9:00、チェックアウト。ホテルの変更を決定した。273RMBという値段とホテルの位置を考慮してのことだ。このホテルは「胡里山炮台」、「南普它寺」、「華僑博物館」という三つの大きな観光地をすぐそばに抱えているので大変便利だけれども、観光が終わってしまうとそのメリットが消えてしまう。部屋がなんとなく殺風景で、面積は他のホテルに比べて広いのだが、机が妙な位置にあったりして使い勝手が悪い構造になっているのも気にいらなった。
タクシーで昨日目をつけておいた「鷺江賓館」へ向う(8RMB)。実は、昨晩、中山路まで足を伸ばしたときにロビーを覗いておいた。ロビーをみた限りでは四ツ星級のホテル。だが、立地条件は抜群で、コロンス島がすぐ前だ。旅も残り二日だし、少し贅沢をしても許されることだろう。
ロビーに入り、料金を確認する。正規料金はシングルで410RMBだ。値切っても360RMBがいいところかなぁ。ところが、料金を尋ねると回答はなんと「275RMB」。昨日の「緑洲酒店」とほぼ同じだ。ちょっとぎょっとしつつ、セオリー通り、部屋の確認をさせてもらう。
見せてもらった部屋はロビー同様非常に豪華にできていたが、シャワー設備だけでバスがなかった。料金はいいが、バスがないのは戴けない。少し料金がアップしても構わないから、バス付きの部屋にしてもらおう。そう決めてフロントで要求を出すと、バス付きがいいなら同じ料金で別の部屋があるという。念には念を入れて、再び部屋の確認。OK。内装が豪華でバス付き、それで275RMBなら言うことなし。チェック・イン手続きを済ませて部屋に入る。服務員に尋ねたところによると、現在、上の階でリフォームを行っていて特別に安くなっているのだそうだ。思い切って、ホテルを変えてよかった。リフォームの工事でうるさくないかが少し心配だが・・・。
|
【鷺江賓館】 |
10:30、ホテル発。ホテルの前の通りを渡ると、たくさんの船着場が客を待っている。○○島行き、△△島行き、◇◇巡りと片手では収まらない。コロンス島行きの船が出る船着場を探し始めるが、どうしても見つからない。「地球の歩き方」によると、行きはお金を払わず、帰りに1RMB払えばよいだけだという。私のもっているのは「2000-2001年版」だから、それから少し値上がりしてはいるにしてもせいぜい2,3RMBだろう。
是非とも、その船に乗ろうと懸命に歩き回る。が、結局見つからず、コロンス島遊覧という、コロンス島をグルリと回ったあとに到着する遊覧船で行くことになった。たったの10RMB(帰りは無料)でコロンス島を外から参観できるのだから、決して損をしたわけではないのだが、ちょっと敗北感。
11:45、コロンス島着。島民らしきオバサンやらオジサンがゾロゾロと集まってくる。どうやらガイドをやってくれるらしい。全部を回って10RMBだという。そう言えば、アモイ島側の船着場でも、ガイドが売り込みをかけてきた。あちらは若くて可愛い女の子たち。ガイド料は20RMBであった。どちらを選ぶかは皆様のお好み次第だ。私は中国人ガイドの、ひらすらまくし立てる声の調子が大嫌いなのでガイドはつけずにコロンス島巡りに突入。
まずは、腹ごしらえから。船着場近くの中華ファーストフードに入る。このファーストフード店は名前は違うが、「藍&海」のチェーン店と全く同じ方式だ。カウンターのところで、好きな料理を選んで小皿によそってもらい、テーブルまで持っていって食べる。芋がゆは食べ放題で2RMB。街中にある小汚い飯屋の3RMBめしとさして変わらない方式だけれども、清潔感と品揃えが違う。私は腹いっぱいになるまで食べて合計20RMBとなった。
食事が終わると、標識に従って島を右回りに歩き始めた。しばらく歩くと、右手に「孔雀園」と書かれた門が現れた。ところが、ここは残念ながら「整理中」とかで入園禁止状態。放し飼いとなっている孔雀が竹作りの柵の上で休んでいるのを間近に見ることができたので、それでよしとする。
|
【孔雀】 |
まっすぐ歩いてゆくと、入場門が現れた。料金表を読むと3箇所(「皓月園」、「菽庄花園」、「日光岩」だったと思う)の三点セットで80RMBだという。バラで買うと数十元高くなる。ちょっと迷った後、三点セットのチケットを購入。
入場して、まずは鄭成功(注)が戦いの勝利(だったけ?)を誓ったという○○亭(名前は忘れました)へと上る。風が強い。昔はこんな立派な橋はなかっただろうから船で来てこの岩に登ったのだろうか。英雄は大変である。
注:鄭成功とは、父をアジアの海で活躍した鄭芝竜としてもち、母を日本人とする日中のハーフである。滅びゆく明朝のために戦い、大健闘をするが、最後は病に倒れた。日本では近松門左衛門の手による浄瑠璃「国姓爺合戦(こくせんやかっせん)」の主人公ともなっている中国の英雄である。
|
【誓いの場所】 |
連日の強行軍が祟ったのだろう。今日は体が重い。少し頭痛もする。SARSチェックで、飛行機に乗れなくなったらどうしよう。鄭成功が誓いを立てたその場所で私が考えたのは、こんなことである。ごめんなさい、鄭成功さん。
そして、鄭成功の像のところまで登る。少し手前に説明を載せた石牌があって、鄭成功の像(!)のすごさが書かれている。「高さ15.7M、重さ1400トン、マグネチュード○○までの耐震性、落雷対策設備完備」。うーん、すごい。ところで落雷対策設備とは何だろう?雷が落ちてくると、鄭成功像の手が振り上げられ、雷を叩き落しでもするのだろうか。だとしたら、すごい!
