた。ここでは製造しかしていないらしい。「この魚巻って、料理せずにそのまま食べられるの?」と聞くと、「大丈夫よ。まだ作ったばかりだから暖かいわ。一番暖かいのを選んであげる」と答えが返ってきた。「じゃあ、二本だけ」。女の子はビニル袋に包装された魚巻を何本か手にとって、暖かいのを選んで袋に入れてくれた。(5元/本)
道を歩きながら、一本ずつ二人で、魚巻をパクついた。魚の味わいが深く、美味しい。が、若干油がキツイ。やはり、生で食べるものではなく、煮物などの種の一つとして食べるように製造されているようだ。Zに感想を尋ねると、「美味しいわ。でも、食べきれない。あげる」とちぎって半分を渡された。うまければ油が少々きつかろうと、大丈夫。瞬く間に全部平らげた私だった。
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清源山行きのバス |
11:00、来たときと同じ会社のバスに乗って、泉州へ向けて発車。Zが足を揺らせて、さきほど海辺で濡らしてしまった靴を示した。「もう、びしょびしょよ。靴買わなくっちゃ」とぶつぶつ言っている。靴を買って欲しいというアピールらしい。「大丈夫だよ。それぐらい。すぐ乾くよ」。「何言ってるのよ、びしょびしょで大変だわ。風邪引いたら困るでしょ」。「Zは風邪引いたことないだろ」。「ひどい!」激しい攻防が続く。濡れたぐらいで靴を買うのはどうも納得がいかない。しかし、昨年、湖北省に旅行して雨に打たれ私の靴が濡れた時、Zに説得されて新しいのを購入した実績がある。もはや、靴を買うことは避けられまい。
12:00、出発した時と同じ中心バス・ステーションに到着。バスを下車すると同時に、「靴、靴」と騒ぐZ。「こんなところで靴なんか売ってないよ。『老君岩』に行ってからにしたら?」。「あった、あった、あそこにデパートがあるわ」。「えっ?」。どういうわけだか、バス・ステーションのすぐ横に立派なデパートがあった。(なんだか高そうなデパートだな)と顔をしかめるが、手遅れ。Zがずんずんとそちらへ向かっていく。慌てて後ろを追いかけた。
一時間後、新しい運動靴を手に入れたZは、ニコニコ顔だ。私は出費は痛かったが、一時間に渡るショッピングが辛かった。なんで、旅行に来て靴の購入のために一時間も歩き回らなければならないんだ。しかし、ひたすら靴ゲッートに喜ぶZの前では、私の怒りなど存在しないに等しかった。
中心バス・ステーションに戻り、「清源山」行きのバスを探す(ガイドブックによると、清源山の中に「老君岩」があるらしかった)。バス(15号)はすんなり見つかったが、ドアを閉め切っていて、発車する様子がない。他にも数人の客が発車を待っている様子だ。中を覗いてみると、チケット切りの女性スタッフがぽつんと座っていた。ガラス窓が開いていたので、背を伸ばして「いつになったら出発するんだ?」と声をかけてみた。しかし、返事がない。諦めて待っていると、数分後、後部座席から男がむくっと起き上がってきた。どうやら、運転手は後ろで昼寝をしていたらしい。ドアが開いたので、他の客たちと一緒に私たちも乗車を始めた。
バスは郊外に向かっていった。雨がどんどん強くなっていく。これでは、山登りができるかどうかわからなくなってきた。到着して、すぐに戻るはめになったら情けない。しかし、泉州では、他にあまり行けるところがない。泉州にはいくつか、歴史の長い橋があって一人旅なら是非とも足を伸ばすところだ。しかし、Zと一緒では、「つまらない」の一言(と表情)で却下されるのは間違いない。とにかく、「老君岩」さえ目にすることができればという気持ちで雨に打たれるバスの窓から外を見やった。
1:40,バスが病院の駐車場で停車した。終点だという。「清源山」に行くはずではなかったのか。Zが女性スタッフに尋ねると、すぐに降りて隣のバスに乗れと言われた。「はやくしないと出発しちゃうわよ」とのことである。慌てて、下車して、隣のバスに飛び乗った。同じ15号バスである。わけがわからない。
バスはすぐに出発した。Zが「これって、来た道を戻っているだけじゃない?私たち、さっききた道を戻っているだけみたいよ。ほらっ、きっと私たち通り過ぎちゃったのよ。だから、これでそこまで戻れってことよ」と不安にさせるようなことを言い出す。私の記憶では道が違うような気がしたが、自信がないので黙っていた。しばらくするとバスが山の中に入り始め一安心。バスの運賃も、最初のバスで払った分だけで良いようで、新たに取られることはなかった。
五分ほどで、終点に到着した。15号バスが数台並んでいる。どうやら、15号バスは、市内から病院、病院から清源山の二種類があり、病院で連結するような運行になっているようだ。なんでそんな風にしているのかわからないが・・・。
