Zは朝早くに出発。楽しい旅行になるはずだったのに、私の病気のせいで台無しになってしまった。Zには申し訳ない気持ちでいっぱいである。せめて今日の「一日ツアー」だけは楽しんできてくれ。
Zを送り出した後、再び睡眠に入り、午前11時頃目が覚めた。もう熱は下がったようであるが、体力的に不安がある上、少し頭がフラフラする。だが、明日は深センに帰る日だ。今日どこにも行かなければ、西寧に来た意味が全くなくなる。ホームページでも書くことがない。ここは無理をしてでも「塔尓寺」ぐらいは行っておきたい。それさえ無理なら「東関清真大寺」にでも行こう。大丈夫だ、なんとかなる。
ホテルを出て、近くのバス停からバスに乗車。とりあえず、街中へと向かう。途中、窓から鴨料理専門らしきチェーン式レストランが見えたので、下車。
私は「焼鴨」がとても好きなのだ。まだ身体に力が入らないが、こういう時こそ、腹に何でも詰め込んで体力を養わなければ・・・。
お店に入ってテーブルに座るとさっそく店員がメニューをもってきた。ところがメニューをみると、鴨料理専門も何も関係がない。普通の中華レストランだった。看板(忘れた)では明らかに「鴨」の文字が強調されていたから、きっと当初は「鴨」メインだったのだろうが、「鴨」だけではやっていけずにメニュー構成を変えたのではないだろうか。
仕方なく、叉焼ランチを頼んだ。しかし、やってきた料理をみて、即座に失敗したと悟った。料理自体は特別なことは何もない。日本のラーメンなどに入っている叉焼とはまた違った、甘いタレをたっぷりとかけた脂身たっぷりのお肉の切り身である。それがライスの上に盛ってあるだけだ。定番メニューの一つである。しかし、この脂身がいけなかった。病み上がりの身体が脂の部分をみただけで拒否反応を起こしてしまった。胃が脂を嫌がっているのだ。
失敗したなと後悔しつつも箸を進めた。とにかく何か食っておかなければ体力がつかない。嫌がる胃に無理やり中国叉焼を押し込んでいった。何でこんなの注文しちゃったのかな?「焼鴨」を食べるつもりで店に入ったから、ついつい同系統の料理を選んでしまったのかな?自分の決定に疑問と反省を抱きながら、ライスは全部平らげ、中国叉焼は半分だけ食べた。
食事を終了し、ちょうど走ってきたバスに乗車。西大街を西に向かって移動した。目的地は「塔尓寺」行きのバスが出ているというロータリー交差点の近くだ。しかし、適当に乗車したので、バスがどちらに曲がるのかわからない。曲がり角に近いところで下車。ちょうど商店街があったので、ぶらっと歩いてみるが、特に面白いものもない。食事をしたせいか、思ったよりも体力が回復している。バスには乗らず、歩いて目的地に向かうことにした。
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地図を頼りにテクテク歩いてロータリーに到着。「塔尓寺」行きのバスだけが停まっているのかと思ったが、そんなことはなくあちこちへ向かうバスやタクシーの客引きがいっぱいいた。やがて、やってきたバスの運転手に尋ねてみると、「塔尓寺」に行くことがわかったため乗車した(5RMB)。
12:40、「塔尓寺」に向かって出発。バスは満員だ。そのためか車内はぽかぽかと暖かく、眠くなってきた。ずっと居眠り状態だ。
13:45、「塔尓寺」付近に到着。皆のあとについて「塔尓寺」へと向かう。
14:00、「塔尓寺」の門をくぐる。中でチケットを購入。8インチのCDがついている。80RMB。めちゃめちゃ高い。他の観光客はあまりチケットを買っている様子がない。きっと旅行社かどこか別の場所で購入してきているに違いない。お寺に入場するのに80RMBではいくらなんでもここまで客は入らないだろう。団体でくれば半額以下になるのではないかと思われる。
思っていたより中は広そうだ。とても全部は回れないだろうが、歩けるところまで歩いてみることにする。
内部にはいくつもの建物があり、各々のところでチケットを確認される仕組みになっている。建物の入口にお寺にそぐわないバーコードリーダがあり、それにチケットを通すと中国語で、「いらっしゃいませ。○×△□・・・・・・・・」と挨拶の言葉が流れるのだ。チケットには二種類あって、個別の建物に入れるものと全ての建物に入れるものとがあるようだった。私のチケットは全部に入れるようだった。ただ、他の客も複数のチケットを持っているようには見えなかったから、単に購入ルートが違うことを示してるだけなのかもしれない。
奥に向かって行くにつれ傾斜がきつくなってきたため、体力の限界を感じてギブアップ。途中で引き返すことにした。80RMBも払って、これでは割りに合わない。旅先で病気をするものではないとつくづく思った。
14:45、見学終了。門を出て、到着した場所に戻り、西寧行きのバスに乗車した。乗車はしたものの、なかなか出発しない。しびれをきらした頃にようやく発車。帰り路も、半分居眠りしながらだった。だが、道半ばぐらいで急速に身体の調子がよくなっていくのを感じた。お寺の効用だろうか。神様ありがとう。あのお寺、何の宗教だったっけ。とにかく、ありがとう。
16:15、西寧に到着。だいぶ遅い時間になった。
はやく行かないと「東関清真大寺」が閉まってしまうかもしれない。タクシーで移動することにする。
タクシーの運転手はかなり年齢が上の女性の運転手だった。私が外国人だとわかると嬉しそうにあーだこーだとおしゃべりを始めた。本来、中国人はお客をとても歓迎する風土があって、外国人と知り合うことがすごく嬉しいことなのだったと、こういう機会に思い出させられ、暖かい気持ちにさせられる。
16:32、「東関清真大寺」に到着。入場料は15RMB/人。入口の建物を抜けると、もう一つ門があって、その先に広場と本堂があった。本堂の中は写真撮影禁止らしく、カメラを取り出すと脇に座っているお坊さんらしき人が「写真をとっては駄目だ」と注意しにくる。しかし、私のそばにいた漢族らしき観光客は何度注意されてもとりあわず、バシャバシャと写真を取りまくっていた。恐るべし漢族パワー。どこかの権力者なのだろうか。
お寺を出ると、次は「莫家街」へ向かう。さきほどと異なり、時間の制限はないから歩いて移動することにした。都市の省都となるとどこも発展していて、建物自体にはそんなに大きな違いはない。銀川では特にそんな感じがしたが、西寧は発展の中にも民族的な味わいが多く残されているように感じた。
「莫家街」では特に目新しい屋台などは見当たらなかった。ただ、果物屋の前などを通ると、フワッとフルーツの香りが漂ってきて、驚かされた。深センでは起こらないことだ。新鮮だからそうなのか、気候自体が香りを運びやすいのかはわからない。果物の育成に向いた土地で育った果物は香りも良いものなのかもしれない。
「莫家街」からはバイタクでホテルへ戻った。
Zは夜遅くになって戻ってきた。1日ツアーはあいにくの天気で青海湖が思ったよりも綺麗ではなかったそうだが、同乗した他の客たちが良い人たちだったらしく、けっこう楽しく過ごせてたらしい。私も体調がすっかり良くなったから、今日はお互いにとって良い1日だったようだ。 |