もちろん、そんなわけはない。よくみると、鄭成功像の頭から避雷針が突き出ている。かなり単純な解決方法だ。英雄の像が雷で破壊されてしまっては格好がつかないというのもわかるが、もう少し別の方法を考えたほうが良かったのではなかろうか。「頭上から避雷針」はあまり見栄えのいいものではないですぞ。
|
【鄭成功の像】 |
|
|
【菽庄花園<1>】 |
そして、「菽庄花園」。ここは戦乱を避けて島に移り住んだ人が建てた庭園だという。山の風景、海の風景を自然を生かして作り出した趣味のいいお庭といった感じ。でも、こういう箱庭みたいな庭園はどちらかというと日本に多い。だから、特別に感銘を受けるということはない。でも、風景側にある岩の迷路はちょっと面白いので登ってみるといいですよ。
|
【菽庄花園<2>】 |
そして、「日光岩」に向う。「日光岩」というと、なんだか聞き覚えのある名前だが、それは日本の「日光」だ。全然関係がない。すごい名前だが、島から岩が突き出ているだけではないかという気がしないでもない。まぁ、そんなことばかり言っていては、白けるというもの。ピアノの音をBGMに懸命に登っていく。(コロンス等は著名なピアニストを多く輩出しているということで、島の要所要所にピアノの音楽を流してある)。
|
【日光岩】 |
「日光岩」は思ったより遠く、風邪で体調を崩した身には少し厳しかった。それでも、一番上まで上り詰め、コロンス島の全景を楽しむ。コロンス島の家々は中国とはかなり違っていて、マカオを思わせるような異国風味が混じっていた。といって、マカオのようなヨーロッパ風でもないような気もする。どこの国の影響を受けた建築物なのだろうか。少し興味をそそられる。
|
【日光岩から見たコロンス島】 |
「日光岩」から「百鳥園」へはゴンドラでの移動。わずか100メートルほどの距離らしいが、窓のない、小型ゴンドラのため乗っていて相当怖い。風がまとに顔に当たるのが一層恐怖を煽る。最近では日本でもゴンドラの事故が絶えないぐらいだ。まして中国では定期検査なんぞ、お飾り程度のものだろう。神様、ご加護を!