下車はしたものの、清源山の入口がどこにあるかわからない。案内板もない。仕方がないので、Zが公衆トイレを管理しているおばちゃんに場所を尋ねた。おばちゃんが「あっち、あっち」と指さして教えてくれたので、そちらの方向に歩くことにした。。雨が激しく降り続いており、とても山登りどころではないが、行けるところまで行くことにした。
階段を少し登ったとこに、「清源山」の入口があった。チケット売り場の窓口で尋ねてみると、「清源山」は数カ所に入口が分散していることがわかった。さて、どうしたものか。せっかく来たから山登りをしてみたい気持ちもあるが、なにしろ雨が強い。「どうする?」とZに尋ねると、彼女も思案顔だ。それで、「とりあえず、先に『老君岩』に行ってそれから決めることにしよう」と提案すると、Zも同意した。
Zがチケット売り場のスタッフに「老君岩」の方角を尋ねて、そちらへ向かった。入口がずいぶんと離れているらしい。さきほどのバス停まで戻り、さらにまっすぐ歩いていく。「本当にこっちでいいのか?」とZに尋ねると、「間違いないわ」と自信満々だ。(本当かよ)と疑問が頭をよぎった。「駐車場の向こう側だっていってたもの」とZが付け加えた。なるほど、しかしもう数十メートルは歩いてきたぞ。「もういちど、もどって確認した方がいいんじゃないか」と言うと、「大丈夫よ。なんだったら、賭ける?」と賭けを持ちかけてきた。うーん。よくわからないが、いくら何でも、こんなに入口が離れているのはおかしい。そう考えて、賭けにのることにした。私とZの間の賭けは原則として10RMBである。だから、負けてもそんなに痛くはない。負けると自尊心が傷つくが・・・。
さらに数十メートル進んだところで、Zが「あったわ、『老君岩』があったわ」と喜びの声をあげた。「どこ、どこ」と目を凝らすと、たしかにあった。岩に赤い文字で「老君岩」と書かれている。「さあ、10RMBちょうだい」とZが手を伸ばしてきたので、仕方なく紙幣を手渡した。Zが「ふふっ、実は私、バスでここを通り過ぎた時、この『老君岩』って描いてある岩を見たのよねぇ」とネタばらしをした。「だから、(チケット売り場のおじさんが)駐車場の向こう側だって言ったときに、ピンと来たのよ」と自慢げだ。おいおい、そいつはずるいじゃないか。金返せと言いたいが、もう後の祭りである。そもそも、そんな情報を抱えていたら、最初に清源山の方角を聞いたときにおかしいと思わないのかと考えたが、Zに尋ねさせたのは私なので文句は言えなかった。
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清源山の入口 |
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老君岩の入口 |
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チケットを購入して、入口を抜けた。雨は相変わらず降り続いたままだ。とにかく「老君岩」を見るまでは頑張らねば!そういい聞かせて、階段を登っていくと、数分も経たないうちに小さな広場に出て、その奥に「老君岩」があっけなく現れた。えっ、こんなにすぐに・・・。ホントにこれが?私もZも自分の目を疑いながら、像に歩み寄った。うーん、ガイドブックの写真と同じだ。Zは「これはいくらなんでも違うでしょ。もっと高いところに、本物があるのよ」と失礼なことを言い続けている。「いやいや、偽物ってことはないよ。こんなところに偽物をおいてもしかたがないし・・・」と言う私も、半分は自分に向かってつぶやいていた。「だって、写真だと、すごーく高い場所にあるように見えるわよ」とZ。確かにその通り、写真だとそのように見える。まぁ、写真の取り方がうますぎるんだよ。それに、ここまでバスに乗ってきたから、近いように感じるけど、ふもとから歩いて登ってきたなら、それなりの距離があるからもっと有り難みがあったに違いない。
こんな私たちを「老君岩」がどう思っていたかはわからないが、その顔は「まぁまぁ、世の中そんな物さ」とでも言うように優しく微笑んでいた。人を和やかにする像だ。「この像の髭に触ると、幸運が訪れるとかって、ガイドブックに書いてあったぞ」と言って、私が像の前の植木の中に入っていこうとすると、Zが「駄目、駄目よ!管理人さんに見られたら怒られるわよ」と大声を出した。「大丈夫だよ」とさらに足を進めようとすると、「駄目!駄目!見つかったら、罰金よ」。Zの声はさらに大きくなり、私がそれ以上進もうものなら、眠っている管理人を呼び起こしかねない勢いである。いつもは私が注意する役目なのに、こんなに言われたら、私がまるで駄々っ子のようだ。諦めて、引き下がることにした。Zは迷信深いところがあるから、像に触ると罰が当たるとでも考えたのかもしれない。