|
【百鳥園へ向うゴンドラ】 |
ゴンドラを降りると、すぐに「百鳥園」だ。いかにも観光スポットという、このネーミングに大して期待はしていなかったが、入ってみると、想像以上に楽しい。大半の鳥は檻や柵の中に入れられて仕切られていたけれども、孔雀や一部の小鳥は放し飼いだ。孔雀が手を伸ばせば届くところをトコトコと歩いていくのだから、つまらないわけがない。船着場の近くにあった孔雀園が閉鎖になっていたのは、こちらの「百鳥園」を強化するためだったのかもしれない。
|
【百鳥園<1>】 |
|
|
【百鳥園<2>】 |
|
鳥たちのさえずりに囲まれながら、小道を降りていくとちょうど、小鳥の曲芸会が始まった。動物やイルカの曲芸と違って、小鳥の曲芸をみるのは初めてだ(たぶん)。綱渡りをしたり、小さな缶の上にのって、足で缶を回しながら巧みに移動したりと愉快なショーが続く。最後は客が片手でかかげた紙幣を翼を羽ばたかせて取りに行くという芸まで見せてくれた。予想を越えた満足を与えてくれた「百鳥園」であった。
|
【百鳥園<3>】 |
「百鳥園」のある山を下って、島の反対側へ。すると、ちょうど有名な「鼓浪石」のあるところへ出た。この岩に波が打ちつけるとき出す響きが太鼓のように鳴り響くことから「鼓浪石」と呼ばれ、それがこの島「コロンス(鼓浪)島」の由来となっているのだそうだ。
さあ、もう見るべきものはほとんど見終わった。少し頭痛もするし、帰ろうじゃないかと考えていると、すぐ脇に船着場がある。ラッキー!立て看板に書いてある発着時間に目を走らせる。だが、次の便がやってくるまでにまだ1時間近くあることがわかった。ここで1時間もボーッとしているのは面白くない。やはり歩いて、反対側の船着場まで戻ろう。
|
【鼓浪石】 |
|
|
【コロンス島のお宮】 |
ぐにゃぐにゃした道を適当に進みながら、なんとか島の反対側に出た。綺麗な公園が海岸線に沿って広がっている。潮風と美しい風景が心を弾ませると言いたいが、体はすでに疲労の極みに達している。ただ、ただ船着場に向うのみ。しかし、美しい島だ。こんなところで暮らせたら、幸せかもしれないなぁ。もっとも、私ではすぐに飽きてしまうか。
|
【コロンス島の散歩道】 |
4:00、ようやく船着場に着こうとするころ、この辺りに水族館があることを思い出した。しばらくウロウロし、なんとか到着。入場料金表をみると、70RMBもする。「えー、70RMBもするのー!」と大声でうめくと、チケット売り場の女性スタッフに「大げさに言わないの。大勢で来ているわけじゃあるまいし」とあしらわれた。内容はもっともかもしれない。でも、俺はお客だぞ、対抗するなよ。
しかし、70RMBとは高いよなぁ。まぁ、深センのテーマパークでは入場料が100RMBを超えるのが普通になってはいるが。
|
【海底世界<1>】 |
さて、水族館の内容であるが、高い入場料だけあって内容は充実していた。ペンギンもいたし・・・。(この後『2004年5月』行くことになる、広州の動物園付属の水族館よりも出来がいい)。イルカのショー、オットセイのショーもなかなかのものであった。うーん、ペンギンは可愛いよなぁ。でも、噛み付きが好きそうだな。
|
【海底世界<2>】 |
|
|
【海底世界<3>】 |
|
|
【海底世界<4>】 |
5:16、船着き場から出発。コロンス島、さようなら。来るときに買ったチケットをみせると、上船料は無料。チケットがあれば2Fにも登れる。
5:30、ホテル着。部屋に戻った途端に電話が鳴り響いた。(なんだろう?)と思って受話器をとると、フロントからであった。「今日、貴方はフロントで宿泊の保証金として、いくらお支払いになりましたか?」という質問である。(妙なことを聞くもんだな?)と考えながらも記憶を探るが、思い出せない。「覚えてないよ」と言うと、「800RMBだったはずです」と答えが返ってきた。「ああ、そうだったね」と同意する。「でも、それがどうしたの?」と疑問を示すと、「そのときお渡しした領収書をご覧になってくださいますか」と言うので、財布を取り出した。領収書を探しながら、「領収書に何か問題でもあるの?」と尋ねると、「はい、金額をご覧になってください。1000RMBとなっているはずです」と言う。
領収書を広げてみると、はたして、本当に「1000RMB」と書いてあった。「わかった。それで、どうしろと?」と問うと、「今からスタッフが800RMBと書いた領収書をお持ちいたしますので・・・」と回答があった。「了解」と言って、受話器を置く。なるほど、800RMBしか支払わなかったことを私に認めさせるために、あんなに遠まわしな説明の仕方をしたのだ。確かに中国だったら、領収書を盾に1000RMBをもらうまで頑張る奴もたくさんいるだろうからなー。でも、今回は私も失点だ。領収書をもらっていて中身を確認していないとは!少なく書かれていたらどうするつもりだったのだ、と自分を叱り付ける。安い料金で良いホテルに泊まれたから浮かれていたのだろうか。
しばらくして、スタッフが代わりの領収書をもってきたので、快く交換に応じて一件落着。
本日をもって、アモイ探索はほぼ終了。明日は、適当に市内を回ってみることにしよう。そう言えば、まだお土産を買っていない。
|