「老君岩」の右横に上に登る階段が続いていて、ずっと先まで歩いていけるようになっている。ちょっと登ってみたが、降り止まない雨に嫌気がさし、諦めることにした。まだ今回の旅のメインである武夷山が控えているし、無理をするのもよくない。通り過ぎる時、もう一度「老君岩」に挨拶をして出口に向かった。
バスに乗って、ホテル近くで下車。雨が降っていることもあって、もう泉州で行きたいところはなくなってしまった。そこで、ホテルを半日借りということにしてもらって、引き払い、一気に武夷山に向かう案を考えた。武夷山行きの列車は夜の7時頃だから、一泊分の費用が浮く。だから、仮にホテルの半日借りへの変更がうまくいかず、一泊分損することになっても引き払ってしまおうと決めていた。
まず、ホテルのフロント脇にあるチケット売り場で武夷山行きの列車チケットの入手を試みた。しかし、スタッフが「泉州のネット担当者が春節の休みで今日からいないんだよ。だから駅まで行かないとチケット買えないよ」と冷たい声で返事を寄越した。「だったら、なんでここにいるんだよ」と私がつぶやくと、Zが「きっと飛行機のチケットは売っているのよ」と冷静な判断を示した。いつもそれは私の役目なのに・・・。Zよ、立派になったな。
とりあえず、フロントで、半日借りへの変更は可能かを尋ねてみると、残念ながら駄目とのことだった。まぁ、列車のチケットさえ手に入れば、ホテル代は棄てることになってもいい。泉州駅までタクシーを飛ばすことした。
駅までは相当遠くて、タクシーを20分ぐらい走らせることになった。これだったら、清源山から直接タクシーを飛ばしても良かった。だが、その時はまさかホテルで予約できないことになっているとはおもわなかったから、仕方がない。
3:30,泉州駅到着(14.5RMB)。
武夷山へのチケットはあった。だが、なんと無座。「硬臥」はないのかとZに尋ねてもらうと、窓口のスタッフは、「今頃になって、『硬座』?あるわけないでしょ」と冷たく答えた。続けて「軟臥」についても尋ねたが同じくなし。現在は中国人も豊かになってきたので、「硬臥」がないとなれば、皆平気で「軟臥」を買うようになった。十年以上前に旅行した時には、駅の構内から客が溢れるほどに客が並んでいても「軟臥」が買えないということはなかった。昔が懐かしい・・・。
武夷山まで列車では10時間以上はかかる。まさか、無座で行くわけにいかない。明日なら「硬臥」があるという話だったが、そうなると、明日一日をどうやって過ごすかという問題がある。しかも、夕方までに戻ってこなければならないという制約付きで・・・。泉州で近場でいける場所となると、古代の橋ぐらいしか思いつかない。そのうちの一つには、すでに行ったことがあるし・・・。
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泉州駅 |
一旦、ホテルに戻ることにし、タクシーを探した。駐車場に停まっていた唯一のタクシーに行き先を告げると、メータでは行ってくれず、「20RMBだ」の一点張り。怒ったZが、他のタクシーで行くわ!と宣言すると、「わかった、わかった、メータで行くよ」と途端に態度を軟化させたが、後の祭り。20RMBだなんて無茶な値段をつけてくる運転手なんて信じられないわ。絶対、貴方のタクシーなんか乗らないと言い返して、その場を離れた。
Zの奴、啖呵を切ったは良いが、代わりのタクシーがいないぞと心配したが、幸い、客を乗せたタクシーが次々に駐車場に滑り込んできた。そのうちの一台に乗ってホテルへ向かった。
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第二日目の夕食 |
3:55、ホテル着(15RMB)。夕食は朝食同様、ホテル脇の「藍&海」で食事することになった。せっかく二人で旅行に来ているのに、夕食まで「藍&海」とは・・と考えたが、Zが気に入ってしまっているようだったので仕方がない。食事は全部で41RMB。
4:25、食事を終えると、総合バス・ステーションへ行き、アモイまでのチケットを手に入れた(42RMB/人)。明日の早朝に、アモイへ向かい、アモイ駅で泉州までのチケットを入手。昼間はコロンス島観光をして、夜の列車で泉州へ向かうという算段だ。列車のチケットが予定通り買えないと計算が狂うが、アモイ発武夷山行きの列車は泉州発よりも数が多い。多分大丈夫だろう。
チケットを手に入れた後は、Zのデパートでの買い物に付き合ったり、足マッサージに行ったりして時間を過ごした。開元寺にも足を伸ばしたが、夜遅かったため、もう閉まっていた。開元寺前の西街通りは、以前と同様ひと時代昔の街並みの雰囲気を残していたが、時計台のある東街との境当たりから、徐々に建て替えが進んでいるような感じであった。いずれ、全て新しい建物に変わってしまうのだろうと思うと残念だ。
8:10、タクシーでホテル着。明日に備えて、早めに床に着く。Zは・・・、またテレビだ。「早く寝ろよ」と声をかけてベッドに潜った。 |